自転車──中途半端な存在
暗いトンネルだった。
大型トラックでその中を走っていると、前の乗用車がおおきく右へ避けるのが見えた。
目を凝らすと、スポーツ自転車が1台、狭いトンネルの中を、堂々と車道の真ん中寄りを走っているのがなんとか見えた。
真っ暗なので見えなかった。
「テールランプぐらいつけとけよー……」と、私は思わず呟いた。
私もスポーツ自転車を所有している。
別売りのテールランプをリヤに取り付け、走る時にはいつもそれを赤く点滅させている。
しかし長いあいだ点けていると充電がもたないので、明るい時間帯に長距離を走る時には節約のために切っておくこともある。
オン/オフするには自転車を降りて、いちいちテールランプのボタンを押さないといけないので面倒だ。
手元でリモコン操作するようにはできないのだろうか。
自転車は軽車両だとよくいわれる。
しかし、車両というには中途半端な存在だ。
ヘッドライトもスポーツ自転車には基本的に装備されていない。別売りのライトを買わないといけない。
こちらは手元で操作できるので、乗りながらオン/オフすることは容易だが、駐車する時にはライトを盗まれないように取り外す必要がある。
それが面倒臭いのか、あるいは充電が切れてしまったのか、暗い中を無灯火で走っているロードバイクなどをたまに見かける。
自転車が軽車両だというのなら、せめてヘッドライトとテールランプは標準装備、あるいは必須のオプションとするべきではないだろうか。
テールランプは手元で操作できるようにするべきであろう。
ウィンカーも必要だ。手信号で合図はできるとはいえ、それで充分なのならオートバイもウィンカーは要らないということになる。
──などといいつつ、そんなことをしたらママチャリの値段が高くなってしまうよなとも思う。
また、スポーツ自転車は軽さが命である。ウィンカーを装備するための数グラムの増量が走行性能に関わってくる。
いっそのこと、自転車は軽車両ではなく、歩行者ということにしてはどうだろう?
信号のない横断歩道で、自転車に跨っているひとを自動車が優先させる法律は今のところ、ない。自転車から降りて、押して歩いて初めて歩行者扱いされるからだ。
自転車は歩行者ということにすれば、横断歩道で自転車に乗ったひとも優先される。
ヘルメットも義務にはされず任意でよく、気軽に乗れる乗り物になるし、お酒を飲んで運転してもよくなる。
速いスピードで飛び出して車に轢かれる。




