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『水の精霊よ、我が望みを叶えよ!』


渦潮のような膨大な水が竜巻のように捻りながら、邪悪な存在に体当りをする。

大賢者が統べる水の魔法が発動し、一気に形勢が逆転していく。


ゴゴゴゴーーーー。


キィィィー!! ドッ!ダーン!!!!





ワアアアーーーー!!


目の前に居る邪悪な存在への恐怖よりも、助っ人に来た大賢者の傍にいられる歓びに、心が沸き立つ方が大きい。

騎士達が歓声を上げ、姫が大賢者と抱擁して…。






ーーーーはああ、素敵。


この異世界転移のラノベ、大当りだったよ。

総合ランキング上位ではなかったけれど、月間ランキング35位だったし。


全135の結構読み応えあるラノベを読み終わり、余韻に浸る。

あ~あ、私も魔法がつかえたらなぁ…


私の名前は『(たちばな) 美並(みなみ)』15歳、高校1年生。

どこにでもいる普通の女子高生だ。

彼氏もいないし、バイトも部活もない。

近所の公立高校に通っているから自転車通学。

出会いもない。

はっきり言って、つまらない…高校生活が始まったばかりなのに。


第一希望の私立高校に不合格だった。

滑り止めの高校に行くつもりはなかった。

担任が念のため受けとけと言って、適当に受けただけだった。

まさかインフルエンザで受験出来ないとは…予防接種受けてたのに…はああ、辛い。


当然、高校に行ってもテンション低い私はクラスでボッチだ。

当たり前だよね、いかにもこの学校は不本意ですって雰囲気出している女子高生に声を掛ける奴なんていない。

私だって、そんな奴なんて無視だから、当然の結果だ。


だから、今は現実逃避的にラノベを読み漁っている日常だった。中学時代の友人達からのL◯Nも既読すら付けていない…放置だった。だから6月の今、誰からの連絡もない。



今日は土曜の昼、兄は大学2年で彼女と遊びに出掛けているらしい。共働きの両親は其々管理職で多忙だ。

父はカナダへ2週間の出張。母は福岡に単身赴任中。


自由を満喫している私は読書三昧。





はああ…魔法か。現実的に魔法なんてある筈は皆無だ。

話題に出したら、ソッコー笑ってくれる人は優しい方で、大方顰蹙だ。

私が居なくなったら、誹謗中傷が妥当だろう。

痛すぎるし。




けど…

左手を胸の前に出し手の平を上に向けて声を出してみた。

『水の精霊よ、我が望みを叶えよ!』




これで水が出るわけないけれど…突然やってみたくなったのは、私が自分の部屋でひとりなのと、家族が全員不在で最近人と話す機会がめっきり減ったせいだろう。

う~ん、人は心が不安定になると意図しない行動に出るものだよね。




あはは…馬鹿みたいだった。




手を下げようとした瞬間、ポタポタ…。






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