ジャンガリーとの会話…やはりルシファーは恐ろしい存在のようだ…2回目の調査の場所が決まった。
ジャンガリーと初めて会ったのはもう20年前になる。
まだやんちゃッ気が抜けていなかった私はトルコで取材仲間数人とドラッグを体験しようと言う事になり、怪しげな売人と交渉して、マリファナやアシッドなどのドラッグを仕入れて薄汚いホテルの一室でキメタ事があった。
とりあえず葉っぱ(マリファナ)を経験していた私は、俗に言うアシッド(LSD)を染み込ませた紙を舐めていた。
生まれて初めてドラッグをキメル奴は大抵笑いが止まらなくなる。
日本人と韓国人の若い奴らがゲラゲラとあちこち指差して笑い始めた。
仙人風の髭をはやしたドイツ人の背が高い男は、静かに陶酔の底に沈んで行った。
私は笑い転げる二人を観察していると、暫くして、視野の端から端をキラキラしながら光が通り過ぎ、そして、彼らの口からまるで立体的な吹き出しの様な、ピンク色の風船の様な、彼らの言葉、ゲラゲラ、とかイッヒッヒッヒッ、とかが印刷された物が出て来た。
その風船と言うか吹き出しと言うか、ピンク色の奇妙な物はあるいは浮き上がって天井の隅に溜まり、あるいはテーブルの上でプルルンと震え、あるいは床に落ちてポヨンポヨン跳ねながらベッドの下に転がって行った。
おお、来た来た!と思いながら私は頬を緩めてピンク色の風船どもと、時折通り過ぎる様々な色の光を眺めていた。
吸い掛けの煙草が灰皿に合った事を思い出し、テーブルの上に溜まった風船を手で払いのけていた時に、はじめてジャンガリーと出会った。
彼は灰皿に向かって胡坐をかいて、私が当時吸っていたラッキーストライクを両前足で挟んで煙草を吸いながら盛大に煙を吐き出していたのだ。
「象?ちっちゃな象?」
また新手の幻覚が出たと思って私はへらへらしながら彼に顔を近づけた。
「象なんて下等な生き物と一緒にするなよ真田ちゃん」
「…俺の名前知ってるのか?」
「当たり前だよ真田ちゃん」
「…お前はなんていう名前だ?」
「おいらはジャンガリー、宜しくな」
それから私はジャンガリーと名乗る小さな緑色のインド象に似た何かと、明け方まで話し込んだ。
それがジャンガリーとの出会いだった。
それからアシッドはやらなくなったが、酒を飲んでいる時に数回彼と話した事がある。
そして彼の助言で危険を回避した事が数回。
確実に命を落としたであろう事を助けてもらった事がある。
ジャンガリーは現場での取材先を決めた後の私の所に現れて、あの部隊の従軍取材は絶対にやめろと言ったり、何処かの地方に行くとお前は死ぬぞ、少し行くのを遅らせろと助言をした。
その言葉に従ってある部隊の従軍取材を取りやめたり、ある地方への取材スケジュールを変更した私は生き残り、私の代わりに行った記者は全員死亡した。
一度は実戦の取材中に塹壕の中で姿を現したジャンガリーに逃げる方向を指示されて、ジャンガリーの言った方向に逃げた私だけが唯一の生き残りになった事さえあった。
それまで私は、私の中の心、深層意識がジャンガリーと言う物を作り出して無意識に危険を回避したと思い込んでいた。
しかし、惟任と出会い、ルシファーと出会い、佐伯邸の調査で色々と目撃してしまった私は、今目の前でエコーを吸っているジャンガリーを一概に私の妄想の産物と思えなくなっていた。
「ジャンガリー…お前は一体…」
「真田ちゃんの妄想じゃないね、あはは残念」
「お前はやっぱり…その」
「悪魔じゃないぜ、おいらはな…ただ真田ちゃんの周りは最近、色々騒がしいな」
「それはやっぱり…」
「おっと、バナナチップ頼めよ」
「ねえだろう普通こういう店じゃ」
「聞いてみな」
ジャンガリーが盛大に煙を吐き出して、フィルター近くまで吸ったエコーを両前足に抱えて灰皿に揉み消した。
私はため息をひとつついてからマスターに声を掛けた。
「マスター、あのさ、バナナチップなんてものは…」
「ああ、ありますよ。
あれ?お客さん初めてですよね?
よく知ってますね」
「友達が知ってるんだよ」
「はぁ、どなたの友達なんですか?」
「うん、象みたいなやつ」
ジャンガリーが腕を組んで私を見上げて睨みつけた。
「象…ああ!下柳さんかな?あははは!」
マスターが一つ笑うとカウンターの下からバナナチップの袋を取り出してバリバリと破いて開けると小皿に開けた。
マスターが出したバナナチップが乗った小皿に、ジャンガリーが喜び、気勢を上げて飛び付いた。
やはりマスターにもジャンガリーは見えていないらしい。
ジャンガリーがバナナチップを両前足で抱えてぼりぼり音を立てて食べ始めた。
「所でお前、何で急に俺の前に現れたんだ?」
「うん、時々お前の所に遊びに行こうと思う時は、必ずお前のすぐ横をおっかないのが居たんでな…ちいと遠慮してたんだが…珍しく今日はいないから」
「…それって」
「そう、お前がルシファーと呼んでいる奴さ」
「やはりおっかないのかルシファーが」
「おっかないよ見た目も凄いからな」
「見た目?綺麗な女の姿を…」
「あはははは!お前にはそう見えるのかい?」
ジャンガリーはもう一枚のバナナチップを小皿から引っ張り出した。
「俺には全然綺麗な女には見えないぜ」
「……ジャンガリー、お前にはどう見えるんだ」
ジャンガリーがバナナチップを食べ終わり、テーブルのエコーの箱から一本取り出して両前足に挟んだ。
私はその煙草に火を付けてやった。
「フー、こっちの煙草の方が旨いな……」
ジャンガリーは目を細めて煙草を吸った。
「………俺にはあれはおっそろしいドラゴンに見えるぜ。
12枚の翼をもって真っ黒けで、でっかい凶悪なドラゴンさ。
そして、Tレックスでさえむしゃむしゃ食っちまいそうな、おっかない牙を剥き出して、真っ赤な嫌な臭いのする涎を垂らしながら、時々辺りをびりびり震わせるようなでかい声で吠えながら、地獄の瘴気みたいな息を吐き出しながら、お前の周りをぐるぐる歩き回っているよ。
あれは……俺が今までに一度も見た事も無い位におっかないドラゴンさ」
「ドラゴン…」
「おっかないドラゴンさ」
ジャンガリーが鼻を伸ばして私のグラスからハイボールを啜った。
「ルシファー…いや、そのドラゴンは何が望みなんだ?
やはり俺を貪り食いたいのか?」
私が尋ねるとジャンガリーはにやりとして目を細めた。
「そろそろ消える時間だぜ、真田ちゃん」
「……」
「あのドラゴンはちょっとだけ俺に時間をくれたのさ」
「………」
「じゃっ、消えるぜ。
………食われる事は食う事でもある。
案外それも……真田ちゃんはある大きな流れの中にいるぜ………あのドラゴンも、真田ちゃんも欠かせないエレメントなんだよ…もう顔を出さない……会う事は無いと思うよ…さよなら真田ちゃん…これでお別れだ……真田ちゃんが最初に撮った写真、好きだったぜ。あのジャングルで泣いていた男の子の写真…おいらは好きだった」
ジャンガリーは消え、吸い掛けのエコーが残った。
何故だか涙がとめどなくこぼれた。
本当に奴はもう姿を現さないだろうと思った。
私はジャンガリーが残した吸い掛けのエコーを手に取り、泣きながら吸った。
マスターが心配そうな顔で尋ねた。
「お客さん、大丈夫?」
「…うん、古い友達と別れたんだ…もう会えないと思うよ」
「……さよならだけが人生ですよ…これ、おごり」
マスターはもう一杯ハイボールを出してくれた。
暫くそこで飲んでから私は家に帰った。
ジャンガリー…私が掛け出しの頃にカメラマンのイロハを教えてくれ、東南アジアのジャングルに消えた尊敬する先輩に似た口ぶりの緑色の象。
もう、あいつが姿を見せないと言う事を改めて実感して、私は風呂に入ってから、暫く泣いた。
調査参加依頼
それから2日後、惟任研究所から電話が入った。
惟任直々の電話に、私は山口との事がばれたかと一瞬ひやっとしたが、電話の内容は広島山中での2回目のダイブの仕事に関してだった。
空が高く、涼しい風が吹き始め、秋の気配が顔を出し始めた晴れた午後、私は惟任研究所に顔を出した。
山口が私を出迎えた。
にこやかに私を惟任の部屋に案内しながら、山口がさりげなく部屋の鍵とメモ用紙を私に握らせた。
「真田さんがお見えになりました」
惟任が机の上で書類を見ていた顔を上げ、満面の笑みを浮かべた。
「おお、来たなダイバー!」
「こんにちは」
「まぁまぁ、座って座って!
山口君、コーヒー頼むよ」
惟任が応接セットに移動してどっかりと腰を下ろした。
「電話でも話したんやけど、今度は広島で調査をするんやけど、どう?」
「もちろん、やらせてもらいますよ…日当次第ですけど」
「ははははは!判った判った!今度は奈良の二倍でどうや?」
「そんなにくれるんですか?
まさか、佐伯邸よりも危ない所では…」
「うんにゃ、今回はそういう危険は少ないと思う。
佐伯邸調査がスポンサーから評価されてな、予算大幅増額なんや。
それに…」
惟任がニヤニヤしながら黙りこんだ。
「それに…何ですか?」
「今回は君一人では無いよ。
3人の仲間が一緒だ」
「3人…それは頼もしいですね」
「ここに写真がある。
見るか?」
惟任が大判の写真を手に取った。
「じらさないで見せて下さいよ」
惟任が私に渡した写真には、3頭のジャーマンシェパードを連れた女性訓練士が写っていた。
「この人ですか…もう二人の写真は無いんですか?」
「そこに全部写っているよ…今回の相棒は…ああ、3人じゃなかった、3頭の間違いやね。
今回はその写真の犬が3頭、君と一緒にダイブするんや」
「犬……」
「そう、犬や」
「……」
「人間よりもずっと頼りになるかも知れんな」
惟任が運ばれてきたコーヒーを一口すすった。
「今度の調査は野外、それもかなり山奥に入るからなぁ。
猪、ひょっとしたらクマが出るかも知れんのや。
まぁ、その為のボディガードだと思ってくれればええんや」
「山奥ですか?」
「そうや、真田君、君、『山窩』と言う言葉を知っているかね?」
「サンカ…ああ、山に住んでいる人たちの古い呼び名ですね」
「そうや、『山窩』とも『山家』、『三家』、『散家』とも呼ぶんだが…まぁ、一種の差別用語なんやけど…広島県と島根県境にあるS山とH山に跨った地帯が今回の調査場所でな、その昔、『山窩』の語源になった人たちが住んでいた所なんや」
惟任がテーブルに地図を広げた。
「この辺りなんやけどな…」
「やはり佐伯邸の様な現象が起きた所なんですか?」
「いんや、今回の所は佐伯邸ほどパワフルな事件は起きていない。
ただ、山の植生や地磁気異常がやはり激しいんや。
先行して下調べに行った連中がな、クルニコフ放射を測定したんやが、優に1800を超える数字を叩き出したんや。
君が佐伯邸にいた時の最高数値がやっと1200。
普段人がなかなか足を踏み入れない所なんやが、委員会が調べて欲しいと依頼が来てな」
「……」
「昔から神隠しなどの伝説は結構ある所や。
これは何かあると思うんやけど、『山窩』の存在もな、ただ山に隠れ住んでいる人と言うよりも、本来人間以外の何かの事を指していたかもしれんしなぁ」
「今回は随分ロマンがありますね」
「ん?あっはっはっはっ!
そうやなぁ!
確かに今回は夢とロマンがある調査になりそうだ!
…と言いたいトコなんやけど…」
「…なんですか?」
「真田君、君にもそろそろ知っておいてもらいたい事があるんや」
惟任が立ち上がると机の後ろのキャビネットからテレックスの用紙を何枚かとりだした。
「我々がスポンサーと呼んでいる組織は君の想像以上に大規模な物なんや。
世界規模で活動しておる。
…そして、ある深刻な問題に関しての調査をしておるんや」
「委員会がですか?」
「そうや、君、この事は内密にしてくれるかね?」
「はぁ、私は口は固いですよ」
惟任がじっと私の顔を見つめた。
そして、テレックスの紙を私に見せた。
委員会報告及び申し送り事項
2008年10月現在、レベル8以上の浸透及び融合状態を持続する地域を地球上に6箇所確認。
引き続き経過を観察中。
尚、突発的に浸透及び融合を確認せるも、持続せずに現象を消失せる場所を日本国内にも数ヵ所発見した。
この内、最も頻繁に現象が多発する広島県山中に恒常的観測拠点設置の必要を認め、拠点設置の為の調査を許可する。
機密保持の為、当該地域の隔離、閉鎖処置の必要あり。
委員会予測および申し送り事項
2027年初頭までに全面的な浸透及び融合現象が発生する確率66.5パーセント。
2029年初頭までに全面的な浸透及び融合現象が発生する確率89.6パーセント。
現在の状態で全面的な浸透及び融合現象が発生した場合、人類の56.1パーセント以上の死亡、及び、人類文明の全面的崩壊が予想される。
予算の大幅な増額の上、至急に現象発生時対応方法の確立、及び実施体制の整備を進める必要ありと認める。
「 浸透及び融合現象………」
「君は佐伯邸で経験したやろ?」
「………」
惟任が立ち上がり、キャビネットからガラスのホルマリン容器を持って来て私の前に置いた。
私は思わず顔をそむけた。
佐伯邸の屋根裏で私を襲撃した人形が小さい牙をむき出した顔で恨めしげに私を見つめていた。
「既にこれは人形では無い。
別の人形、いや『生き物』を解剖したが、生物に必要な物、脳、心臓、肺、その他消化器官などが全部揃っておった。
我々が屋根裏に上がった時は既に死に絶えておったがな…外骨格の昆虫と似た構造をしておった。
表面の…表皮と言うか甲羅と言うか…それはセルロイド、元々の人形の肌の部分と同じ組織やった」
「…つまり…何か別世界の者が浸透して…」
「そう、浸透してきて我々の世界の物と融合したんや…乗っ取ったともいえるかな?」
「それじゃ、この全面的な浸透及び融合現象と言うのは……」
惟任が黙って頷いた。
「世界中でこういう事が起きたらどうなるかね?
全ての価値観が大逆転するやろうね。
人類がどういう反応を起こすか判るかね?」
私は、あまりの恐ろしさに惟任の問いに答えられなかった。
世界が佐伯邸になる……それを考えただけでも。
ガラス容器の中でホルマリン溶液に浮かぶ牙をむき出した人形が、生物としての機能を持った目で私をじっと見つめていた。
ニヤニヤ笑っているように見えた。
惟任がホルマリン漬けの瓶を持ち上げてキャビネットに戻した。
「さてと…君の調査はそれだけ重要だという事なんやね。
ちっとばかり気合を入れて取りかかって…あ、真田君は充分気合が入っているよな?あはははは!」
惟任がおかしくてたまらないという感じで腹を抱えて笑っていた。
私はキャビネットに置いてある牙をむき出した人形をじっと見つめた。
動くのではないかと恐ろしかったが、目をそらす事が出来なかった。
その後、惟任は外出し、私は立花や山口と広間に写って広島での調査の打ち合わせに移った。
「真田さんは…犬、大丈夫ですか?」
山口が尋ねた。
「ええ、犬は好きですよ。
高校生の時に家でシェパードを飼っていました」
「そう、なら大丈夫ですね。
これは今回調査に同行する犬達の履歴書です」
山口が写真入りのファイルを私の前に差し出した。
三頭の犬は大体こういう履歴だ。
フーバー 5歳 オス アメリカ海兵隊K9部隊に所属、2007年退役
現在横須賀基地警備隊予備役。
ジョン 6歳 オス 東京税関麻薬探知犬に所属 2008年退官 現在警察犬訓練センターに在籍。
アラン 5歳 オス アメリカ海兵隊K9部隊に所属 2008年退役 現在横須賀基地警備隊予備役。
「中々そうそうたる顔ぶれですね。
いきなり私の喉笛に噛みついたりしないですよねぇ」
「真田さん、よく平気ですよねぇ…私は犬駄目なんですよ」
立花が犬の写真を見てぼそりと言った。
「立花さん、犬駄目なんですか?」
「ええ、一度海外で野犬の群れに襲われた事があって…それからは…」
「ふふふ、立花さんが顔合わせに立ち合わなくて良いですよ。
真田さん、来週に彼らを朝霞の装備部につれてきますから、コミュニケーションの取り方とか命令の仕方とか習って下さいね」
「はい、判りました」
その後、私たちは調査する現地の写真などを見せられた。
一件何でもない様な森なのだが、よくよく見ると違和感を感じた。
「なんか、変な感じですよね、この森…なんだろう?
デッサンが狂っている様な…」
「真田さん、鋭いですね。
そう、デッサンが狂っている。そんな感じですよ。
例えばこれ、この辺りを拡大してみて下さい」
私は立花が差し出したルーペを借り、写真の立花が指示した箇所を見た。
「…ええええ!何ですかこれ?」
立花が指示した個所に生えていた杉、途中でひん曲がって、何と一回転している。
その他にもルーペをずらして木々を見て行くと色々と不自然な個所があった。
落葉樹であるはずのクヌギなのに松の様な細く鋭い葉が幹から直接生えていたり、ブナの幹に巻き付いている、つる植物が途中からいっぺんに幾つも枝分かれして大きな球体になって地面に落ちていたり…
「よく見れば見るほど気持ち悪いですね…」
「ここでは植生が周りの山と違って特殊と言うか…まぁ、木が発狂している感じだね」
「チェルノブイリ思い出しましたよ…放射能とか…じゃないですよねぇ?」
「先行調査を行った限りでは、ガンマ線やコバルト放射などは認められなかった…異常な電磁波が微量に…それと、クルニコフ放射が異様に高かったね。
佐伯邸の最高数値の1・6倍近くを叩きだしたよ」
「何か…はあると言う訳ですね?」
「確かに何かはあります。
真田さん、ヒバゴンて聞いた事あります?」
「ああ、ヒバ山のビッグフットみたいなやつでしょ?」
「そうです、山窩伝説とヒバゴンと私は何か繋がりがあるかもしれないと思っていますけど…」
「今度は違う意味で物騒な感じですね」
「うふふ、そこで今度は真田さん自身にも武装して頂きます」
山口がエレガントに微笑みながら言った。
「と言っても、佐伯邸で使用した麻酔銃とサバイバルナイフ程度ですけど、まぁ、屈強な元軍用犬とか警察犬が3頭もいれば大丈夫だと思いますけど。
今回は周囲3キロに渡って規制線を張りますから、真田さんと3頭の犬以外は調査場所の山の中には人っ子ひとりいないんです。」
私は山口の説明を聞いて少しだけ心細くなった。
続く