1st:daily
こちらは先行公開となっております。
十二月十五日から毎日公開になります
「ねぇ、いっちゃん。今日の私おかしくないかな?」
頬を赤らめた理奈が何時も通り忙しく、しつこく何度も何度も確認してくる。
「あぁ、何時も通りヘンな顔してるぞ、心配するな。」
何時も通りからかうと分かりやすいくらいに怒り始める。
「いっちゃんのバカッ!!幼馴染がこれから告白しに行くっていうのに、そんなこと言うなっ!そんなんだからいっちゃんはいつまで経っても彼女が出来ないんだよ。」
適当にあしらっていると段々と理奈の威勢が小さくなっていく。
頃合いを見て、俺は理奈の頭を軽く撫でてやる。
猫のように目を細める理奈が愛おしい。
「心配するな、理奈。お前はお前が思っている以上に可愛いんだから自信を持って告白して来い。大丈夫、お前が告白して断るようなやつは俺がお仕置きしてやるから安心しろ。」
しばらく頭を撫でられていた理奈はようやく元気を充電したらしく、勢いよく頭を上げると満面の笑みでVサインをする。
無邪気な理奈に沸々と歪んだ感情が時を計るように満ち引きが繰り返されていく。
「うん、頑張って来るね。もし私が振られたらちゃんと慰めてね。」
「そんなこと天地がひっくりかえってもないから安心していってこいよ。」
俺は笑顔で歩き出す理奈を見ながら、何時の間に固まっていた唾液を呑み込む。
まだだ、まだだ。俺は何度も心の中で熟れていくそれを待つ。
この時間だけはどうしても慣れることがない。
せめて早く時間が流れてほしい。
せめてそうで合って欲しくない。
そう思いながら俺は自分の家に戻った。
夜になり、夕食を終えて読書をしていた俺の元に現れた理奈は笑顔。
そしてその一週間後に収穫の時はやってきた。