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騎士ってのは大変だ。~虚空の英雄~  作者: 豚肉の加工品
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プロローグ

リハビリ、ですね。

 生まれた時から人生っていうのは始まっているらしい。

 育った環境で性格ってのは決まっていくらしい。

 生きて行く経験で考え方ってのは変わっていくらしい。


「…………立て」


 子供というのはある意味で恐ろしいものだ。良く言えば言われたことをそのまま行うことの出来る、俗に言う〝良い子〟にもなれてしまうし、悪く言えば言われたことが出来ない、俗に言う〝悪い子〟にもなれてしまう。

 

「…………立て」


 挙句の果てに〝使えない子〟などと言われて捨てられてしまうような子供だっている世の中だ。


「…………もう終わりか、クレー。私たちがどうしてお前を拾ったのかを考えろ、立て」


 薄暗く視界の悪い場所に血塗れで俯せに倒れた少年は、とうとう立ち上がることはなかった。

 何度も、何度も、何度も、何度も繰り返された訓練と称した拷問に耐えきれず、少年の体が限界を迎えたのはもう何度目の「立て」というセリフかは分からない。

 血塗れの少年を何も思うことのない空洞のような瞳で見下ろす初老の男は、未だに誰かの地で錆び切った剣を手放すことはない。そして何拍か時間を置き、ようやく少年の微かな呼吸が耳を掠めた瞬間に追い打ちをかけるように少年の体を蹴り上げる。


「生きているのなら早く立て」


 だが、その声は届くこともなく少年は呼吸を止める。





 人里離れた森の中、人の気配も魔獣の気配も感じることはないその場所は〈虚ろの森〉と呼ばれており、名のある冒険者でもない限りは近づくことすらもしないような場所であった。

 そんな恐ろしくも悍ましい森の中で、金属と金属が弾ける音が響き渡っていた。


「遅い」


「……ッ!!」


「防ぐな、返せ」


 脇腹を抑えながら地面に蹲る一人の少年を前に、止まらず追撃を繰り出す若い男(・・・)。その空虚な瞳は少年を捕らえ、恐ろしいほどに加速した剣が振り下ろされた。

 だが、その剣は空を斬り裂き大地を裂く。


「死ね」


 極限までに力を受け流したことによる空を斬った感覚、それに連ねるように大地に剣閃を走らせてしまうという過ちによって男に僅かな隙が生まれた。その小さな隙を見逃すこともなく、完全な死角に跳躍していた少年は男の首を切り落とした。


「……ふぅ」


 まるで()から覚めた時のような感覚が、体を通り抜けていく。

 少し気怠く、だが妙に頭で思い浮かべたことが鮮明な感覚。


「終わったかい?」


 振り返れば、まるで三日月のような笑みを造る一人の女性が立っていた。


「……全員、殺した」


「うんうん。見込んだ通りで何よりだよ、やっぱり君を拾って来て正解だった。それじゃ戻ろっか、君の存在が必要な場所に」


 生まれた時から人生っていうのは始まっているらしい。

 育った環境で性格ってのは決まっていくらしい。

 生きて行く経験で考え方ってのは変わっていくらしい。


 少年――――クレーは立ち尽くした。呆然と……あるいは無意識にどこか空虚な存在でもみていたのだろう。瞼を閉じても、耳を塞いでも、口や鼻を抑えても、嫌でも感じ取ってしまう〝死〟から溢れた数多の何かを。

 彼は目的も何も分からないまま、ここまで到達してしまった。

 感情というものには一切触れることなく、ただただ無情に力をつけさせられたのだ。


――――例えるまでもない絶対的なまでの力を。


「ほら、そんなとこに立ってないでこっちに来な?」


「…………あぁ」 


 女性に言われるがままに近くに寄れば、瞬く間に別の場所に立っていた。景色は一変し、どこかの建物の中だろうか……森の中とは違い、逆にこちらには物があり過ぎた。


「さ、これ着て? 今の君はほぼ全裸だから…………あぁ、あとこれが君の剣ね。因みにもう君の体は綺麗にしたから心配しないで」


 渡された衣装は触れたこともない感触をした汚れの一つもない服と禍々しく煌めく黒い剣だ。


「…………?」


「首傾げてないで早く着てってば、これから――――」


 女性は急がせるようにクレーに服を圧しつけるが、ふわりと鼻腔を抜けて行った花の香りに意識が釣られるように扉の方を向いた。


「……誰か来る」


「え?」


 女性が扉へ振り向くと同時に、ゆっくりと扉が開かれた。

 それと同時に外の空気と室内の空気が混じり、またもや花の香りが漂った。


「――――お、遅かったぁ……」


 今まで感じ取ったことのない柔らかな空気を身にまといながら、静かに扉からやって来たのは一人の少女であった。ブラウンの髪を背中の方まで伸ばし、少しだけ汗を額に滲ませながら申し訳なさそうに入室した少女。


「す、すみませんっ! 少し――――」


「…………?」



「きゃぁぁああああ!!」







前年から今年の始まりまでは地獄のような日々でした。

まるで、その年の厄が収束し一撃をぶちかましてきたような感じで。

怪我もあれば病気もあるし、事故もあれば事件もあった。ふざけた日常で「こんなことあるか?」とベットの上で思わず高笑いしてしまったほどでした。


でも、これらを全て解決させたのでまた投稿を開始します。

まずはリハビリということで投稿しました。



あと、明けましておめでとう!!

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