第9話「異常で変異な特異点は神様を殺してしまった」『後編』その3
【第9話】
『異常で変異な特異点は、神様を殺してしまった!-後編‐その3』
■リアリス視点
悪夢だ……いや、手の痛みと何よりも、心の痛みが夢で無い事を、嫌という程実感させる。
お姉ちゃんは死んだ、痛めつけられ、辱められ、残酷に殺された。
「お姉ちゃん……」
私はモヒカン野郎の使う管理者権限で創られた、黒いウェディングドレスを着せられ、同じ様に創り出された悪趣味な椅子に拘束されている。
「ひょっほっほ~♪ いいね☆ いいねぇ★ その顔……最! 高!」
モヒカン野郎は、悪趣味なレザーのタキシードを纏って、キモい踊りを披露していた。
「くっ!」
神様のお姉ちゃんが敵わなかったんだ、私なんかがどうあがいたって、アイツには勝てない……でも、一つだけ、アイツに勝てる方法が一つだけある!
「お願い、審判の間……聞こえてるんでしょ? お姉ちゃ……神様は死んじゃったんだ、同じ血を引く私が神様になる! だから、だから仇を取らせてよぉ!」
私を護ろうとしたお姉ちゃんの気持ちを、苦しみを裏切ることになるけど、それでも、コイツだけは許せない!
「そーんな事、考えてたのぉ? いいよ☆ いいよぉ★ エロエロパツ金ちゃんが神様になったらぁ、じっくり★ たぁっぷり☆ 身体検査して、純潔とシンボルアイテムを奪っちゃうけどねぇ★」
「お願い、お願いよぉ……私に、こいつを殺させてよぉ……」
お姉ちゃんが死んだ今、審判の間は変わりを求める筈……まだ? まだなの?
そう、思った時だった……。
「それは……ひゅー……姉として……認められま……ひゅー……せんです……よぉ?」
「お、お姉ちゃ……」
「て、てめぇ、あんなに、腹の中ぐちゃぐちゃにしてやったのに……」
確かに心臓は止まっていた……でも、私が被せた外套を纏った、死んだはずのお姉ちゃんがその場に立っていた。
「息を吹き返したかぁ? それともゾンビになって、おいらのテクをもう一回味わいたくなったのかなぁ? くらぇぇ!!」
ドス!
「お姉ちゃん!」
モヒカン野郎の投げたナイフが、お姉ちゃんの左胸に突き刺さる。 お姉ちゃんは避ける事もせず……いや、避ける事もできない筈、立っているのが不思議なくらいボロボロなのだから。
「化け物め……」
「やめて! お姉ちゃんお願い! シンボルアイテムを渡して……本当に殺されちゃう!」
もう、お姉ちゃんが生きてるのなら、どうなったって構わない……私は必死だった。
「そうそう、今、渡さないとぉ~☆ 妹ちゃんを~てめぇと同じ目に合わせたっていいんだよぉ?」
「あなたはぁ……ひゅー……馬鹿ですねぇ……ひゅー……」
「ああん?」
「ごふ、シンボルアイテムなら……最初から……ひゅー……見せてますよぉ?」
「なんだとぉ!? ……まさか、そうかよ、そういう事かよ!」
ずちゅ……カシャァァン!
「え……?」
お姉ちゃんの胸に、突き刺さっていたナイフがひとりでに抜けた?
「私自身が……シンボルアイテムです……ひゅー……あなたはぁ、それに気づかず……馬鹿みたいに……ひゅー……無様すぎ……ですねぇ……」
「ぐっ! こ、このクソチビがぁぁぁぁぁぁ!!!」
ズニュルルルルル……
モヒカン野郎の体が、大蛇の姿となり口を大きく開いた!
「どぉりで、腹ん中や、身体中ぶち抜いても見つからねぇわけだぜ……なら、てめぇの、薄汚い貧相な体ごと喰らってやんよぉ!」
「管理者……権限により……すべての……」
バクン!!!!
「やだぁぁぁ! お姉ちゃぁぁぁぁん!!」
お姉ちゃんは、目を潰されてて、私のことなんか見えない筈なのに……それなのに、優しい笑顔を私の方へ向け、大蛇に飲み込まれた……。
………
……
…
「ひゃっはぁー! きたきたきたきたぁ! つ★い☆に きたぁ!」
シンボルアイテムを、その身に取り込んだモヒカン野郎が、人の姿に戻り小躍りしている。
もうお終いだ……こんな絶望を2度も味わうなんて……もういやだよぉ……。
「視える視えるよぉぉぉ! おいらは今、全てを掌握したよぉぉぉ!!!」
みんな……みんな死んじゃうんだ、あんな奴に辱められる位ならいっそ……。
「審判の間で自決なんてしたら……無理かもしれないけど、もし、生まれ変われるなら……
……また、お姉ちゃんの妹になりたいな」
モヒカン野郎が油断している今なら……私は舌を出し、歯を当てる。このまま勢いよく噛み千切れば、嫌なモノを見ずに死ねるだろう。 自殺なんて……したくないけど……でも。
ざしゅ!
私の耳に、肉を斬る嫌な音が伝わった……。
「次回予告」
ん? ああ、神様生きてたのね~しぶといしぶとい。
なんか、ずいぶん久しぶりな気がするけど気のせいDAYONE☆
あんなにドチャクソにされたのに、まだ生きてるなんて……今度は食い殺された?
ついてないねぇ、不幸だねぇ、自分自身がシンボルアイテムだなんてねぇ?
結局、モヒカン●は、宝箱に手を突っ込みながら宝箱を探してたんだね? おまぬけ☆
しかーし、審判の間を完全掌握だ! やったぜ! あれ? パツ金ちゃんが……?
なにはともあれ、神コロ編は、これで終わっちゃうね? やっとだね!
次回! 第10話『共有』に、レッツ、異世界ドライブ!
※諸事情により、番組内容とタイトルが変更になる恐れがあります。ご了承ください。
前回から随分と時間がかかってしまいました、ようやく本編再開(;^_^A
在宅仕事になって時間がとれるかと思いきゃ、そうでもなく、ちまちま書くのみです。
たまにブースト入っても寝落ちしてもだえ苦しんだりもしますが、
異世界編に早く移行させたいし、メイドさんにもブヒブヒ言わされないとタイトルガガガ……。
何はともあれ「異世界への入り口」編はクライマックスへ……行ける事を願おう。