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勇者は落ちぶれた  作者: ももらら


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7/8

イート・フロッグ出現!

シンが苦手なイート・フロッグと遭遇します。

 イート・フロッグと対峙して剣を構えるシン。その横では青ざめた顔で祐鬼が震えていた。

「こんなの聞いてないよ……」

 絶望の声をあげる。それも無理はなかった。眼前に現れたイート・フロッグは通常の大きさの20倍ほどであろうか。2メートルを優に超える巨大ガエルだったからだ。


 シンと祐鬼がタマス沼に差し掛かったとき、足元の草を踏むたびにイート・フロッグが何匹も逃げるように跳ねていく。

「やっぱりたくさんいるね」

 祐鬼の声にシンが顔をしかめる。

「そうだな。相変わらずヌメヌメしてんなぁ」

 他愛もない会話を交わしながら歩いていると、奥の茂みから大型の動物が動く気配がした。沼に水を飲みにきた野ブタや鹿の類かと思いきや、現れたのは見たこともない大きさのイート・フロッグだったのだ。


「なんじゃこりゃ」

 シンの口から驚嘆の言葉が漏れる。次の刹那……

「祐鬼、右に避けろ!」

 そう言葉を発して、シンは左に横っ飛び。祐鬼も言葉のとおりに右に避ける。それまで2人が立っていたところに、巨大イート・フロッグの舌が飛んできていた。どうやらこの化け物ガエルは2人を餌と認識しているようであった。


「やり過ごすわけにはいかなさそうだな」

 小さくつぶやくと、シンは腰の刀に手をかける。一気に決着をつけるべく峰打ちでイート・フロッグを一閃する。

 しかし手応えがない。当たった瞬間、ポヨンという音が鳴り刀を弾き返したのだ。

「マジか……。できれば殺生はしたくないのだがな」

 シンは考える。刃で攻撃すれば、一刀両断とはいかずとも傷を負わせることができるだろう。それを繰り返せば、いかにこのイート・フロッグが巨体といえども殺すことは可能だ。


「イート・フロッグって食べられるのだろうか? 食べもしない動物を殺すのもなぁ」

 それに倒した後、ヌメヌメになった刃を掃除しなければならないのも気が重い。「仕方ない、しばらく峰打ちで様子を見るか」。そう決めると、数度にわたって峰打ちを繰り返すシン。

 数度目の峰打ちでこれまでとは違った手応えを感じた。「よし、いけそうだな。痛みを感じて逃げてくれたらいいけど……」。そう思いながらふたたび刀を振るう。

 バシッ! ビシッ! 小気味いい音が響き、シンはさらなる手応えを感じた。そのときであった。

「ひどいよ、なんでこんなことするの?」

 かすかな声が聞こえてきた。

「ん? 祐鬼、いま何か言ったか?」

「僕? 何も言ってないよ」

「気のせいか」

 そこに大きな声で叫ぶ。

「ひどいよ! なんでこういうことするのさ!」

 声の主は巨大イート・フロッグであった。


「カ、カエルが喋った!」

 祐鬼が大声をあげて驚く。イート・フロッグがキッと睨みつけて反論する。

「何? カエルが喋ったらおかしいの? 君だって小鬼のくせに人間の言葉を話しているじゃないか。小鬼はOKでカエルはNGという理屈を説明してくれる?」

 イート・フロッグのもっともな言い分に祐鬼が黙りこむ。

「説明できないんだ? よくそれで『カエルが喋った!』なんて言えたもんだね」

「シン……こいつ殴りたい」

 シンは必死に笑いをこらえながら祐鬼をなだめるのであった。

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