【番外編】「お姉ちゃんなんて、大っ嫌い……」
とあるゴリ、いや誰か…の物語です、見なくても大丈夫ですが色々と掘り下げてみたかったので興味があればです…
<伊勢海助が異世界を知る前……
異世界への入り口の世界のとある幼稚園の作文>
【わたしのおねえちゃん】
どらごんぐみ りありす・ふぉーれん
わたしのおねえちゃんはおっちょこちょいです
どれぐらいおっちょこちょいかというと
パジャマでがっこうにいこうとしたり
パンとまちがえてごはんにジャムぬったりします
このあいだはおトイレをおフロをとまちがえたのか
おトイレではだかでねむっちゃっていました
ほんとにおっちょこちょいです
でもわたしはしっています
それはしかたのないことだと
おねえちゃんはあさはやくおきて
わたしのあさごはんやおべんとうを
つくってくれて
ようちえんまでおくってくれて
がっこうのかえりにむかえにきてくれます
そしてわたしとあそんでくれて
ばんごはんをつくってくれて
わたしがねるまでそばにいてくれます
パパとママがおしごとでいえにほとんどかえってこれないので
おねえちゃんがくたくたになるまでがんばっているのです
おっちょこちょいでなきむしだけど
わたしはおねえちゃんがだいすきです
おしまい
<伊勢海助が異世界物を知る少し前……
異世界への入り口の世界のとある小学校の課題作文>
【私のかぞく】
1年3組 リアリス・リード
私のかぞく
パパとママとお姉ちゃんがいました
今はいません
パパとママはじこで死にました
パパのお友だちが今の私のパパです
今のパパにはママがいません
むかしに死んじゃったらしいです
お姉ちゃんは
お姉ちゃんは私をいらないと
私のお姉ちゃんをやめてしまいました
今はあかのた人です
きっと私がきらいになったんです
おわり
<伊勢海助が異世界物にどっぷり浸かっているころ……
異世界への入り口の世界のとある中学校の課題作文>
【私の家族】
3年3組 リアリス・リード
私の家族
父と母は、私が幼稚園の頃に事故で亡くなりました。
父の友人であった今の父が、
私を養女として、引き取ってくれました。
本当の娘の様に育ててくれて感謝しています。
あと、
昔、姉がいました……。
私の姉であることをやめ、私を捨てていきました……。
正直憎いです……。
物心つく頃には、常に側で見守ってくれていました。
大好きでした……本当に。
でも、私を捨てました。
この話を父にすると、すごく悲しい顔をするのであまり姉の話はしません。
きっとどこかで、楽しく暮らしているのでしょう。
大っ嫌いです
終わり
<伊勢海助が異世界転生を本気で目指していた頃……
異世界への入り口の世界のとある高校の課題作文>
【私の家族】
1年1組 リアリス・リード
私の家族
両親は、私が幼い頃事故で死にました。
姉がいましたが私を捨てました、
父の友人であった今の父が、私の父です。
父の勤め先にお弁当を持って行った時、
偶然、周りの会話から姉の行方が分かりました。
私を捨てた後”審判の間”で働いてるそうです。
そこは両親が働いていて、事故にあって死んだ場所です。
今の父の勤め先でもあります。
私を捨ててまで、何故そんなところで働いてるのかわかりません。
理解不能です、お金が儲けられればそれでいいのでしょうか?
腹がたってきます、
学校のカリキュラムで”審判の間”に見学に行くことになりました。
”神職”に適性があれば、将来務めることも可能になるそうなので、
クラスの皆は行くそうです。
今の”神職”……神様に顔を覚えてもらうチャンスでもあると……
くだらない、本当に……。
私は、正直行きたくありませんでしたが、行くことにしました。
姉に、姉に一言文句を言ってやりたいから。
何故、私を捨てたのか、問い詰めてやりたいから!
一発ぶん殴っても、構わないと思います!
私は姉が大嫌いです、それははっきりしています。
以上
※内容が過激であり趣旨と反しているため未提出扱いとして処理※
<伊勢海助が異世界転生をかなり本気で研究していた頃……
異世界への入り口の世界のとある家での夕食時の会話>
「ねぇパパ、明日パパの職場行くから……もぐもぐ」
おひたしを食べながら、パパに話しかける。
「なんだよリア、藪から棒に?学校の見学だろ?話は聞いてる……ポリポリ」
沢庵をかじりながら答えるパパ。
”どんなに忙しくても、夕飯は家族一緒に!”という謎家訓の為、
夕飯を一人で食べることは、余程の事がない限りなかった。
まぁ、寂しくならない様にとの配慮だと思う……そこは尊敬する。
パパは夕飯を食べてから、また仕事に行くことも珍しくない……。
年なんだから、無理しないでよね!こら!ビールは一本だけだよ?
「私の目的は見学じゃない……ずず……!
これ塩分入れすぎ、またお医者さんに怒られるよ?」
塩分高めの味噌汁をすすり、パパにダメ出しをする。
料理もまともに出来ないってのに、やたらと当番制にこだわるんだから……。
おかげで、私の料理の腕も料理実習で自慢できるくらいには、上達したし。
他の女子とも交流が出来て……ちょっと感謝してる。
「いいじゃねぇか、これくらい、ゴクゴク……ぷはー!くぅー!!」
ビールを美味しそうに飲むパパ……まったく、理解できない、
ビールの何がそんなにいいのか……でも、飲みすぎいくない!
「じゃぁ、明日からビール禁止ね!
お医者さんに言いつけるから……カチャカチャ……」
食器を片しながら、死刑宣告をする、明日からみそ汁は私が作るか……。
「ぬな!?……おうおうおうおう!この俺の、唯一の楽しみを奪う権利は、
バカ娘にだって、神様にだってありましねえぞ?このすっとこどっこい娘!」
袖をまくって、チンピラみたいなセリフを吐く。
まったく、これで ”審判の間”の”施設長”なんだからなー。
「うっさいよ!くそ親父!そこまで言うなら明日、神様に聞いてやろうか!!ああ?」
私も袖をまくって対抗する、ご近所さんからは”似た者同士”とよく言われる。
”バカ娘”と”くそ親父は”取っ組み合いモードのお互いの呼び方だ、
お互い本気で罵ってはいないけど、初見の人はびっくりするだろう。
小さい頃から取っ組み合いをやってるせいか、腕っぷしを買われて、
運動系クラブで助っ人にと、引っ張りだこになったんだよね。
でも、友達もいっぱいできたし、そこは、その……感謝してる。
「……え、いや、それはちょっと困る。
まぁ分かった、今日のところは勘弁してやるとしよう。ご馳走様っと!カチャカチャ……」
あれ?いつもなら、ここから取っ組み合いになる流れだけど……?
神様がそんなに怖いの?すごすごと食器片してるし?
「なあ、リア……お前、何が目的なんだって?」
パパが食器を洗っている、あれ?今日の当番、私だよね?
パパは普段、お姉ちゃんの話はしたがらないから……びっくりさせてやろうっと!
「お姉ちゃんを……ぶん殴りに行く!」
”ガチャーン!!”
「ちょ!ちょっと!何やってんの、パパ!ケガは?血出てるじゃない!」
パパが食器を割ったようだ、手から血がぽたぽた流れ落ちている。
何してんのさ……まったく、どんくさいなぁ……え?何でそんな表情するの?
「ど、どうしたの?何があったの……?」
「リア……お前今なんて?何て言った!!」
手から血を滴らせながら、パパは怒りの形相で私を睨む。
こんな怖いパパは、初めて見る……。
「お、お姉ちゃんが、パパの職場にいるってわかったから……。
私を捨てて、呑気に面白可笑しく、暮らしてると思ったら、腹がたって……」
取っ組み合うときにも見せたことのない、激しい怒気に委縮して、
私の目的を話した……。
「リア、お前……そんなにリコ……いや、
お姉ちゃんが嫌いか?そんなに憎いのか?」
パパは涙をながしていた、すごく悲しい顔をしていた。
「あ、当たり前だよ!私を捨てて、パパに押し付けて、自分は気楽に……」
”パァァァァン…”
「え?……」
パパに頬を叩かれた…何で?何で私が叩かれなくちゃなんないの?
「何すんだよ!くそ親じ……」
パパは、私を強く抱きしめていた。
泣いていた、大の男がだらしなく声を上げて、泣いていた……。
「すまない、お前に辛い思いをさせて……でも、違うんだ!
あの子は、お前を捨てたんじゃない……違うんだよ……」
パパの擁護の言葉に、私の感情が火が噴いた。
「じゃ……じゃぁ、なんでだよ!私が嫌いなんだろ?だから……!
捨てたんじゃないなら、何で……何で、なんでぇ……おいていった……の?
なんで……なんで、なんでなのぉぉぉ!!!」
あれ?なんで私泣いてるの?悔しいはずなのに?
お姉ちゃんが憎いはずなのに?会いたいのに?嫌いなのに?
大好きなのに……大っ嫌いなのに……もう、わけわかんないよぉ……。
「リア……お姉ちゃんに、今でも会いたいか?
より辛い事になるとしても、それでも会いたいか?」
パパは私の肩を掴み、真剣な眼でまっすぐに私の眼を見た。
私はこくりと短く頷いた。
パパは私の肩を放し、壁に掛けてある制服から何かを取り出す。
「リア、明日”審判の間”でこれを使いなさい、
使い方は、これが教えてくれる」
パパは、金色の鍵を私の手に握らせる。
奇麗な鍵……なんだか懐かしい感じがする。
「殴って悪かったな、もう遅い、早く寝なさい……」
パパはそう言うと私の背を押す。
私は鍵を握りしめながら、2階の自室へと向かう。
パパに叩かれた頬が、やけに熱い。
いつもは、私の顔には手を上げないのに、とても痛い。
「明日、お姉ちゃんに……会える?」
自室の机の引き出しを開け、薄い小さな箱を取り出し、蓋を開ける。
中には一枚の写真と古ぼけ色あせた紙の束。
子供の頃や、小中高で”家族”の課題で書いた作文が入っている。
何度も見直した、何故か捨てられなかった……。
今ならわかる、私は……私は……。
「私はずっとお姉ちゃんに会いたかったんだ……」
写真には、よく覚えていないけどパパとママ、
そして、ちっちゃな私のを引いて、優しい顔で笑うお姉ちゃん……。
中学生くらいかな?もう、今の私の方が背が高い……。
10年以上前か……。髪は長いかな?背は高いかな?
声も変わってるかもだし、太ってるかも?
結婚して子供もいるかもしれない……。
「でも、私の事なんて、覚えてないんじゃないかな……」
ぽふ!っとベッドに寝転がり、手の中の鍵を見る。
「お姉ちゃん、明日、全部……わかるよね?」
お姉ちゃんに、捨てられたあの日から、
私の心に刺さってる棘……抜けたらいいなと……。
……
うとうととして私は眠りに落ちて行った……。
夢を見た……幼稚園くらいの女の子が駄々をこねているところだ。
中学生位の少女が、一生懸命なだめている様だ、お姉さんかな?
女の子は大きな声で叫んだ……。
【お姉ちゃんなんか、大っ嫌い!!】
叫んだ女の子を、少女は微笑みながらそっと抱きしめるそして……。
【あらあらぁ……でも、お姉ちゃんはいつでも大好きですよー!!(*´ε`*)チュッチュ】
少女は、慣れた感じで女の子をあやす……なんか、いいなぁ……。
【お姉ちゃん、大……好きぃ!……大好きぃ!】
女の子は少女の首に抱き着く、仲直りしたようだ……。
……
「よかった……よかったね……すぅ……」
私は眠りながら泣いていた……。
「お姉ちゃん……」
小さい頃私が眠るまでお喋りしてくれた……
小さい頃私が眠るまで手を握っててくれた……
小さい頃私が眠るまで子守唄を歌ってくれた……
戻りたい……あの頃に……。
パパとママとお姉ちゃんがいるあの頃に。
今のパパも……小さい頃もみあげ滅茶苦茶にしたっけ。
私は眠りながら泣いていた……。
……でも笑顔だった、と思う……。
続きは本編内でさくっと語られる予定…ガッツリ書きたいけど本編が遅れちゃうですし…
お姉ちゃんのもあるけど…必要かなぁ、再会編だけでノリノリで書きたいとこではありますがw