正社員か社長
世間を騒がす強盗事件もトップと呼ばれてた男が捕まっても減ってない。
それは表のトップであり裏のトップを捕まえていないからかもしれない…
留置場に入るのは、結局不器用な人間なのだ。
表社会で居場所を失い、闇社会に身を置くのだ。
倫子は思う。
「私が表の稼ぎでイマイチだなと思った時に友人が裏社会で責任者やってたら…
彼の仕事を完コピして、影武者になるな。
そうすれば友達も動きやすいし敵を撹乱できる。
表の仕事は辞めるほど困ってないけど、もっと稼ぎも欲しい。影武者は美味しい仕事だと思う。」移動する車の中で美沙に話す。
「つまり?」美沙は携帯をハンズフリーにする。
「私みたいに正社員で稼げる大企業で働いてるか、自営業でも稼いでる会社経営者とか、表社会で普通に生きてる奴だと思うよ。犯人は。」とまた倫子は思ってる事を包み隠さず言ってしまう。
この口が災いして結婚できなくて仕事でどんどん引っ張られる事になってるのに!
賢く黙れない女である。
そこから美沙は電話で作戦会議に入ったようで声を潜めてコソコソと話し出した。
倫子はカバンの中の自分の携帯が鳴ってるのに気付く。見ると歯医者だった。
もう正直関わりたくない。
あんな舞台裏を見てしまったし。カバンの中には封も開けてない返して貰ったハンカチが入りっぱなしだ。
倫子は社員証以外はインバックに詰めてるので、休みも平日も表は革のカバンだろうとトートバッグだろうと中身は変わらない。
ショートメールが来ていた。
「ぷかりで。大事なお話があります。ライラックの人へ」と暗号みたいな文面だった。
どうしょう?
無視して良いのだろうが、気になる。
今日は代休で歯医者は休みだ。
嫌味だろうが、仕事以外で花を貰ったのも15年ぶりくらいだ。
「一体なんの用事だろう…?」
美沙は話し込んでる、声を掛けづらい。
ちょうど車はぷかり桟橋が見える所で止まった。
臨港パーク内にみなとみらい署はあるのだ。
「あっ、私ちょっとトイレ行ってから行くね。先に行ってて〜」公園のトイレに走る。
後ろから「署の中まで我慢しなよ〜」と大声の美沙の高い作った声がしたが、そのまま中に入る。
トイレは通り抜けて海岸線へ出れる。そこには長い桟橋の突き当りにコロニアル建築の洋館が海にぷかりと浮いている。
建物の中はフレンチレストランだ。
景色が360℃のパノラマなのでハマっ子のデートスポットであり愛の告白などでも使われる場所なのだ。
「…いやあ〜まさかね?それは無いよね?」半信半疑だが、10分くらい遅れても警察署は問題ないだろう。
大体部外者だ。
捕まってる女性に関しては責任あるが…
性もない話ならダッシュで警察署へ行けば良い!
とにかく話を聞いてからだ。
「よし!」と倫子は桟橋を歩いて行った。




