2話(俺はここにいる)
白い、真っ白だ。
これが、死というものなのか?
「だ‥‥」
「‥‥」
「おい!‥」
何だ?
「‥‥」
「大丈夫かい?あんた‥」
誰か‥いるのか?
「‥‥」
誰かが俺を読んでる。
「しっかりおし!」
「‥‥‥」
「あんた、この子をはこんどくれ!」
「おうよ!まかせとけ」
‥‥
ここは‥‥、俺の屋敷の廊下か。
鏡夜の目の前を銀髪の小さな子供が走っていく。
その行き先は鏡夜の父親の書斎だ。
鏡夜「父さん!僕、学年成績一位だよ」
父「フン、くだらん、そんな低レベルの学校で一位になったからといって図に乗るんじゃない。
俺は忙しいんだ、出て行け」
鏡夜「母さん、僕、全国模試一位をとったんだ」
母「あら、そうなの、高いお金払ってんだから当たり前でしょ。」
急ぎでパタパタと身支度をする母親。
鏡夜「また、出掛けるの?」
母「私はね、忙しいの、これからまたしばらく出掛けなきゃならないから、用事なら執事の黒田にいいなさい」
鏡夜「父さんも出張でいないのに、母さんも出掛けていなくなるなんて‥」
プー!プー!
外で車のクラクションが鳴り、母は急いで下の階に降り、外に出た。
鏡夜は窓ガラス越しに下を見ると
高級車の前で母を抱き抱える、見知らぬ白人男性
ダン!!
鏡夜「ほら!見てくれ、格闘技でも一位をとったんだ。これなら‥」
父親の書斎の扉を開け、中に入ると、見知らぬ女性と抱き合う父親がいた。
「キャッ、誰」
父親は鏡夜を見るなり怒鳴り声を上げる。
父「勝手に開けるなと何度言ったらわかるんだ!出て行け!!」
鏡夜は、部屋から追い出され扉を閉められた。
バタン!!
扉越しに声が聞こえる。
「さっきのは子供?」
父「ここで仕方なく、養ってる他人の子だ。
どう見ても似てないだろう」
「確かにね」
父「そんなことより 、続きをしよう」
「あんっ、もう、変態さんなんだからぁー」
黒田「坊っちゃま、お気分が優れないようで‥」
鏡夜「黒田か。
‥なぁ黒田、父さんと母さんは何故俺を見ようとしない?
俺は‥俺は一体何なのだ?本当にあの2人の子供なのか?」
黒田「紛れもなく、坊っちゃまはここの子供ですよ。
ただ、今は忙しい時期なのでしょう。
坊っちゃまのお役に立てるのなら、恐れ多くは、ありますが私をお呼び頂ければと思います。」
鏡夜「ありがとう、黒田には、いつも迷惑かけるな」
黒田「勿体なきお言葉です。」
深夜2時頃
トイレに行きたくなり屋敷の廊下を歩くとひとつの部屋に明かりがついていた。
覗き込むと、執事、メイドの集まりが開かれていた。
黒田「ったく、俺は、ガキのお守りじゃねぇーっつんだよ!だけどなぁ、良い金になるからなぁ‥。
っていうよりも金がもらえなきゃ、誰があんなクソガキみるかってんだよ、なぁ」
メイド「たしかにね。いくらイケメンでもあんなマザコンいらないわ」
屋敷に鏡夜の居場所はなかった。
俺が、俺が間違ってるのか?
何故見ない、俺はここにいる、ここにいるんだよ。
もぉ真っ白だ、、真っ白だよ
誰か‥
誰か俺の手を‥
鏡夜は手を、上に向けると
綺麗な手がの世界から浮かび上がり、鏡夜の手を掴んだ。
暖かい‥
温かいよ
涙が流れ落ち、夢から覚めた。