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鈍感

「フフッ、面白かったなあ〜」思い出したように美沙が笑う。コケた木村が面白かったようだ。

「でも、なんか良く分かったよ。倫子さんが振られた理由。」とカウンターにうつ伏してからこっちを見る。

美女にこんな思わせぶりなポーズされるとドキドキしてしまう。

今夜は寿司屋で2人でゆっくり飲む。

賑やかな店も良いがしっぽりした店に行きたかった。

ちょっと部長部屋が人が増えてガヤガヤしてるせいかもしれない。

もうみなとみらいのタワマンの隣の部屋に住んでるし帰りも気にしなくていい。

「バタバタしてて礼が言えなかったけど…ありがとね。」美沙が色っぽく礼を言う。オフショルダーのニットで片方の肩がむき出しになってる。

ちゃんと胸はあるから、肩紐なしのブラはしてるはずだが…倫子はしたこと無い服装なので謎だ。

きっと今どきの流行なのだろう。

「この頃、肌露出する服増えてない?」男と分かっていても目のやり場に困る。

「シェルター内の作業増えて、なかなか側に居れないしさあ〜ちゃんと見て欲しいし。」よけい肩や鎖骨を出してくる。

「ダメダメ、風邪引くよ!急に寒くなってきたんだし!

秋通り越して冬が来そうよ!」と言いながら美沙のニットを上に引き上げた。

「せっかく隣同士になったのに、なんか毎晩あっさり帰るし〜」今日の美沙の酔い方は変だ。

「もう引っ越してきて1週間だよ?」意味不明な拗ね方をする。

「寮に帰りたくないみたいだったし、漫喫とか泊まられたら絶対危ないし、毎度部屋に泊めるのは…ほら、問題あるしね。」倫子はタジタジだ。

「倫子さん、仕事では決断早くて実行力スゴいのに!

なんでオフはそんなに鈍いの!」拗ねたと思ったらプイッとあっちを向いてしまった。

「…分からん…」なんだ?この生き物は?

元カレみたいな野郎ヤロウしたのは慣れてるし好戦的に言葉を畳み掛けて来られるのも慣れてる。

しかし、この生き物は…なんだ?

「…あの、なんかまだ不満ある?」倫子は聞いてみる。

彼の不満は片付けたと思ったんだが…一応、上司なので気になる。仕事量も増やしてはいないし、彼自身がインスタグラムのフォロワーを増やす時間も割いているつもりなんだが…

「そっちの仕事も順調だよね?」秘密基地には、日本とアジア圏が映し出されてて、発信源などを表示されるようになってる。金はシンガポールや上海の銀行に流れているようだ。

キャッシュレスが進んで換金が早いその辺りがロマンス詐欺集団の金の隠し場所なのだろう。

集めた金の流れももう少しで突き止められそうなのだ。

「共産圏の大物とかはスイスとかルクセンブルク公国に個人バンク持つから移される前に封じた方が良いよ。アジアだけと思わないでね。」倫子なりに美沙の不満を考えたが…それくらいしか浮かばない。

「だからーーーーっ!!そっちじゃないよ!」美沙が怒ってる。

「あのね〜男は後釜が居るから倫子さんを捨てれるんだよ!

そんなだから、後輩にどんどん男掻っ攫われたんだよ!分かる?」美沙は、男女の機敏に長けてるようだが、それが今なんの関係があるのだ?

倫子は意味不明で戸惑う。仕事でこんな迷子になる事はないのだが…

「学校なら勉強、会社なら仕事。

人の妬みを1番買うんだよ。アンタに叶わない男と女が唯一アンタに泡を吹かせれるのは恋愛と結婚なんだよ!

だから、アンタの周りは人一倍結婚した奴多いだろ?

それしか、アンタに勝つ方法が無いからさ!」何だか倫子は泣きたくなった。

男も女も勝ち誇ったような顔で報告してくる。確かに。

全然意味が分からなかったけど、そんな心理が働いていたのか?

「美沙ちゃんは若いのにスゴいね。さすが一夜でインフルエンサーなっちゃうだけあるわ…」だんだん倫子の声が震えてくるのに美沙は深いため息をつく。

「…イジメたい訳じゃないんだよ。

もうその年で人間が変わる訳ないもんな…よし!

攻め方を変えよう!オレが言う通りに話して!」美沙が倫子を自分の方へ向かせた。

「あなたの事もっと知りたいの。教えて…」と倫子の手を上と下からそっと包んだ。

「…あなたの事をもっと知りたいの。教えて…」と倫子も美沙の手を上と下から包んだ。

「OK!じゃ、今からお互いもっと知ろう!」と席を立って精算を済ませた。

「いつも割り勘だけど、ここは色々便宜払って貰ったお礼ね。さっ、帰ってお互いを知ろう!」とグイグイと倫子の手を引いて店を出た。


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