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【番外編】「神様がいなくなった日曜日」その2

散乱していたネタを纏めました

【番外編】「神様がいなくなった日曜日」その2


-土曜日 午後11:50-


『審判の間・魂の書庫』



「ママ、こっちはこれで、えっと、8割位は終わりです」


「ご苦労様リコ、こっちも明日の分はあらかた終えたわ、残りは明後日に回せば問題なさそうね」


「パパの方は大丈夫でしょうか? いつも1対1で対面してるのに……」


パパは、この世界に訪れる人とは基本的に1対1で対面している。先代の審判長と同じスタイルなのだそうです。効率は悪いですが、しっかりと対話して納得してもらいたいとのことです。


「普段からまとめて数人ごと、ぱーっと、対面しちゃえば良いと思うでしょ?」


「はい、でも、それだと話したくても、話出せなくて話せない人もいると思いますし、パパのやり方は素敵だと思うのです」


ママは、空中に浮かんでる本の山を棚へと誘導して、後片付けを始めている。本が列を作って棚へ吸い込まれていく様は、まるで魔法のようです。


「先代様もそこに拘っていたみたいなのよねー、訪れる魂に罪はない、1人1人顔を見て話し合うべきだってね」


「ここは、対応に不満を言う人は少ないけど、効率が悪くて上からは良い顔をされないでしょうね」


「不満を内に秘めたまま、転生をするとどうなるのです?」


ふと思った疑問を聞いてみた、必ずしも満足して転生を選んだ人だけではないと思ったからだ。


「んー、事例としては少ないらしいのだけど、悪い人になるわね」


「”悪い人”ですか?」


「そう、補填された能力を、人を傷つけたり、私利私欲の為だけに使ったりね」


「そうなんですか、なんか悲しい事なのです……」


せっかく人生をやり直せるのに何でそんな事をするのだろうと、悲しい気持ちになった。


「あらあら、リコが落ち込んでどうするのよ?」


「は、はひ? そんな、顔に出ていましたかぁ?」


慌てて、顔をぶんぶん振ります。


「ふふ、やっぱり親子ねー」


「え? どういうことですかぁ?」


ママの言葉の意味が分からず、ぽかんとしてしまいます。


「ロイドもね、神様になった時は、ものすごーく悩んだのよ」


「パパも?」


意外だった、パパはいつも笑顔を絶やさず、皆を安心させていると思っていただけに想像が出来ない。


別に、神様になりたくてなったワケじゃないのよ、神様候補は別に居たからね。


「候補者さんがいたのに、どうやって神様に?」


「ふふ、聞きたい? もっと手が止まっちゃうわよ?」


「え? あ、あわわわ! ごめんなさい!」


どうやら手が止まっていたらしい、ママはくすくす笑っています。


「後ちょっとだし、少し休憩を入れましょ」


「は、はい、今お茶を淹れますね……」


作業を中断状態にして、私は棚のない壁に手を触れる。


カコン、シュイン!


私がイメージした通りのモノが、そこに出来上がる。


「相変わらず見事な物ねー、管理者の私より良くできていてお洒落だわ……」


「そうですかぁ? えへへー」


『審判の間』の中では、管理者のイメージによって、色々な物が具現化できるそうです、お風呂や、おトイレはもちろん、今私が具現化させた”喫茶店の一部”の様な物まで、色々と便利です。


「ゲスト状態でこれだから、リコが管理者になったらお店が丸々出てきそうね……」


「そうだったら、訪問者の方々にくつろいでもらえますねー♪」


「それはダメね、居座られても困るし、神様自身が接客までしてたら、時間がかかりすぎてサボってるようなモノよ?」


「あう、ダメですかぁ……素敵だと思ったですのに」


一寸、素敵な光景を思い浮かべていたが、見事に打ち砕かれました。


「でも、今の状態でも十分素敵よ? 私だったら、仕事をロイドにみんな押し付けて”リコカフェ”に入り浸ってガールズトークに勤しむわね!」


「それは、パパが可哀想ですよぉ」


「まったくだ、私だけ仲間外れは酷くないかい?」


「「あ……」」


「こっちも、ようやくひと段落したから顔を出したんだが、お邪魔だったかな?


何時の間にやら、パパが書庫内に入ってきていました。


「いえ、いらっしゃいま……じゃなかった、お疲れ様ですパパ、コーヒーでいいですかぁ?」


「あはは、一寸しんどかったからね、甘いココアでも頼めるかな? 可愛い店長さん」


「もう、褒めても飲み物しか出せないのですよー」


「あら、この私の前でリコを口説くなんて、いい度胸ね? ロイド」


「おいおい、隣宜しいですかな?お譲さん……」


「ええ、宜しくってよ? 神様がお隣になんて身に余る光栄ですわ」


「それは、お互い様ではないですかぁ?」


「「「ぷ!」」」


3人で一斉に吹き出し、二人しか座れないカウンターで、パパはママの隣に腰を下ろす。


「まだ、狭いのしか作れなくて申し訳ないのです……」


「「いや、ゲストがこれだけのモノを出せる方が凄いんだが」」


またハモってるのですぅ?


「イメージの問題で、居酒屋さんとかレストランは全然ですが、喫茶店ならなんとか」


「でも、イメージの産物とは思えない出来よねぇ……」


「ああ、サイフォン迄、本物としか思えない……」


「本で見る喫茶店とか憧れでしたし、家で喫茶店ごっこを一人でしてましたから」


「「あう……」」


何故か二人とも俯いてしまいました、どうしたのでしょう?


コポコポコポ……


サイフォンがいい香りを漂わせてコーヒーが出来上がっていきます。


カチャ、カチャ……


「ママはいつものブラックです」


「ありがとう、うう……いつものこの香りと味わいが、孤独の産物だったとは……」


「い、今は美味しく頂こうよ、せっかく淹れてくれたんだし……」


ママを宥めるパパにも、ミルクたっぷりのココアを出す。


「ああ、ありがとうリコ。 うん、いい香りだ」


流石に、コーヒー豆やココアの粉などは持ち込みなのです。管理者なら、何でも造り出せることも可能だと思いますが、やっぱり手間暇をかけて飲んで頂きたいという私のこだわりです。


師匠せんせいのおかげです……」


この、小さな小さな喫茶店は、実在する喫茶店が元となっています。ママの親友だった、エリナおばさんの実家が喫茶店でした、私がパパとママに我侭を言ったあの日、エリナおばさんが連れて行ってくれた”本物の喫茶店”その一部をこの場所に再現しているのです。


「エリナの実家か、学生時代は良く行ったっけ……」


「ああ、懐かしいな」


エリナおばさんは、興奮してはしゃぐ私に、コーヒーの淹れ方を教えてくれました。その時は店長であるエリナおばさんのお父さんが趣味で開いていただけなので、お客さんも訪れる方が珍しい位でした。

店長さんは私の師匠せんせいとなり、私も暇さえあれば店に通い孤独を紛らわせていたのです。


「そうそう、リコ、さっき言った”候補者”ってのも、毎日その店に通ってたのよ?」


「パパとは別の、神様になるかもしれなかった人ですか?」


「ああ、そういえばそうだったな……」


「さっきママが、パパは神様になるつもりはなかったって言ってました」


「ロイドはね、そいつの手が届きかけた”審判長の権利”を横から掻っ攫ったのよ」


「パパがそんな酷い事を?」


「それは酷い言い方だな、間違ってはいないが……」


候補者さんが手にしかけた、神様……”審判長の権利”をパパが奪うなんて、とても信じられないです・


「そいつはね、情熱的な人で、一人一人の対面も否定して、”魂はもっと効率良く廻すべきだ!”って機械的に処理して回転を重視するのを唱えていて、”審判長にもっとも相応しい”とも言われていたの」


「それは、あんまりなのです……」


「それも仕方なかったのよ、そいつの両親は”神職”に関わっていて、退職した後は管理している世界への転生を望んでいたの」


「でも、先代様の効率の悪い対面を知った時、転生を諦めて”昇華”を望んだ……」


ママの後をパパが継いだ、約束された転生を断り、成仏する方法を選んだという事だった。


「そいつの両親は、この世界が苦しい時を生き抜いてきたからね、そいつも両親には転生で人生をやり直してほしかったんだろう」


「それで、候補者さんは、効率重視に……」


もし私がその立場だったら? と考えると胸が苦しくなった。


「そいつは、次の審判長になるために自分を鍛え抜いた……こっちからは自分を追い詰めてるようにしか見えなかったけどね」


「ああ、総合格闘部の部長でもあったんだが、人が変わった様に、荒々しくなった」


「候補者さんの心は、寂しさと悔しさとやり切れない気持ちで、いっぱいだった様な気がします」


「「……」」


私の呟きに、パパとママがキョトンとした顔をする。


「今のリコと、同じことを言った人がいたんだよ」


「え?」


「総合格闘技部のマネージャーがね、試合中に相手を必要以上に相手を痛めつけていたそいつを、その場でぶん殴って、そいつに向かって叫んだんだ」


パパとママが、にやにやしながら話しだしました、そこって笑う所なんですかぁ?


「「”他人に、もやもやした気持ちをぶつける奴が、神様なんかになれるもんか!”ってね」」


パパとママが、またもやハモりながら言った。凄く気の強いマネージャーさんだったのですね。


「結局そいつは、同情からではなく、心から叱ってくれる理解者が欲しかったんだよ」


「事情を知っていた私達じゃ、ダメだったんでしょうね」


「男の友情というやつですね、素敵な方です……」


「「くっくっく……」」


感動でじぃんとしていた私を見て、パパとママが笑っています……なして?


「そのマネージャーは女だったんだ」


「しかもとびきり美人のね」


「じ、女性の方が、試合中に同じ部の部長を殴ったんですかぁー?」


うんうん頷くパパとママ、なんて豪快な方なのでしょう。


「そいつは、それ以来憑き物が落ちたようになって明るくなったよ」


「その……マネージャーさんとは気まずくなったりとかは?」


ちょっとその後が心配になって、恐る恐る聞いてみた。


「ああ、彼女は退部してしまってね」


「ええー! やっぱり、試合中に部長を殴った事に責任を感じて……そんな」


「違うわよ、母親を早くに無くしてて、家が忙しくて、父親を手伝うために退部したのよ」


良かったです、ギスギスしたまま退部だったりしたら悲しすぎます。


「「で、そいつはどうしたと思う?」」


パパとママがにやにやしながら聞いてきた、なぞなぞですかぁ?


「えっと、とにかく謝りたいとか……話がしたいとか……あれ?」


まるでドラマの探偵さんの様に閃きました!閃いてしまいました!神様でなくても探偵さんになら、なれるかと思う位に!


「毎日通っていたって……まさか? そのマネージャーって、エリナおばさん?」


「「正解!」」


ハイタッチをするパパとママ。 ふふ、まるで子供みたいです。


「そいつは、毎日エリナの店に行っては閉店まで入り浸っていたよ」


「”奢るから付き合え”って言われて、私達も良く一緒だったんだけどね」


「何故そんなことを?」


ふとした疑問をぶつけると。


「そいつは、格闘技も出来て、腕っぷしも強く怖いモノなしの様に見えて……」


「女性と話す事なんてなかったから、ビビってたのよ」


「はへぇー、甘酸っぱいですぅ、青春なのですぅ」


私も男の子となんて話す機会もないので、良くわかりませんがほっこりします。


「告白まで行くのに、随分かかったっけ……」


「こ、ここ告白できたんですね! あれ、でもエリナおばさんってトリスおじさんの……」


「そいつは、ガッツリとふられたよ」


「ええー!」


何かほっとしたような、残念だったような……トリスおじさんは一体どうやってエリナおばさんと?


「不思議そうな顔してるねリコ?」


「はい、そんなエリナおばさんを射止めたトリスおじさんは凄いなぁと……」


「エリナはねぇ、すっごいモテたのよ? 競争率は激しかったわね」


「学生時代はラブレター攻撃が激しかったけど、そいつが最終的に割り込んできた所為で、激減したけどな」


「エリナおばさん、好かれていたんですねぇ、でも誰かとお付き合いとかはしなかったんですか?」


「そういえば告白してきた人全員に、律義に一対一で返答してたわね」


「全員フラれたって、半ば伝説だったよ」


「はえ? 意中の人がいたからでは?」


意中の人がいたからお付き合いを断っていたと思ったのですが?


「エリナはね、持病があって、その所為で、お付き合いはしないって言ってたの」


「信じられません、あの元気なエリナおばさんが……」


「適性があって、施設管理部に勤める事になってから、そいつと再び会うことになったのよ」


「あ、そうですね、候補者でしたもんね、再会する機会があったんですね!」


ドラマみたいな展開に、どきどきします!


「そいつは、再会したその場で、また告白したんだよ」


「ほへぇ、でも……断られるんですね?」


トリスおじさんと結婚している以上、実らない恋の展開だとちょっと悲しくなります。


「そうなんだけど、そいつは土下座して食い下がったわ」


をを! 熱い展開です! ちょっと応援したくなってきます!


「”持病がなんだ! 俺ぁ、そいつをひっくるめてお前といたい! お前が欲しい! お前となら、どんなに辛くても前へ進める!”って皆の見守る中、エリナが凄く動揺してたわね」


「エリート街道まっしぐらだった男が、床に頭を擦りつけ懇願していたんだ、みんなびっくりしてたよ」


パパとママもその場にいたのでしょう、思い出すように話しています。


私は鼻息も荒く、続きを待ちます。 結果が分かっていても聞かずにはいられません!


「んで、エリナはようやく折れたのよ」


「はい?」


「”共に最後まで歩けないと思うけど、途中までなら……疲れちゃって動けなくなったら置いて行ってくれる?”って絞り出す様に震える手を差し伸べてたわね」


「それは、拒絶なのでしょうか? 期待なのでしょうか?」


「きっと両方だったんだろう、エリナにとっても、そいつにとっても、愛する者より先に死ぬ怖さが分かっているからね」


「そ、それで? ごくり……」


思わず拳を握ってしまいます。一体どうなるんでしょうか!


「そいつは言ったよ”っざけんな! 愛する女を置き去りにはしねぇ! 抱きかかえてでも前に進んでやらぁ! だから俺の女になれ!”って言ってエリナをその場で抱き締めたんだ」


「エリナも泣きながら快諾してね、”ぶちゅー”ってやっちゃってたわ……皆の前でね」


ぱちぱちぱち……


「素敵です! 感動です! 二人には幸せになってほしいです!」


私は涙を流しながら、拍手をしていました。本当に良かった……あれ?


「え? お二人が結ばれて、大変喜ばしいのですが……候補者の人がいるのに、トリスおじさんはどうやって」


「その候補者ってのがトリス本人だよ」


「ええええええ!!!???」


驚きました、神様の候補者がトリスおじさんだったなんて! 


「でも、なんで”神職”を目指してて、エリナおばさん

と一緒になったのに……」


「ああ、1年程後にね先代様が引退を宣言されて、トリスがまず選ばれると思われていたんだ」


「私達にも適正はあったんだけど、より効率の良い方法の提案をしているし、間違いないってね」


益々分かりません、何でトリスおじさんが『審判長』になれなかったのか……。


「エリナのお腹の中に、赤ちゃんがいたのよ……」


「ええ? でもお二人のお子さんがいたなんて……」


そう言えば、一度もエリナおばさんから子供の話なんて聞いたことが無かった。


「”審判長”が選ばれる日と、エリナの出産の日が重なってしまってね」


「そんな……」


「トリスは動揺してたよ、元々体が丈夫じゃないエリナは、出産も母体への危険が高かったんだ」


「私たちはエリナの見舞いに行ったときに言われたよ、”トリスの邪魔になりたくない”って、何があってもトリスの耳に入れない様に念を押された……」


「トリスおじさん……」


子供の私には理解出来ないが、とても心配していたと思う。


「『審判の間』の前に候補者が並べられて、選定が行われる最中、エリナが危険だと報告が入った」


「誰かが、トリスを追い落とそうと仕込んでいたみたいだったわ」


「酷い……でも、エリナおばさんの危険には変わりないですよね」


「明らかに動揺したトリスは『審判の間』に乱れた感情を見抜かれて拒否され始めた」


パパとママが辛そうな顔で言った。


「それで、私たちが……”奪った”のよ」


「え?」


ママがさっき言った”奪う”って……。


「私がトリスを殴り倒して、アリスが宣言したんだ」


「そうそう、”『審判の間』の前まで来て怖気ずいたの? こんなの【私達】で十分よ!”ってね」


「あはは、あれは、監察官も唖然としていたね、何せ二人揃って選ばれちゃったんだからね」


「ふへぇ? そんな経緯があったんですね……」


「出来ればしっちゃかめっちゃかにして、儀式の”延長”を狙いたかったんだけど、まさか選ばれるとは」


「もうちょっと言い方を考えるべきだったかしら、その所為でリコにも辛い思いをさせちゃったし」


ママが目を伏せて、表情を暗くしていた。


「気にしないでママ、そのおかげでエリナおばさんに色々教わることが出来たんですから……」


「リコはそう言ってくれるけど、トリスにとってはどうだったのかしらね」


「ああ、恨まれていてもおかしくないな」


「トリスおじさんは……その後……」


私の言葉に二人の表情に影が落ちる。


「ああ、儀式は中断という形で解散することになって、トリスはエリナの元へ向かったよ」


「でもね、そこで辛い選択をする事になったわ……」


パパとママは重い口を開けて語った、出産は難航し、母体と赤ちゃんが共に危険な状態になったと、駆けつけたトリスおじさんに突き付けられた選択「母親か赤子」どちらかを犠牲にしなければ、どちらとも助からないと……。


「トリスはエリナを選んだ……」


「エリナは泣いたわ、自分を選んだトリスを激しく責めた」


「そんな……」


私だったらどちらを選んだだろう? そう考えると身体の震えが止まらなくなる。


「トリスは告白の時の”言葉”を守ったと私は思う……」


「そうね、暫くしたらエリナは吹っ切れた様だけどね”失ったらまた手に入れればいい”てね」


エリナおばさんが、私やリアちゃんを愛おしそうに見ていたり、泣きじゃくる私をここに連れてきたりした理由が今分かった気がする。


「ひっく、えうぅ……」


私は泣いていた、そんな悲しい事があった上で、パパやママ、トリスおじさんやエリナおばさんはみんな生きて来たんだと、パパとママが神様になって忙しくて帰れないのも仕方がない事だと、我侭を言っていた自分が恥ずかしくなった。


「ひっく! ごめんなさい、私そんなことも知らないで……寂しいだなんて……」


「「リコ……」」


パパとママがカウンターを周って、私を抱き締めてくれていた。


「いいんだよ、お前はまだ子供だ、いくら我侭を言ったっていいんだ」


「そうよ、最近、頼り過ぎちゃって忘れがちだったけど、リコは私達の大事な宝物なんだから」


「ふえ、えう、ふふ、ダメですよぉ……リアちゃんを忘れちゃぁ」


親子三人で涙を流しながら笑いあった。心のもやもやが晴れて行った気がする。


「さぁ、もうこんな時間よ、残りをぱっぱとやっつけて、豚丼パーティでしょ?」


「そうだな、今日は複数対応に応じてくれた、5人が最後になる」


「そう、思ったより進んだわね、リコが頑張ったおかげよ」


「これを乗り越えれば、みんなで豚丼パーティですね!」


ピピ!


「ん? どうやら準備が整ったようだ、リコ御馳走様!」


パパの襟元から音がして、次の人たちを迎え入れる準備が整ったようです。


「私もご馳走様、さぁリコ、こちらももうひと踏ん張りよ」


「はい、頑張ります!」


………


……



……色んなことが分かりました、私の心は晴々として、とても軽くなっていました。パパとママともいっぱいお話しできました。トリスおじさんや、エリナおばさんのことも知ることが出来ました。


………


……



そして、パパとママと楽しく会話をしたのもこれが最後になったのです。


………


……



あの、忘れる事の出来ない『最悪の日曜日』がこの後に起こるのです……。


本格的は風邪は回避したものの、体力が激減していて、一つ上げるのにひぃひぃ言ってます。

トリスのとっつぁんのエピソードもここに入れてみました。


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