表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
西部遺跡管理事務所 業務日誌  作者: 青桐 臨
第一章 新入職員 ソナ・フラフニル編
33/151

第33話 メッツェン・スリンのリスト

先程誤って34話を載せてしまいました。失礼しました。こちらが先です。

「必要な物資などの詳細についてはメッツェンに任せている。詳細は担当者レベルで調整してくれ」


 マロウが言うと、その横に座る豊かな緑髪を下ろした若い女性が、にっこりとして総務係に頭を下げた。


「それでいいな、ルドン係長」

「……」


 まだなにか言い足りないようではあったが、再びキィトの欠伸が会議室内に響き渡り、ルドンは口を閉ざした。


「──ああ、終わったってことでいいのかな」


 誰の返事も聞く前にキィトは立ち上がり、ヘルベティアと共に速やかに会議室を去っていった。


 会議室には何ともいえない空気だけが残される。


 沈黙を破ったのはルドンだった。


「……あの腰掛け所長がへらへらと」

 周囲に聞こえるほどの悪態をつく。

「私たちがどれだけ協議で苦労したと……」

「係長」とノイマンが遮った。

「ここで言うことではないですよ。行きましょう」

「ああ、しかし……」


 ノイマンはまだ苛立ち止まないルドンを連れて、会議室を出た。


「あ、マロウ係長。わたし、総務係の人と少し話していくので先に戻っててください」


 直前の空気を無視するように朗らかに言ったのは、管理係の職員、メッツェンである。

 マロウは頷き、のっそりとした足取りで立ち去っていった。


 メッツェンは総務係の方に近づき、

「なんか色々とすみませんね」

 と困ったような笑みを浮かべた。


 それから数枚の束になった書類をソナに渡す。


「あなた、新人さんですよね? わたしはメッツェン・スリンです。管理係の中の庶務的なこと担当してるんで、今後も色々とお世話になると思います」


 マロウの横にいた時は小柄だと思っていたが、向き合ってみるとメッツェンはソナよりも背が高かった。

 元々笑ったような目元をしているのか、優しげでもあり、おっとりとした話し方は気が弱そうにも見える。


「……ソナ・フラフニルです」

「グリフィス魔法専門学校出身なんですよね? すごいですね。わたしはレンドレント魔法学園出なんですけど、かないませんねぇ」


 メッツェンは北部地区の名門学校の名を挙げた。

 どう反応しろというのか。

 ソナは、学歴の話は聞かなかったことにして、

「あの、これは」

 と渡された書類に視線を落とす。


 結界石、魔素除去剤など、 配属されてから見かけるようになった単語がずらりと並んでいるが、書かれた数量が随分と多い気がする。


「さっきうちの係長が言ってた、調査に必要なものの詳細リストです。緊急案件なんでお忙しいところすみませんが、どれくらいの目処で準備できるか確認いただいて、午後にでも調査係さん含めて打ち合わせしたいと思ってるんですけど」


「ちょっと見せてみろ」

とセヴィンがソナの書類を背後から覗き込んだ。

 リストを上から指でなぞっていくにつれ、眉間にいつも以上に深い皺を寄せる。


「……いや、ふざけているのか。こんな量、無理に決まっているだろう。そう簡単に手に入らないものもあるじゃないか」


 ゴシュとカギモトもリストを見て難しい顔をしていた。


「あっ、ほんとにごめんなさい。でも、総務係さん達なら何とかしてくれますよね?」

 メッツェンは申し訳なさそうに笑う。

「それが、あなた達の仕事ですもんね?」


 その一言で──下手に出ているように見せて、メッツェンもやはりそちら側の人間なのだとわかる。ソナは冷水を浴びせられたような気分になった。


「君達はさぁ、いつもそうやって無理難題を」

「ゴシュ係長」とメッツェンは手を挙げた。

「遮っちゃって大変恐縮なんですけど、マロウ係長も言ってたとおり、ここでの議論はもう不要なんですよね」

 メッツェンの笑みは、弱々しそうでいて底意が読めない。

「それではこっちで決めちゃって悪いんですが、2時くらいでいいですか?いや、それだとさすがに厳しいかもなんで、2時半にしましょうか。管理係に来てくださいね」

「おい、メッツェン!」


 セヴィンの呼びかけを無視して、メッツェンは会議室を出ていった。 


 取り残された総務係は、互いに黙って視線を交わすだけだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ