変わったヤツらの物語
「Je vais bien(私は元気です)
Que fait-il(彼は何をしていますか)」
髪の長い少女は学校のフリースペースで本を読みながら呟いた
少女の名前は桜宮仁美
「なにそれ?」
聞き覚えのない言葉に困惑する隣に座っていたスマホを弄っていたもう1人の少女、細川小絵は半分笑いながらスマホをいじるのをやめて仁美に問いかけた。
「ここに書いてあったの。どこかの国の言葉だと思うわ。
意味は私は元気です。彼は何をしていますか?」
そんな2人の会話を聞いてもう1人の真川由紀が返事をした。
「それ、フランス語じゃないの?」
小絵が口を開く
「え、由紀ちゃんフランス語分かんの?!」
由紀が答える
「えー?分からない」
小絵が由紀のその返答に笑う。ではなぜ分かったのかと続けて聞くと、由紀は聞いたことのあるフレーズだと答える。
確かに、そのページの隅に小さくフランス語であったのだと書いてあるのに気が付き、一同は理解する
そしてフランス語であるということで、さらに小絵が2人に質問した
「アムールって知ってる?」
2人は知らないと、首を横に振った
続けて小絵は話す
「アムールって、フランス語で愛情とか、恋愛って意味らしい」
なぜ知っているのかと由紀は小絵に聞いた
「雑誌かどっかで読んだー」
そんな話をしているとチャイムが鳴る。
ここは通信制の高校、システムは大学のような感じであり3人は2年生である。仁美と由紀は共に同じクラスであるが、小絵だけは2年生の春から編入してきたばかりで、しかも違うクラス
元々この3人が仲良くなったのはクラブ活動のような生徒会みたいなもので知り合ってからだ
小絵は明るい性格で寂しがり屋のため、一人は寂しかった故にそのクラブ活動にいた2人に話しかけたのがきっかけである
授業は自由参加、1年の決められた授業日数さへ出れば後は好きにしていいのである。
次の国語の授業に出るからと、小絵と由紀は立ち上がり階段を登る
仁美は一人で読書タイムだ
その時、階段から降りてきた1人の男がいる。
彼は小絵と同じクラスの2年生、同じクラブ活動にいる。
名前は稲垣凛
仁美の好きな人だ
「!凛くん…っ」
仁美は胸をときめかせ、凛に目を奪われた。
もちろん、凛は仁美の好意を知らない
包容力があり、ほんわかとした性格であだ名は1部の人からはパパと呼ばれている。
そして凛の隣にいるのがクラブ活動のリーダー的な性格をしている斉藤総悟。仁美や凛、由紀や小絵達とは違うクラスであり、鬱陶しいほど熱いやつである
そして、総悟は小絵の初恋の相手である。
総悟が仁美の存在に気付き、声を掛ける
「よぅ!仁美なんで一人なんだよ。
何時もは小絵もくっ付いてるだろ。あのうるせぇ奴」
続けて凛が仁美に挨拶した
「おはよう。仁美ちゃん」
2人の問いかけに仁美は答える。
「小絵ちゃんも由紀ちゃんも、次の授業に行っちゃった」
総悟が興味なさげに、今日の授業で仕上げたレポートを職員室まで提出しに行く
フリースペースは仁美と凛だけになった。
先に沈黙を破るのは仁美
「あ、あの、凛くんは、もう今日は授業には出ないの?」
凛が答える
「え?うーん。次の次の授業の生物は受けようか迷ってるところ」
次の次の6時限目授業の生物は、仁美が今日受けようと思っていた教科である
すかさず、迷っているとい言葉に反応して誘ってみる
「じゃあ!受けよう!?一緒に!生物!!」
「う、うん。いいよ。一緒に受けよう5時限目の生物」
ほんわかと笑いながら誘いを受ける凛
その間に帰ってきた総悟の周りには、四人の女の子と男の子が増えていた。齋藤総悟から見て右にいるのが小絵と同じクラスの米谷美紀、その2つ右が泉谷賢太郎、左が1年生の双葉理沙、2つ左が同じく理沙と同じクラスの依道蘭
みんなクラブ活動で仲の良いメンバーである
そして、はたまたここでもそれぞれに好きな人がいる。
美紀は小絵が、賢太郎は蘭が、そして理沙は凛が好きなのである
これが私たちの日常、これが彼らの平和な日常である