イート・フロッグ出現!
シンが苦手なイート・フロッグと遭遇します。
イート・フロッグと対峙して剣を構えるシン。その横では青ざめた顔で祐鬼が震えていた。
「こんなの聞いてないよ……」
絶望の声をあげる。それも無理はなかった。眼前に現れたイート・フロッグは通常の大きさの20倍ほどであろうか。2メートルを優に超える巨大ガエルだったからだ。
シンと祐鬼がタマス沼に差し掛かったとき、足元の草を踏むたびにイート・フロッグが何匹も逃げるように跳ねていく。
「やっぱりたくさんいるね」
祐鬼の声にシンが顔をしかめる。
「そうだな。相変わらずヌメヌメしてんなぁ」
他愛もない会話を交わしながら歩いていると、奥の茂みから大型の動物が動く気配がした。沼に水を飲みにきた野ブタや鹿の類かと思いきや、現れたのは見たこともない大きさのイート・フロッグだったのだ。
「なんじゃこりゃ」
シンの口から驚嘆の言葉が漏れる。次の刹那……
「祐鬼、右に避けろ!」
そう言葉を発して、シンは左に横っ飛び。祐鬼も言葉のとおりに右に避ける。それまで2人が立っていたところに、巨大イート・フロッグの舌が飛んできていた。どうやらこの化け物ガエルは2人を餌と認識しているようであった。
「やり過ごすわけにはいかなさそうだな」
小さくつぶやくと、シンは腰の刀に手をかける。一気に決着をつけるべく峰打ちでイート・フロッグを一閃する。
しかし手応えがない。当たった瞬間、ポヨンという音が鳴り刀を弾き返したのだ。
「マジか……。できれば殺生はしたくないのだがな」
シンは考える。刃で攻撃すれば、一刀両断とはいかずとも傷を負わせることができるだろう。それを繰り返せば、いかにこのイート・フロッグが巨体といえども殺すことは可能だ。
「イート・フロッグって食べられるのだろうか? 食べもしない動物を殺すのもなぁ」
それに倒した後、ヌメヌメになった刃を掃除しなければならないのも気が重い。「仕方ない、しばらく峰打ちで様子を見るか」。そう決めると、数度にわたって峰打ちを繰り返すシン。
数度目の峰打ちでこれまでとは違った手応えを感じた。「よし、いけそうだな。痛みを感じて逃げてくれたらいいけど……」。そう思いながらふたたび刀を振るう。
バシッ! ビシッ! 小気味いい音が響き、シンはさらなる手応えを感じた。そのときであった。
「ひどいよ、なんでこんなことするの?」
かすかな声が聞こえてきた。
「ん? 祐鬼、いま何か言ったか?」
「僕? 何も言ってないよ」
「気のせいか」
そこに大きな声で叫ぶ。
「ひどいよ! なんでこういうことするのさ!」
声の主は巨大イート・フロッグであった。
「カ、カエルが喋った!」
祐鬼が大声をあげて驚く。イート・フロッグがキッと睨みつけて反論する。
「何? カエルが喋ったらおかしいの? 君だって小鬼のくせに人間の言葉を話しているじゃないか。小鬼はOKでカエルはNGという理屈を説明してくれる?」
イート・フロッグのもっともな言い分に祐鬼が黙りこむ。
「説明できないんだ? よくそれで『カエルが喋った!』なんて言えたもんだね」
「シン……こいつ殴りたい」
シンは必死に笑いをこらえながら祐鬼をなだめるのであった。
ご意見、ご感想、いいね、ブックマーク登録など頂けると励みになります。よろしくお願いいたします。




