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6th;irregular




決意を固めようとする自分の手がきつくブランデーを握りしめていることに気付いた。




廊下に出る前に目を閉じて黙想する。




しっかりと自己暗示をかけてから部屋に入る。




「…………はぁ、全く。………冷や冷やさせるなよ、バカ理奈。…………………理奈。起きろ、理奈」




部屋には散らかったテーブルの上で静かに寝息を立てて安らかに眠る理奈が居た。




思わず微笑みが零れた。




そして自分に安心する。




大丈夫、まだ、兄妹に戻れる。




「バカ理奈。アホ理奈。マヌケ理奈。おい、起きろ。こんなとこで寝たら風邪引くぞ。」




テーブル越しに軽くゆすっても寝息を立てるだけで起きそうな気配はない。




テーブルとベッドの間で眠る理奈を抱きかかえるには理奈に近づかなければならない。




不安がないわけではない。




でも今克服しておかないといつまで経っても兄妹になることはできない。




そう自分を叱咤して、テーブルを回り込む。




相変わらず理奈は寝息を立てたままでいる。




出会ったときはショートカットだったのに今では腰にまで伸びた明るく染められた髪。




頭を撫でてみると、長いにもかかわらず心地よい手触りと小さなうめき声が溢れてくる。




乱れた前髪を手櫛で梳いてやると幸せそうに笑みを浮かべる理奈が愛おしい。




前髪をかき分けて白くて可愛らしいおでこに最後のキスをしてからもう一度身体を小さく揺する。




理奈の胸と太股に触れてしまわないように手を回して理奈をゆっくり持ち上げる。




心地よい理奈の重みが両手に圧し掛かり、仄かに理奈の匂いが宙に漂っていく。




腰を上げ、背中を逸らして体重がかかりやすい体制を作る。




すると腕の中で理奈が動いた。




「いっちゃんも翼もバカッ。」




理奈の罵倒と暴動を受けると身体のバランスが崩れてしまった。




足と腰に力を入れるが立て直せそうにない。




せめてと身体を反転させると腕の中にいる理奈もそれに従い倒れていく。




ベッドのスプリングが音を立てて沈んでいき、俺たちの身体を宙にはじき返す。




理奈が俺の上に重なるような体制でベッドに投げ出されていた。





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