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プロローグ
ひとりの男との出会いが、私の人生を大きく変えた。
彼を知る人は皆、その男のことをクズだと言った。
そしてその男も自らのことをクズという。
でも私はそうは思わなかった。
私の目に映る彼は誰よりも優しい。
家族を思い、友人を大切にし、今を楽しみ、人生を謳歌する。
自我を曲げず、感情に素直で、呼吸をするように嘘をつく。
悪いことをしても1度謝るとすぐに開き直り、一緒にいても話が尽きることは無い。
寂しがり屋で一人で居るのが嫌いだけど、一人の時間も欲しい人。
悪くいえば、自己中心的とも言うが、彼は明らかに私と違った。
だから彼に憧れ、惹かれた。