【番外編2】「大っ嫌い……だったお姉ちゃん」その1
【番外編】「お姉ちゃんなんて、大っ嫌い…」の続きとなります。
第1部終了前に、色々整理しつつまとめている最中。
【番外編2】「大っ嫌い……だったお姉ちゃん」その1
<姉を探して>
今、私は”神職”の要”審判の間”の施設の前に来ている。
現世と異世界の間にある世界、詳しい事は興味がなかったので調べていない。
学校のカリキュラムで”審判の間”のある施設内部を見学する事がある。
この世界では”審判の間”を支える”施設管理部”で働く事はステータスになっている。
この世界は、現世に良く似ているが実際には違う。
”神職”になる、いわば神様がこの世界を設定できるのである。
この世界から管理している異世界へと転生を望む者もおり、
私も異世界を疑似体験するカリキュラムで見たことはあるが、
そちらは俗に言う、ファンタジーの世界だった。
私は現世では古臭いとされている、こっちの【昭和】の方が好きだ。
剣や魔法なんて柄じゃないしね、いずれ、”この世界に生まれ変わる”か、
”異世界へ転生をする”かの選択があるらしいのでその時に考えるつもりだ。
そして、今回はそんなことよりも大切な用事で私はここにいる。
クラスメイトは、滅多に入れない施設を前にテンションマックスだが私は違う。
小学校に上がると同時に、私を捨てたお姉ちゃんに会うためだ。
お姉ちゃんがここで働いていることを付きとめ、
パパに、お姉ちゃんに会うための”鍵”を預かった。
この金色の鍵をどこで使うかは分からないが、
今はチェーンをつけてネックレス状態で胸の中に隠している。
「もうすぐ、会える……もうすぐ……」
逸る気持ちを抑え、施設内に誘導される列に並ぶ。
「ねぇねぇ、リアぁ!私、将来何処に配属されるのかな?
施設内の事務系?それとも管理部かなぁ、まさか”神職”になっちゃったりしてぇ!」
クラスメートのサリアだ、うざい位にテンションが高い。
「気が早いよ、第一に適性がなきゃ施設内勤務だって難しいでしょ?」
「ああ、リアは夢がないなぁ~、夢はでっかく持ってもいいじゃない?」
「あー、さよけ、なれるといーね神様に」
「そうそう、リアは神様になれたら何したい?どうしたい?
私は、現世と同じ、最先端のお洒落でハイテクな世界に変えてー!それからそれから、
税金上げまくって、カジノを作って荒稼ぎして大金持ちになるわ~!」
「完全な、独裁者じゃない……クーデター起こされて殺されるのが目に浮かぶわ」
「ひど!じゃぁ、リアだったらどうなのさ!」
「私?私はこのままがいいな、ネオンや照明で煌びやかなのよりここの夕焼けの方が好きだから」
幼き日の、お姉ちゃんに手を引かれて、家に帰るときに見た夕焼けを思い出す。
二人の影が重なって、一つになった時に大はしゃぎしたっけ……。
「リアってば、お婆さん臭いよ!古いよ!だからバージンなんだよ!」
「ばっ!そんなの関係ないでしょ?」
とんでもないことを言いやがります、この女。
「ふふん、やはりか、あんだけ交際申し込まれて、未だに誰とも付き合わないとは。
ひょっとして百合?リアならいつでもお嫁さんに貰ってあげるよ?」
「いっぺん、死んで来い!」
”ゴチーン!”
「あだ!もぉ、ぶつことないじゃんー」
『あー施設内でははしゃがない様、静かにお願いしまーす!』
「「すみませぇん……」」
誘導員の人にメガホンで注意された。
「まったくサリアのせいで……」
「落ち着いた?」
「え?」
悪戯っ子の様にニンマリするサリア。
「なんかリアさー、すっごい思いつめてたみたいだったからさー」
「あ……そっか、ありがと、サリア」
どうやら顔に出てたらしい、サリアには見抜かれてて、励まされたようだ。
「へへへー、今日の帰りクレープ奢りって事で」
「へいへい、畏まりました。」
先に進む友人の背中に、感謝しながら本来の目的を思い出す。
「ここには……いない……」
同じ髪の色で20代後半の女性に絞り、注意深くスタッフを観察していく。
パパは”審判の間”でって言ったから、施設の最奥付近のスタッフなのかもしれないと思ったが、
確かめずにはいられなかった。
『ここより”審判の間”となります、”神職”も仕事中となるため、お静かに願います』
流石に、クラスメイト全員が静まり返った……なにせ”神様”に一番近い場所になるから。
施設の最奥、”審判の間”と”施設”を繋ぐ場所に大きな扉がある。
この先に”審判の間”の入り口がある。
守衛さんの中には……いない、残るはこの先しかない。
どうしよう、心臓がどきどきしてきた……”今なら引き返せる”そんな逃げ腰な気持ちを振り払う。
「この先に、お姉ちゃんが……いる!」
上手くまとめたいところですがなかなか難しい。