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異世界には村もなかった  作者: 西玉
第2章 ダンジョン攻略編

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54話 洋館潜入

 魔法の石版に映るオーブの位置と、俺が5人の傭兵と歩いてきた距離から考えて、オーブの位置はそれほど遠くはない。

 直線距離で100メートルぐらいではないかと思われた。


 もっとも、オーブの実物を俺は見たことがないし、100メートル先が崖地となっているなどの状況次第で、簡単には見つからないだろう。

 5人の兵士がまだ生きていれば、オーブに近いところにいるのだろうと思われる。


 ならば、ゾンビも片付いているはずだ。

 武器も食料も手に入れた。

 俺は、散弾銃に薬莢を詰めた。コンテナに置いてある散弾銃では2発しか装填できないが、対人間用に作られた他の銃に比べ、とにかく殺傷力が高い。脳を撃てば動きがとまるという映画のような特性がない以上、これ以上有効な銃器はない。


 どうして5人が散弾銃を持って出なかったのかは、俺にはわからない。

 問題は装填だ。一度に最大2発までしか装填できず、続けて撃つには素早く装填する必要がある。なので、俺はあえて散弾銃の薬莢を箱から出して、石版のアイコンに一つずつ収納してみた。


 アイコン一つで、薬莢一つを収納することができた。繰り返すと、アイテム画面は散弾銃の薬莢だらけになるが、上下方向にスクロールするので限界ではない。

 ダイナマイトも箱から出して一つずつ収納する。使うたびに箱ごと取り出す手間が省けるはずだ。


 俺は満足し、散弾銃に薬莢を詰め、ダイナマイトとライターを取り出した。散弾銃の使い方については推測でも使ってみるしかない。

 使えなければ死ぬしかないのだ。開き直りができる程度には、現在追い込まれている。


 コンテナハウスの壁に耳を当てる。

 足音も騒音もするが、コンテナハウスを破壊しようとしているわけではなさそうだ。生きた人間がここにいることがばれているわけではないのだろう。

 俺は、コンテナハウスの扉を少しだけ開け、外を覗いた。


 コンテナハウスに殺到しているわけではない。だが、地方の夏祭りぐらいには、ゾンビが歩いている。

 飛び出せば囲まれる。

 俺は、ダイナマイトにライターで火をつけた。

 導火線が勢いよく燃え上がる。


 扉を一気にあけ放ち、10メートルほど先に向かって投げる。

 近くの木に当たって落下した。俺は慌ててコンテナハウスの扉を閉めた。

 轟音と共に、コンテナハウスが揺れた。

 扉は融解せずに開いた。


 ゾンビたちが吹き飛んでいた。

 倒れていた者が立ち上がろうとする。だが、倒れたままの者もいる。

 俺は、散弾銃を抱えて飛び出した。

 大きな音に寄ってくるかもしれない。出来るだけ、急いだ方がいい。


 右手に散弾銃を抱え、左手にはいつもの石版を持った。

 生命魔法をタップする。

 心肺機能と脚に力を送り込みながら、地面をかける。

 コンテナハウスは林の中に置かれていた。


 少し走ると、林が切れた。

 古びた洋館が見える。

 街の先にある洋館ということは、この辺りの有力者の屋敷なのだろうか。

 いずれにしても、長いこと手入れがされていないのだろう。屋根は部分的に崩れ、窓がない場所からも建物の内部が見える。


 門の残骸を越えたところで、ゾンビに立ち塞がれた。

 散弾銃を放つ。

 目の前にいた3人がまとめて吹っ飛び、倒れた。


 散弾銃は、薬莢の種類によって小さな玉をばらまくものから大きな一つの玉で貫通させるものまで多様にある。一番大きな玉で頭部を撃ち抜いても、ゾンビは殺せない。

 だから、まず動きを止めるため、細かな玉をばらまくタイプの薬莢を俺は詰めていた。


 効果は思い通り、ゾンビたちはまとめて吹っ飛び、立ち上がるまでしばらくかかり、手足の欠損で動きがぎこちなかった。

 ゾンビたちを飛び越えて進む。

 さらに近づこうとしたゾンビを撃って退け、石版の画面を横にスライドさせる。


 アイテムの中から薬莢を選択して取出し、散弾銃に詰めた。

 玄関の扉を開ける。

 ゾンビはいなかった。

 屋敷の中に入った。


 扉を閉めようとした時、背後に迫っていたゾンビの群が目に付いた。

 俺はダイナマイトとライターを再び取出し、投擲した。

 轟音を聴きながら、俺は洋館への侵入を果たした。


 ※


 洋館に入った直後、ゾンビはいない。そう判断した。

 だが、外にいたゾンビをダイナマイトで吹き飛ばして振り返ると、中央に図書館のようなカウンターがあり、カウンターの内側から、腐った死体が3体立ち上がった。


 俺は散弾銃を構え、引き金を引かずに思いとどまった。

 俺とゾンビ射線上で、明滅している青い光がある。

 カウンターにパソコンが置かれ、しかも起動している。

 この街の様子や洋館の古びた様子から推測して、ずっと電源が入ったままだったということは考えられない。


 俺に先行して洋館に入った人間たちがいた。武装した、戦闘の専門家たちだ。

 その人間たちが利用したのだ。

 何か役に立つ情報があるのかもしれない。

 パソコンの画面がカウンターの内側を向いており、俺からは画面が見られない。


 俺は、パソコンを傷つけないようにカウンターの横に回った。

 ゾンビのうちの二体がカウンターを回り込んで俺に向かってきた。一体はカウンターを乗り越えようとして、もたもたしている。

 俺は再度散弾銃を構え、手を伸ばせば届きそうな至近距離まで引きつけ、引き金を引いた。


 ゾンビの体が抉れ、くずおれる。

 俺は倒れた一体の頭に向けて引き金を引き、生命魔法をタップして、脚に意識を集中しながらゾンビの頭を踏み潰す。頭が潰れても活動は停止しない。だが、俺に向かってくることはできなくなる。

 俺は散弾銃の薬莢を詰め替え、カウンターを乗り越えつつあったゾンビの頭部に銃口を押し当てたまま、引き金を引いた。


 ほかにゾンビがいないことを確認しながらカウンターの内側に入る。

 やはり、パソコンが動いていた。

 モニターに図面が表示されている。


 洋館の地図だろうか。

 俺は近づこうとした。

 脚を取られた。

 俺が足元を見ると、見たことがある服を着た、まだ新しい男の死体が倒れていた。

 俺が遭遇した5人のうちの一人だ。


 現在は4人になっているということだろう。

 俺は散弾銃をしまい、短剣を取り出す。異世界から持ってきたものだ。

 装備を剥がそうとした。服まではもらうつもりはないが、武器は役に立つ。


 男はライフル銃を持っていた。まだ死体の手に握られている。荷物になるのか、仲間も置いていったようだ。ゾンビ相手にはあまり役に立たないと思われるが、持っていて損はないだろう。俺にとっては荷物にはならない。魔法の石版のアイコンに変わるだけだ。

 俺がライフル銃に手をかけたとき、男の頭部が持ち上がった。


 唸り声を出し、俺にかみつこうとした。

 予期していたことだ。俺は、逆手に持った短剣で男の顎を破壊し、頭蓋骨を粉砕した。

 すでに魔物の死体だ。俺は、動かなくなった死体を蹴飛ばしてどかした。

 パソコンに向き直る。


 俺がいる場所が、赤く表示されている。

 どうやら、非常に深い位置に地下施設が存在しているようだ。洋館の奥にエレベーターがあり、地下の施設に繋がっている。

 地下には複数の部屋がある。どうやら、地下の研究施設のようだ。


 俺が遭遇した兵士たちは、研究の成果を取りに来たのだろうか。

 俺は、魔法の石版で地図を表示させた。

 二次元上の位置しか表示されないが、俺が壊さなければならないオーブは、洋館の外にある。可能性は二つだ。洋館を出て、建物を回り込んだ林のなかに転がっているか、地下施設の奥の部屋にあるかだ。


 まさか、林の中に転がっているということはないだろう。

 どうやら、俺は地下施設を目指さなければならないようだ。

新作更新中です。

100日勇者と100日魔王 ~勇者と魔王に異世界転移した、新婚夫婦の100日間~

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100日連続更新挑戦、継続中です。勇者と魔王、それぞれの100日間、こちらも是非。

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― 新着の感想 ―
>細かな玉をばらまくタイプ バードショットの事だと思うけど。これだとゾンビを一体でも"吹っ飛ばす"ことは無理。 大粒の散弾のバックショットなら距離に依るけど一体なら止めるのは出来ると思う。 (実際に試…
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