終末世界の中心で始まりを語る
現代から遥か未来、世界は混成を極め壮大に荒れ果てていた。科学の価値は多重なる核の嵐と度重なる戦争で滅び、多くの動物は絶滅した。人間同士の争いは避けられず少量の水と食料を求め、人々は砂と化した世界をさ迷い、歩き、住み、作り、そして争う。
現在の重要機関は『政府』だけだが民の味方をしているわけではなく、ただそこに存在しているだけの無価値な指導者と成り果てていた。
そんな中で『奇跡』の力を持つ人間が現れ始めた。水や炎の力を宿すものもいれば、人と人の言葉を繋ぐ者、はたまた光を操るもの。そんな人間達は『神の子』と呼ばれ始める。
しかし、そのような者達を『政府』が放っておくわけがなかった。『政府』の『神の子殲滅作戦』を経てから十年、今やそんな奇跡の力を持つものはほとんど存在しないと言っても過言ではない。
世界は更に荒れていった。ある町では富遊層に怒りを抱いた人間達が遂に暴動を起こし始める。ある町では親を無くした子供が夜な夜な地下で動き回る。また、地方の小さな村では農作が出来ず不作が続き、人々が嘆く。
嗚呼、そんな世界誰が得をすると言うのだろう。
愚問だ。人は生きているだけで相応の価値を得ているのだから。
だから人間は今日も生き続けるのだ。
残念ですがまだ人は出ません