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魔道具師ヴァン

読んでいて面白くないと感じたらブラウザバックをすることをオススメします。

 

「よし、できた……完成だ!ふひひっ、これさえあれば人に会わずに済む…名付けて!遠くから声を届ける“通信呼び鈴(インターコム・ベル)”!!」

 高らかに笑いながら右手に鈴、左手に四角い箱のようなものを持ってクルクルとまわる全身黒い男。

 彼の名はヴァン。ここ、塔の家主であり、天才魔道具師である。





 ***




「ふひひっ、ついに完成したぞ。これがあればいちいち下まで降りずに会話が可能!正直作業の邪魔されるのが嫌だが、下まで降りて行ってまで会話すんの面倒だし…致し方あるまい!」

 鼻歌を歌いながら下へと降りていき、外の扉横に鈴を取り付ける。そしてまた上へと鼻歌を歌いながら上がっていく。

 ヴァンの機嫌はここ最近の中で一番のご機嫌だった。

 それもそのはず。ここ最近は何かと来客者が多く、その多くが近くの村の住人たちだった。

 ある時は村の子供達が、ある時はその子供らの保護者達が、そのまたある時はパン屋のおかみだったり、果物屋さんのおっさんだったり、教会のシスターだったり、村長がきたこともあった。

 他人に構われるのが嫌いなわけではない。が、それがあまりにも頻繁すぎるため魔道具作りの時間が減ってしまっている。別に会話が嫌いなわけでも、村人らが嫌いなわけでもない。ただ、面倒なのだ。

 階段の上り下りが。

 体を動かすことが嫌いではない。ただ単に面倒ではあるが。

 だが時間がもったいない!とそう思ってしまうのだ。

 ヴァンは非効率的な行動が嫌いである。

 それゆえ、ヴァンが開発した魔道具は全て家庭で役立つような物が多い。そのため色々な年齢層から絶大な人気を誇っている。

 だが、誰もヴァンが天才魔道具師だとは気付いていない。なぜなら、誰も、こんな見た目の男がそんなすごい人物だとは到底思わないからだ。

 ヴァンの第一印象は大抵黒い人である。

 それも仕方がなく、真っ黒の髪と真っ黒な目、黒縁メガネに真っ黒な服に真っ黒なローブ。全身が真っ黒なのだ。

 おまけに髪はボサボサで前が見えているのかすら怪しいほどの伸び切った前髪。

 そんな見た目の人物が天才魔道具師であるとは到底思えない。それが現時点での村人たちから見たヴァンである。

 ヴァンはそのことを知らないが、特段気にしてはいない。

 というよりも興味がないのだ。

 ヴァンの頭の中にあるのは常に魔道具のことだけ。それ以外のことについては二の次三の次である。

 一に魔道具、二に魔道具、三四も魔道具で五に睡眠。それがヴァンの中のでの重要度だった。





 夜通し作業をしていたためか、体はバキバキに固くなっており少し軽くストレッチをする。

 最後に大きく伸びをして、ヴァンは椅子に座り机に向き合う。

 机の上にある小さな棚から一冊のノートを引き抜くと、それを机の上に置きページを開く。パラパラと紙をめくり、白紙のページで手をとめペンを手にする。

 左手に持ったペンを真っ白な紙の上で走らせる。

 ペン先が紙に擦れる音が、静寂な部屋に響き渡る。細かく断続的な音と、線を引くような伸びた短い音。

 ヴァンは集中して紙と向き合い無言でペンを走らせていく。

 真っ白だった紙はあっという間に黒く染まり、白い部分がみるみるうちにどんどん小さくなっていく。そうしてあっという間に文字と図で埋まっていった。描き終わるとヴァンは満足そうな表情でノートを閉じ、ペンを置く。

 ヴァンは今まで、自分が手掛けてきた魔道具をこうやってノートに書き記していた。小さい頃から今まで。

 そのため、彼のノートは何十冊以上も存在し、そのどれもが端から端までビッチリと書き記されていた。

 ヴァンは机に手を置き椅子から立ち上がると、下の階へと降りて行った。

 下の階に着くと、ヴァンは食器棚から一つのマグカップを取り出しテーブルの上へと置く。自作の魔道具である“湯沸かし器(ホット・ケトル)”に水を入れ沸かす。沸かしている間に、戸棚から粉末コーヒー豆が入った缶を取り出し、マグカップに入れていく。

 お湯がわける間、ヴァンは少しだけ目を瞑る。水がボコボコと沸騰する音を聞きながら、静かに呼吸をする。

 数秒が経ったのち、お湯が沸けた合図が鳴る。パチリ。その音が鳴り響き、ヴァンはゆっくりの目をあけホット・ケトルを手にとる。

 ゆっくりとマグカップにお湯を注ぎ入れると、あたり一面にコーヒーの匂いが立ち込める。ホット・ケトルを机に置きマグカップを手に取ると、ヴァンはソファにゆっくりと腰掛けコーヒーをひとくち口にする。

 ほっとしたところで急激に体の力が抜けていく。

 マグカップをテーブルに置きソファにゴロリと横になる。

 ゆっくりと瞳を閉じ、ヴァンは静かに思考する。

 これからのことについて。





 ***





 彼の名はヴァン。

 アスタリア王国の辺境の地オウルにある塔に住む魔道具師。

 彼を知るものは皆彼のことを、








 “変わり者の(エキセントリック・)天才(ジーニアス・)魔道具師(アーティフィサー)







 と呼んだ。


ここまで読んでいただきありがとうございます。

駄文ではありますが、頑張って次の話も投稿していきます。

更新は遅いしまちまちだと思いますが。

次の話も読んでいただけると嬉しいです。


次の更新までしばらくお待ちください。

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