表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

チーコと僕

作者: gonzo-69

渋谷千尋は、18歳。

高校を卒業して、就職した。

職業、宴会サービス課。接客は、大の得意だった彼女は、正社員として駅前の某ホテルに 雇われたのだ。



しかし、何かしら、ぬけの多い子でした。

お皿を持ってこいと言われても、種類を間違い、また婚礼の時でも、新郎と新婦のスピーチをしている真ん前を横切ってしまったり。(でも、皆様、暖かいお客さんでした。)

そもそも、彼女はホテルに働きに来たのではなく、おしゃべりをしに来ていたのである。


「あれ?なにを取りに来たんだろう?」


彼女の口癖でした。

そして、ついに彼女は、正社員ではなく、契約社員として雇われた。

さすがに、危機を感じていた。


「このままじゃ、私はくびにされてしまうぅ」

彼女は誰にも相談しなかった。

彼女はそんな友人がいないのである。


すると、上司は彼女に言った。

ちなみに、彼女は上司から、チーコと呼ばれている。


「チーコ、もっと落ち着いて仕事しなさい。

一気に2つの事は誰でも、そんな簡単にできないから、

一つ一つ、的確にやりなさい。分かった?」


「分かりました!」


しかし、千尋は、分かってなどいなかった。

こんな説教を受けるのは毎日だったが、それでもうまくいかなかった。

そして、数日後、


「チーコ・・課長が呼んでるよ。事務室まで、来なさいと。」


「えっ・・何でしょうか?」


千尋はもう大体見当がついていた。


課長は、事務室で電話越しで、何かにやにやしながら誰かと話していた。

おそらく人事部の誰かだ。課長は千尋に気付いた。


「おお、渋谷君・・・」


チーコはくびになった。

その夜、彼女は一人お部屋で泣いていた。

彼女はこんな時でさえ、誰も慰めてくれないのである。


私がそのホテルでバイトをし始めたのは、そんなときの事でした。

私の名前は「音和田 浩」今年で18歳の若造である。


「おはようございます。」


「おお、音和田君かい。」


「今日からよろしくお願いします。」


「よろしく。」


私は、出勤して、宴会場へと向かった。

するとそこに、チーコがいた。

チーコは上司と他のバイト連中と共にピアノを運んでいた。


「おーい!新人君!ピアノをステージの上から降ろすの手伝ってくれる?」


私ははい、と答えて、すぐさまピアノを持ち上げた。

なんか、この女性、一生懸命だ。

でも、あんまり力入ってないな。

私はそう思った。彼女が何かしらぬけている所も、瞬時にわかった。

しかし、上司は言った。


「皆ありがとう。」

上司が、心の底からそう言っているのがすぐ分かった。



そして、ピアノが降ろされた後、彼女は定時になったので、みなさんに最後のあいさつを告げた。


「いままでご迷惑おかけしました。」


そうして彼女は、ホテルを去った。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ