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第7話「異常で変異な特異点は神様を殺してしまった」『後編』その1

【第7話】




『異常で変異な特異点は、神様を殺してしまった!-後編‐その1』



”審判の間”に突然現れた【極大警戒指定、異常変異特異点β(ベータ)】を名乗る怪しい男。別の世界を管理する他の神様である”審判長”を殺害したとされているその怪しいモヒカン男が、よりによってこの世界にやってきた。 


お姉ちゃんが、弱って眠り込んでしまった最悪のタイミングで奴は現れた。私がココに居る”存在意義”お姉ちゃんを護る為の力がまるで歯が立たなかった。


”審判の間”の認証により私の身体能力は向上しているはずだ、それなのに私の渾身の一撃を受けても奴には通じず、逆に奴に辱められそうになった時、少し前にこの世界にやってきた珍入者である「ブタ野郎」が助けてくれたが、致命傷を負ってしまった。それと同時に、お姉ちゃんが目を覚まし奴を睨みつけていた。


「ここの神職の管理者”審判長”として、管理者権限を施行し、貴方を殺します!」


「何?何なの? あれがお姉ちゃん……なの?」


バタフライナイフで壁に縫い付けられた手の痛みすら、一瞬忘れる程の威圧感。とても普段のぽややんとしたお姉ちゃんからは想像もできなかった。


「ひょっほぉ!エロエロメイドちゃんのお姉さんって聞いていたから、もっとムチムチボインちゃんかと思ったら……」


お姉ちゃんの威圧の中、バタフライナイフを舐めながら余裕を見せるモヒカン野郎。


「いいねぇ、いいねぇ聖職者でメガネっ娘のM☆I★T☆A★M☆E★JTなんて、とっても汚し概があるよぉ?」


「貴方程度の者に割く時間が惜しいです、早くかかってきたらどうですか?」


「へ?……てっ! てめぇ! このクソアマ! このオレに舐めた口を!」


モヒカン野郎の顔がみるみる赤くなり、頭に浮かぶ血管が今にも弾けそうだ。


「その仏頂面歪ませて、妹の前でヒィヒィ言わせてやんよぉ!」


「お姉ちゃん!危な……」


「管理者権限施行……」


”ベシャァァァン!!”


「くぺ!?」


お姉ちゃんに躍りかかったモヒカン野郎が、左右から跳ね上がった”床”に挟まれ潰されていた。


「ど、どうなってんの?」


「ぎ! この! 出しやがれぇ! げぶ、がふぁぁ!」


激しく潰されてぺしゃんこになったと思っていたら、血を吐きながら足掻くモヒカン野郎の声がする。


「あれでまだ生きてんの?」


「しぶといですね? 流石は”異常変異特異点”といった所ですか?」


(ギリギリ……ペキン!……ギリ……)


お姉ちゃんは、まるでゴキ●リホイホイの中を見る様に、嫌悪感を露にしている。


「ざっけんなぁ! このアマ! 殺してくれって言っても、許さねぇ! 死ぬまでぶち犯してやるぁ!」


(ギリギリギリ……ゴキン!……ギリ……)


「”殺して”ですか? 何度も言いましたよ? 何度も何度も、”殺してください”って」


「お姉ちゃ……」


私は言葉を続けられなかった、12年前に起きた事、お姉ちゃんの身体に刻まれたモノを知ったから。


「ばはぁ! 何を言って……ぎゅぶ! 出せぇ! 出せって言ってんだろぉ!」


(ギリギリ……ペキョ!……ギリ……バチュン!……ギリギリ……ゴキン”)


壁となった床が徐々に狭まり、肉が、骨が、少しづつ潰されていく音が聞こえてくる


「ぎょぶ! えけ! だ…せぇ! ぎぃ……」


「どんな気分です? 理不尽な暴力に蹂躙され、自分が壊され続ける気分は?」


お姉ちゃんの怒りとも、悲しみとも取れる辛そうな声に背筋が寒くなった。 12年前にお姉ちゃんはどれだけ辛い思いをしたのかは、私には想像すらできない。


「貴方の様な世界を壊す”特異点”は生かしてはおけません。 ですが……」


(ギリギリ……ギッ!……バガッ!)


”ドチャ!”


「か……くゕ……」


お姉ちゃんは、壁を床へと戻し、手足が変な方向へ曲がったモヒカン野郎の拘束を解く。


「貴方の様な”存在”は楽には死なせません。 私の管理する世界で”弱き者”として、その薄汚れた魂が消えて無くなる迄、転生を繰り返すといいでしょう」


お姉ちゃんがモヒカン野郎の側で膝をつき手を当てると、出血は収まり、骨が飛び出ていた個所も塞がるが、動けない様にするためだろう、手足は変な方向に曲がったままだ。


「げは! がは! ちくしょ……う、ころ……してや……」


芋虫の様に藻掻きながらも暴言を吐き続けるモヒカン野郎、なんて奴だ、まだあきらめていないなんて精神力だ。


「管理者権限により、貴方の発言を禁じます」


「…………」


お姉ちゃんが呟くと、モヒカン野郎の声が聞こえなくなる。


「これがパパの言ってた管理者権限……」


本当のパパが命懸けで護った”神様”だけの力、使い方を誤れば世界すら壊すって言ってたっけ。


「リアちゃん、辛いでしょうけど少し待っててください……」


「う、うん……」


お姉ちゃんは血まみれの子豚を抱きかかえている。その子豚を愛おしそうに撫でながら、癒しの力を注いでいる様だ。 


「……」


分かってる、私を助けたいんだけどその前に助けなきゃなんない奴がいるって事に。


「死ぬなよ、豚野郎……」


私も多少治癒術が使えるので、痛覚を制御し、串刺しにされ壁に縫い付けられた両手の痛みをカットしている。ただ、服を斬り裂かれ露になっている裸体を隠せないのがちょっと恥ずかしい……。


「伊勢さん? 伊勢さん! しっかりしてください! ダメです! 意識を手放さないで!」


お姉ちゃんが、悲痛な声で叫んだ。何が起こったの?


「いけません! 魂が霧散してしまいます、自分のイメージをしっかり!」


豚野郎に何かあったみたいだ、お姉ちゃんが豚野郎を床に置き、口と口を合わせた。


「お姉ちゃん! 無茶だよ! そんな力の使い方したら……」


お姉ちゃんの身体が淡く光り、その光を豚野郎に流し込んでいるように見えた。神秘的なその光景は、何故だかお姉ちゃんの命をそのまま流し込んでいる様にも見えて、物凄く不安になって叫んだ。


(ズチャ……)


「え?」


藻掻いていた筈のモヒカン野郎がゆっくりと立ち上がった? 何で? 手足も折れて潰れている筈なのに?


「お姉ちゃ……もが、むむぅ!!」


お姉ちゃんはこちらに気付いていない、声を上げようとした瞬間、何かが口に飛び込み、声を上げることをを阻害される。


「むむぅ!? むぐぅ!!」


私は見た、モヒカン野郎の足元から触手の様なものが伸び、私の首を締めあげ先端部分を口にねじ込んだのだ。


「くひ! くひひ……」


モヒカン野郎はこちらを振り返り、滅茶苦茶に折れ曲がった手を器用に使い、人差し指で”静かに”のジェスチャーをしてから、お姉ちゃんの方に向き直った。


「むむー!! むむむむー!!」


必死に呼びかけようとするが、口を塞がれた上に首を絞められていて、お姉ちゃんには届かない。

その間にもモヒカン野郎はお姉ちゃんの背後に迫り、ついには背後に立っていた。


「キヒ! 小さなおしりをフリフリして誘ってんのかぁ? このビッチが!」


「な?何で……あぅ!」


(バチィィィン!!!)


モヒカン野郎に気付いたお姉ちゃんが振り返った時、鞭のようにしならせた腕をお姉ちゃんの顔に叩きつけた。 お姉ちゃんは吹っ飛ばされ、数メートル先まで飛ばされる。


「むー! むむむむー!!」


「ふぅん? まさかこのくそ豚とヤッちゃってた? きはぁ! 神様が豚となんて益々ビッチじゃぁん?」


愉快そうに笑うモヒカン野郎、お姉ちゃんを侮辱する、あのにニヤけた顔を殴ってやりたい。


「ごほ! かふ! 管理者権限でしゃべる事も出来ない筈なのに、どうして……」


「知りたいぃ? んじゃぁ、すっ裸になってぇ、土下座してぇ、頭を擦りつけながら3回回って、ぶひぃ!って言ったら教えてやんよぉ?」


「ふざけないで下さい、管理者権限において……」


管理者権限・・・・でくそメガネのチビを拘束ぅ!」


(ガッシャァァァン!)


「な? あぐぅ!」


そんな事って? モヒカン野郎が”管理者権限”を使った? 床から飛び出した板の様な物が、お姉ちゃんを左右から挟み拘束する。


「な、何故貴方が管理者権限を……あぅ!うぁぁ!」


(ミシミシ……パキィン……)


「人にモノを聞く態度じゃぁ、ないよねぇ? ほらほら両腕が折れちゃったよぉ?」


先程のお返しとばかりに、お姉ちゃんをいたぶるモヒカン野郎。 私の拘束も、緩むことなくがっちり固定され身動きが取れない。 パパ、何してるの! 早く助けに来てよ! お姉ちゃんが危ないってのに!


「くぅ、あぅぅ……」


「おやおやぁ? 寄せてあげても、ここは大して変わらないんだぁ?」


腕を折られ、身動きの取れないお姉ちゃんの胸元に、モヒカン野郎が手を突っ込んだ。


(ブチィ!)


「これが、くそメガネちゃんの管理者権限のシンボルアイテムかなぁ?」


モヒカン野郎は、お姉ちゃんのしていたネックレスを引き千切って観察している。 シンボルアイテムって何なの?


「貴方は……他の審判長の”管理者権限を奪った”の……ですね……」


「ピンポォォーン! そうでぇす! 正解者にはぁ……べろぉぉ……♪」


(べちゃぁぁ……)


モヒカン野郎が、お姉ちゃんの顔を、異様に長い舌で舐め回す。 くっ!そぉぉ。


「これだよぉ、これぇ! 見て見て!」


「それは? 他の世界の……」


「そうそう、ぶっ殺した神様のシンボルアイテムがピアスだったからさぁ、千切って舌につけたんだよぉ♪」


モヒカン野郎の舌には、沢山のピアスが付けられていた。狂ってる……。


「ん―コレジャナイなぁ? まさかそのダッサイ眼鏡かなぁ?」


ネックレスを捨て、今度はお姉ちゃんの眼鏡を奪い、調べ始める。


「やっぱりぃ 伊達メガネじゃん? でもこれでもないなぁ? あれ?」


「あぐ、くぅ!」


お姉ちゃんの胸元が、みるみる赤く染まっていく、まさか? 傷痕が開いたの?


「ん~? 腕折れたくらいで、なんでちっぱいから血がぁ?」


(ビィィィ……)


お姉ちゃんのローブの胸元を、バタフライナイフで斬り裂くモヒカン野郎。


「おわぁ? 何だこれ? こんなに傷が?自傷癖か? 気持ちわりぃ!」


やっぱりだ、お姉ちゃんが弱っている所為か、胸元から血が滲み出ている。


(カシン!……ドサ!)


「おいぃぃ? シンボルアイテムは何処にあるんだぁ? 早く出せよぉ!」


「知りませんよぉ……。 知っていたとしても、教えるわけがないじゃないですかぁ……」


弱々しくもはっきりと、拒否の態度をするお姉ちゃん。 お姉ちゃんも時間稼ぎをしてて、パパたちが来るのを待っているのかもしれない。 でも無茶はしないで……。


「ほほぉぉ? 他の神様ってさぁ、指輪を飲み込んだり~、腹の中に隠したり~、入れ歯にしてたやつもいたっけぇ。 それじゃぁ管理者権限~♪」


(ガシィ! ジャラララララ……)


「あう!」


空中から鎖が現れ、折れているお姉ちゃんの腕を両側から絡め取り、吊り下げた。


(ビイィィ! ビリィ! ビリィィィ!)


「あぅ、うぁぁ! うくぅ!」


あの野郎、お姉ちゃんを吊り下げて、バタフライナイフでローブを斬り裂いてお姉ちゃんを一糸纏わぬ全裸にした。 畜生! 激しく暴れても拘束は緩まず、手から鮮血が溢れるだけで自分の無力さに腹がたつ! 早く! 誰かお姉ちゃんを助けてよぉ!


「ん~? 乳首とか、へそとか【バキューン!】にピアスしてるワケじゃぁないかぁ……となるとぉ」


「んー!! んんんー!」


私は、モヒカン野郎の気を逸らすため、必死に声を出そうと試みた。


「おやぁ? まだ頑張ってたの? エロエロのパツ金メイドちゃん?」


食いついた! これで少しでも時間を……だが。


「健気だねぇ~でもぉ? 時間稼ぎのつもりなら無駄だよぉ? だって、管理者権限で出入り口はロックしちゃってるからぁ~Z★A☆N★N☆E★N☆!」


気づかれてた? くそぉ、涙で視界が歪んでいく。 どうすればいいんだよぉ!


「そうかぁ~本命はこっちに持たせてるのかもねぇ? じゅるり……」


いやらしい目で私を見る、モヒカン野郎。 でも、お姉ちゃんが助かるなら……。


「おやぁ? 少しでも……弱い方へ、目移りするなんて、大した事ないんですねぇ?異常変異特異点というのは……」


「ん、な、なんだとぉ? このクソ眼鏡! 穴だらけにされてぇか?」


「おかしいですねぇ? 私の眼鏡は、先ほど貴方が捨てたじゃないですか? 鳥頭ですか? ああ、鳥さんに失礼でしたね、撤回します。 馬鹿なんですね?」


お姉ちゃんがモヒカン野郎を挑発する。 やめて! そんなことしたら!


「き、き、きききキサマぁぁ! この! 俺様を! 馬鹿に! するなぁぁ!!」


(バチィ! ドボ! ドカ! ズム!……ジャラ……ギシィ……)


「かは! えふぅ! あぅ……」


「はぁ、はぁ、はぁ、良いだろう、身体の奥の奥まで調べ尽くして、管理者権限のシンボルアイテムを引きずり出してやる! 気が狂ってもショック死しても知らねぇからなぁ?」


(ズリュ、メキメキメキ……)


お姉ちゃんを殴りつけた後、モヒカン野郎の腕が、ギョロっとした眼球を持つ、複数の蛇の様に変化する……あれも管理者権限の力なの? やめて……。お姉ちゃんが死んじゃう!


「んー!、んんんー!!!……!?」


お姉ちゃんが、一瞬だけ私に向って、心配するなと言ってるかのように微笑んだ。


「てめぇがぁ、狂い死んだら、次は妹の番だなぁ? 謝るんだったら、半狂い程度にして性奴隷にしてやってもいいんだぜぇ? ん~?」


気色悪い腕をうねうね動かしながら、お姉ちゃんに見せつけるモヒカン野郎。


「御心配には及びませぇん、私の理想の殿方はぁ、カッコ良くて、優しくて、テクニシャンなのですよぉ? 貴方みたいにぃ ダサダサで、お下劣で【ズダダダダダ!!ダキューン!!】じゃないのですぅ!」 


(プチン!)


お姉ちゃんが、挑発に挑発で返してあかんべーをした。 モヒカン野郎の頭の血管から、血が噴き出す。

お姉ちゃん駄目だよ……そこまでしなくて……殺されちゃうよぉ。


「……よく言った、お望み通り、狂い殺してやるぁ!」


お姉ちゃんが私に送った視線で、唯一の希望があることを感じ取っていた。モヒカン野郎はそれに気づいていない……。 今は耐えるしかないんだ……藁にも縋る思いで祈った。



……それは、乱暴な身体検査なんて生易しいモノじゃない、凌辱という名の暴力だった……。




『次回予告』


おっとぉ?神様をも倒したぞ?凄いぞぼくらのモヒ●ンA!


目には目を、管理者権限には、管理者権限を!やるねー!


主人公何て、完全に㌔いくらの新鮮な豚肉と化してるし!


ゴリラメイドも、緊縛プレイでお楽しみだ!


肝心の神様は、追い詰めたと思ったら追い詰められて、大ピンチ!


こっちはこっちで、まるでエロゲー的な展開に?


18禁タグ付けなくて大丈夫? え?視聴者の想像力に依存? さいですか。


でも、ぼくらのモヒ●ンAは、きっとやってくれる!(何を?)


このまま異世界生活は、始まってもいないのに終わるのかな?


まさかの、モ●カンAルートの爆誕か?


結局、今回で終わらせるつもりが、纏め切れずにまた分割だ!


次回!第8話『異常で変異な特異点は神様を殺してしまった!-後編-その2』に、


レッツ異世界ドライブ!




※諸事情により番組内容とタイトルが変更になる恐れがありますご了承ください。


やっと本編再開と思いきゃ、纏め切れずに分割になる罠、体調崩して、一日かかってこの程度とは我ながら情けなや。


別に神ちゃんをいぢめたいワケじゃないのよ?ホントよ。

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