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勇者とラスボスの協奏曲  作者: 魔王ドラグーン
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交差する運命

勇者とラスボスの協奏曲                                           

第一章  運命の序曲(はじまり)

            

「行け!速く逃げろっ!俺たちが守れている間に!」

俺の隣のどう見ても一般兵ではないきらびやかな鎧を着た奴がそう叫ぶ

そいつは名前も知らないのになぜかどこかで知っているような気がする

そいつの声を受けて後ろの兵が一斉に後退していく

前には無数の機械兵が弾丸をばらまきながら津波のように襲いかかってきている

 だが俺に迷いはない、剣を握り直し、走り出す

 少し先をさっきの男が走る

 俺たちを迎撃しようと無数の弾丸が襲いかかってくる

 しかし俺は獰猛な笑みを浮かべその弾丸の中に突っ込んで行く

 そして………


「おい、杉本、起きろ!」

うおっ びっくりした

俺がそう思って目を開けると俺をたたき起こした犯人と目が合った

「なんだよ佐々木、なんか用事か?」

言われた佐々木は意地悪そうな笑みを浮かべながら言った

「学生であるからには授業には参加しなければならないと思うけどなあ」

ああ 今の一言で察してしまった

恐らく俺は3時間目の間に眠ってしまいそのまま10分休憩に突入してしまったのだろう

なぜなら俺は3時間目の途中からの記憶がないからだ!

どうよこの名推理

っと俺はそんなことを知りたいわけではなかった

「で?なんだ?」

疑問100%の問いを返す

するとさも当然そうに答えが返ってくる

「4時間目、お前の好きな魔術訓練だぞ」

なんだ、こいつはその程度のことを伝えるために俺をたたき起こしてくれたのか

少し拍子抜けしながら俺も体操服を持って更衣室に向かった


「えー今日は氷結魔法の訓練を行います、さっき皆さんに配った杖には、       

【氷結魔法Lv3 氷弾 】の効果が付与されています、魔力を注いで起句を唱えれば効果が発動するのでくれぐれも人に向かって撃たないように気を付けて練習してください」

魔力訓練の担当の先生が言い終わるとほぼ同時に、後ろの奴が小憎たらしい笑みをして空気を読まないトーンで言った

「うっしゃ 三角コーン吹っ飛ばしてやるぜ」

「張り切るのはいいことですが佐々木君ほどほどにしてくださいね、三角コーンもタダではないですから」

物騒なことを言う佐々木を先生がそっとフェードアウトする

それを聞いてどっと笑いが起こる

そうそう、この魔力訓練に使われる的は三角コーンだ

この星、つまり地球に《魔力法則》なる理が入ってきて15年

それ専用の物が開発されていない事はないのだが、まだ使い捨てにするには高額すぎるのだ

全属性に強くなければいけない上、強度や軽さも必要なので製造費がかさむからだろか?

《魔力法則》によって地球はずいぶん変貌を遂げた

世の中に《魔法》という物が現れ、地球上を魔物が闊歩するようになり、《魔力》という新たなエネルギーが現れ、個人の能力が《ステータス》《スキル》《レベル》などの単位で表されるようになった

ちなみに俺たちは魔力法則が入ってきた直後に生まれているのだがそのことを考えると不思議な感覚に襲われる

自分が自分でないような、そんな感覚に

厨二病風に言うと“俺にはやるべき事があるんだ!”的な感じ

けど、深く考えれば考えるほど分からなくなっていく

なんかこう、もやもやするんだよな

「すーぎーもーとー、お前も撃てよー、さっさと氷結魔法習得して俺と撃ち合いしようぜー」

「死ぬわ!お前自分の魔法の威力分かってんのか?」

…まあいいか 撃たない訳にはいかないし

何より佐々木のサイコパスは今始まったことじゃないし

盛大にため息をつきながら杖を構える

そのまま魔力を流し込み、起句を唱える

「氷弾!」

唱えるのとほぼ同時に杖の少し上あたりに氷でできた荒削りな弾丸が現れ、三角コーンに向かって飛んで行って三角コーンに跳ね返された

ちなみに三角コーンは中にコンクリートが詰まっていて、硬くて重い

まあ低級の魔法ならこんなものだろう

…佐々木はこんなものを吹っ飛ばそうとしていたんだよな

自分の魔法の採点と佐々木のことを考えていると横から話しかけられた

「適性が低いのも関係ないかぁ、さすがだね」

 話しかけてきたのは同じクラスの佐野さんだ

 長髪で身長は俺よりやや低いくらいの子だ

 女子では珍しくグループを作らないタイプで、むしろ俺たち二人と一緒にいる

「佐野さん、君もだろう」

適性とはその人の属性との相性だ

俺は氷よりむしろ雷や風の方が得意だ

かく言う佐野さんは以前聞いたところによると光や火が得意らしい

氷属性の適性が低いのは俺も佐野さんも同じだ

なのに佐野さんも同じような威力の魔法を撃ってる

もちろん大惨事にならないよう、威力は絞っているだろうしな

もちろん俺もだが

ちなみに佐々木はとりあえず何でも乱射しているが、あいつは氷と闇が得意らしい

「今でもまともに的に当てられているのは私たちだけだしね」

私たちとは佐々木、佐野さん、俺のことである

この二人はなぜか生まれつき魔法全般に適性が高く、いくつかカンストした魔法も持っていた

まあでもここだけでも二人いるんだしそうめずらしい話ではないのだろうな

佐々木は感情的な不思議君

佐野さんはおとなしいしっかり者

みんな個性があってそれぞれがそれぞれをカバーしてる気がする

その四人組のうちの一人の佐々木は今氷弾を的に向けて乱射しまくっている

あいつ、氷弾の質を上げるのがだめなら数を上げようって結論に至りやがった

まああいつ何でも乱射するけどな

あいつはこの四人の中でも特に魔法能力が高く、この四人の代表のようなやつだ

…少々元気すぎるのが玉にきずだが

それだけならまだいいのに俺のことまで盛大に巻き込むからな~あいつは

あいつの行動原理は長い付き合いの俺でも正直言って分からん事の方が多い

だから逆に何をしてきてもとりあえず引き受けるっていう俺のキャラが出来たのかも


だから、ああ、だからだろう、教室に帰った後にあいつがやけに神妙な声音で飛ばしてきた念話を特に考えずにオーケーしてしまったのは

それで何が起こるのかも知らずに


第二章  二人の正体

             

「なんなんだ~こんな所に呼び出して」

佐々木に念話で言われた事は実に単純で、放課後プール裏に来いという物だった

だが佐野さんはいない

呼び出されなかったのだろう

俺だけを呼んで何をする気なのだろう?

いつものことだがあいつの行動が読めん

まあ悪いことでないことを祈ろう

その俺たちを呼び出したやつはすぐ目の前にいる

何か緊張した面持ちで

俺、なんかしたか?

ハア、分からん

居心地の悪い沈黙を破るように佐々木が口を開いた

「キミは自分の頼みを聞いてくれるかな?」

なんなんだ急に?

なんかいつもの佐々木とどこか違うし

たまらず問いかける

「その頼みとやらを聞いてから答える」

すると、佐々木は少しの沈黙のあと、おもむろに口を開いた

「じゃあ、ボクは君たちに説明するのに一番適した姿になるけど、驚かないでね」

うん?ボク?あいつ一人称は俺だったはずだが

それに適した姿?

どういうことだ佐々木?

俺がその質問をすることはできなかった

なぜなら佐々木の体が淡い水色に発光をはじめたからだ

あわてて問いかける

「お、おい、どうしたんだよ」

すると、まるでそれに答えるかのように青い閃光が周囲を覆い

晴れた後にその場には佐々木は存在しなかった

あ、いや俺たちが知る佐々木は存在しなかったと言うべきか

なぜなら閃光に覆われる直前まで佐々木がいた場所には蒼髪、蒼眼、そして犬耳まで付いた身長150センチほどのかわいい少女が立っていたからだ

いつの間にか服も男子の制服から女子の制服に代わっている

 そして腰にはその服に不似合いな刀が刺さっている

その少女はこっちの混乱など何も知らないような口調の高音ボイスで言った

「この姿で会うのは初めてだから改めて、佐々木祐二改めフェイン・レイ・ルーンです、以後よろしくね」

 あ、よろしくー

 って、できるかアアアアアアア

 何?どゆこと?

 慌てるな俺、とりあえず落ち着け

 えーと、今までの状況からすると……分からん

 さすがの名探偵本城でもこの状況は分からん

 俺がパニックに陥っているこの間、約10秒

 その10秒の間ルーンと名乗った少女はずっと真剣な顔で自分達の顔を見つめてきた

「えーっとそれじゃあどういうことか一から説明してくれるかな?」

 うんなんかパニクりすぎて変な口調になってる

 その言葉を聞いて佐々木ことルーンと名乗った少女は、すこしおどろいたような顔をしたが、すぐ元の真剣な顔に戻って話し始めた

「頼みを聞いたら決めるんだよね?じゃあ話すよ」

 そう前置きして語られたことは大まかにはこうだった

ルーンの住んでいた惑星(フォルトゥーナと言うらしい)が別の惑星からの侵略を受け、辛くも撃退したが、魔力法則を管理する神の一柱である《太陽神ソレイユ》が戦死し、そのせいで空いてしまった魔力法則の穴から太陽神を初めとする戦死者の魂が流出し、大部分の回収は終了したものの、肝心の太陽神の魂や一部の重要な戦死者の魂が回収しきれておらず、その回収のために地球に来たのがルーンだということだった

「その回収しきれてない魂の内に勇者の魂があるんだけど、それが杉本君なんだ、だから生まれつき 魔法全般に適性が高くて、いくつかカンストした魔法も持っていたんだよ」

なるほどなるほど、だから俺たちを呼んだのか

凄い話だな、一昔前のラノベのストーリーみたいだ

神とか、魂とか、魔力法則が来る前だったら笑い飛ばされてる話だ

うん?となると佐野さんは何なんだ?

 俺は疑問に思ったことを聞いてみた

「おまえの言うには俺が異常なのはその魂のせいなんだろ?じゃあ佐野さんは何なんだ?」

 俺のその問いに対してルーンはこう答えた

「頼みっていうのはまさにそのことでね、太陽神様の魂を回収するのを手伝ってもらえないかと思って」

 ……俺の問いとは若干ずれているがいいとしよう

 つまりこいつはこう言いたいのだ

 佐野さんが太陽神だからその魂の回収を手伝ってくれないか?と

 ここまで考えたところで俺の中にどうしても聞かなければいけない問いが生まれた

 俺はそれを単刀直入に聞いた

「魂の回収ってどうやるんだ?」

 その答えは案外簡単な物だった

「魂をその世界に放出するだけで十分だよ」

 だが俺の疑問は深まるばかりだった

「なら俺たちを拉致して向こうで殺害すればいいじゃないか」

俺がそう言ったのを聞いたルーンはひどく驚いたような顔をした後、苦々しそうな顔に変わり、こう言った

「できるだけボクは君たち優先で動きたいんだ、だってこの事はこっちの世界の責任で、きみたちには何の罪も責任もないんだからさ」

その言葉を聞いて俺はやっと安心した

「それを聞いて安心したよ、で、質問の答えだけど俺はおまえに全面的に協力するよ」

 それを聞いたルーンは歓喜100%を瞳に浮かべながら満面の笑みになりうわずった声で言った

「ホント!?ありがとう」

 なにを、聞くまでもないことを

「当たり前だろ?俺たちと今まで築いてきた友情はこの程度か?」

 ふふん、今のセリフ、地味にかっこよかった

「ところでこれからどうするんだ?予定はあるのか?」

すると今度は予想外の答えが返ってきた

「今のところいずれフォルトゥーナに連れて行こうと思ってる、あっちに行ければ記憶が戻ったりするかもしれないし、向こうの仲間が何かいい方法を知っているかもしれないから」

 その予定に俺から言うことはない、だが一つ聞きたいことがある

「その場合こっちの世界はどう説明するんだ?行方不明扱いになるのか?」

 そのことについてルーンは少し難しそうな顔をしながらこう答えた

「この世界を出るときの問題っていうのがまさにそれでね、解決策として全く同じ外見と記憶を持つけど魂は違う、【限りなく自分に似た他人】を作ることができる、つまりコピーだね、それを使おうと思っているんだけど、どうかな?」

 うん、問題ないんじゃないかな

 なにせ俺たちの魂は本来は俺たちの物ではないんだから、さっき言った【限りなく自分に似た他人】のほうが本当の意味での俺たちなんじゃないかな

「俺は全然問題ない」

これで俺たちのフォルトゥーナ行きは決まった訳だな

「じゃあ細かい予定も後々伝えるけど今週中には出発するつもりだから」

うん、了解だ

その後ルーンは、さて、と一言置くと急に後ろを振り向くと大声で言った

「そこのコソコソしてる奴ーバレてるからねー出てきたらーっ!!」

ルーンの視線は学校を囲む柵、その先にある廃屋の塀の向こうに向けられていた

それを聞いてなのだろう、鎖鎌のような武器が回転しながら飛んできた

それをルーンはなんてことなさそうに腰に差していた刀で抜きざまに弾いた

 弾かれた鎌が回転しながら塀の向こうへ消えていった直後、そこからつぶやくような二人のものではない声が聞こえてきた

「なるほど、フェイン・レイ・ルーン様、お噂通り厄介なお方だ」

 そう言いながら塀の裏から現れたのは黒いローブで全身を覆った初老の男性だった、フードのせいで顔は口しか見えない

その男性を見ながら油断なくルーンがこう言った

「誰の命令? って聞いても答えないだろうから、じゃあ、おまえの目的は?」

 するとローブの男は不敵な笑みを浮かべながらこう言った

 とは言っても口しか見えないのだが

「それはもう分かっているのでは?先程攻撃したのですから」

 言外にそんなことも分からないのか?って聞こえてきそうな口調だ

 うぜー

 ローブの男の煽りを黙殺しルーンが続ける

「その鎌【()(れん)ファルクス】だね?そんな業物を持っていて、その服装、身のこなし、向こうの暗殺者でしょ?しかもかなり有名な」

その言葉を聞き、ついにローブの男の顔から不敵な笑みが消える

「これ以上会話してもあなたに情報を渡すだけですな」

そう言うとローブの男が一瞬にして鎌を構え直し戦闘態勢に入る

「やれやれ、もう少しお話できるかと思ったのに、ままならんもんだね」

 ルーンは飄々とした声でそう言ったがその目は笑っていない

 そして、カチャッという音と共にルーンが刀を構えなおした瞬間、ローブの男が一陣の風となって飛びかかった

 男の鎌をルーンが刀で受け止める

 その顔にはさっきまでの飄々とした表情はもうない

その瞳には鎌を受け止める必死の表情と、その奥にある何か、切るのをためらうような感情が浮かべられていた

二人の拮抗状態はわずか半秒で崩れ、超高速の剣戟が開始された

パワーとスピードではルーンのほうが上回っているが、テクニックと手数では鎖の両側に鎌が付いている男の方が上回っている

総合力では……互角!

だが、どんな剣の達人でも超高速の剣戟を全て受けきることはできない

そのため男の鎌はルーンを何度もかすめ、かすり傷を負わせていく

だがルーンは決して攻勢に出ず、男は無傷だ

たまらず俺は、スキル『閲覧』を使用しルーンのHPを確認する

成功し、俺の目の前に生物を意味する緑色でルーンのステータスが表示される

案の定ルーンのHPは減っていた、が、俺の目は他のところに行った

なぜなら、ルーンのステータスがどう考えても異常だったからだ


〔種族、名前、LV〕 (ケッ)妖精(トシー)、フェイン・レイ・ルーン、   LV74

〔ステータス〕

   【HP】  最大 17491  現在 15378

   【MP】  最大 23927  現在 23927

   【AP】  最大 25810  現在 24276

   【物理攻撃能力】  21543   【物理防御能力】  12681

   【魔法攻撃能力】  23719   【魔法防御能力】  14982

   【移動速度能力】  26974

〔称号〕

   【(しん)(ろう)ノ依リ代】【闇龍ノ依リ代】【封印者】【支配者】【絶技】【戦神】

   【神ノシモベ】【魔術師】【剣士】【殺戮者】【救世主】【賢者】【強者】【暗殺者】

〔スキル〕

  ・ユニークスキル

   【封印】【眷属召還】【明鏡止水LV30】

  ・デフォルトスキル

   【HP回復能力上昇LV28】【MP回復能力上昇LV30】【AP回復能力上昇LV30】

   【思考能力上昇LV30】【魔力撃LV30】【体力撃LV21】【身体強化LV30】

   【攻撃強化LV26】【斬撃強化LV30】【打撃強化LV23】【刺突強化LV28】

   【物体強化LV22】【魔法強化LV30】【火炎強化LV14】【水流強化LV26】

   【疾風強化LV27】【迅雷強化LV21】【土砂強化LV25】【氷結強化LV30】

   【暗黒強化LV30】【閃光強化LV15】【空間強化LV26】【妨害強化LV21】

   【支援強化LV28】【回復強化LV29】【防護強化LV23】【魔法発動速度LV30】

   【魔法威力LV30】【魔法射程LV30】【火炎魔法LV20】【水流魔法LV28】

   【疾風魔法LV29】【迅雷魔法LV23】【土砂魔法LV27】【氷結魔法LV30】

   【暗黒魔法LV30】【閃光魔法LV23】【空間魔法LV28】【妨害魔法LV21】

   【回復魔法LV30】【支援魔法LV30】【防護魔法LV25】【致死魔法LV11】

   【斬撃耐性LV23】【打撃耐性LV19】【刺突耐性LV20】【火炎耐性LV15】

   【水流耐性LV24】【疾風耐性LV26】【迅雷耐性LV25】【土砂耐性LV27】

   【氷結耐性LV30】【暗黒耐性LV30】【閃光耐性LV16】【妨害耐性LV25】

   【剣技LV30】【槍技LV21】【盾技LV10】【闘技LV28】【刃術LV27】

   【獲得経験値増加LV13】【獲得熟練度増加LV16】【閲覧】【友情】

   【三次元機動LV30】【察知LV21】【透視LV25】【五感強化LV26】

   【念話LV25】【隠密LV25】【痛覚無視LV21】【気絶耐性LV17】

   【打撃属性付与LV22】【刺突属性付与LV27】【斬撃属性付与LV30】

   【毒属性付与LV19】【麻痺属性付与LV18】【麻酔属性付与LV15】

   【スキル付与LV27】【鍛冶LV12】

〔状態異常〕

    なし

〔魔力解放技〕

   《カタストロフィーブリザード》


 は?

 なんだ?これ

 俺の見間違い…じゃないな

 何じゃこりゃあああああああああああ?!

 膨大なステータス、無数のスキル、多数の称号、

 しかもほとんどのスキルがLV20を超えている

 そのうえ俺は獣妖精という種族を知らない

 ここまでのステータスを見たのは初めてだろう

 …これが、ルーンの、ステータス

 そんなわけで、あらぬ方向に飛んで行った俺の思考をひときわ大きく響いた剣戟の音が現実に引き戻した

 驚いてみてみると、男の鎌とルーンの刀が一時のトランス状態に陥っていた

 火花と刃がきしむ音をお互いの武器からこぼしながらにらみ合う両者

 すると唐突にルーンが笑みを浮かべたかと思うと瞬時に刃をひく

 支えを失い男がつんのめる

 そしてルーンは手のひらに魔方陣を作り上げ叫んだ

「食らえっ!暗黒弾!」

 すると同時に5つの黒い玉が同時に現れ男に向かって発射された

 かわすこともできずに暗黒弾を受ける男

 そして男と共に暗黒弾が盛大に爆発した

 轟音と共に舞い上がる砂煙

 その砂煙を無感情に眺めながらルーンはこう言った

「敵わないと悟って引いていたらこうはならなかったのに、これで分かったでしょ?おとなしく帰ってよ」

 すると砂煙の中からユラリと人影が現れた

それは男だった

 しかし全身にまとっていたローブはちぎれ飛び、下に着ていた鎖帷子があらわになっている

 しかし男に目立った外傷はない

 おそらくルーンがこいつを殺すのをためらったのだろう

 こちらは2000以上もダメージを負っているのに

 どれだけお人好しなんだ?こいつは

 しかし男はルーンの言葉を聞いても男は引くどころかまだ武器を構えようとする

 そしてまた不敵な笑みを浮かべながらこう言った

「私はあくまでも一人の暗殺者です、いざとなればあなたごと自爆する覚悟ですよ」

 それを聞いてルーンはあきらめたように笑った

「そうか、じゃあ決着をつけようか」

 ルーンはそう一言言って不意に刀に赤い光をまとわせながら斬りかかる

 【剣技】スキルのLV17で使えるようになる単発重攻撃〈グラディウススラッシュ〉だろう

 速度が速く、かつ威力が高い優秀な技のため、この攻撃を男が受けきれるとは思わない

 男も分かりきっているだろうが、かと言っても速すぎてかわすこともできないため、せめて鎌を交差させ受け止めようとする

 ルーンの刀が半円の軌道を描きながら迫り

 男の鎌にふれる寸前

 水色の魔方陣に阻まれた

 誰だ?あの魔方陣を作ったのは?

 男?ではない、男は魔法を発動していない、むしろ突然現れた魔方陣に驚いている

 なら誰だ?反射的に周囲を見回し、さらにスキルの【察知】で周囲を確認するが誰もいない

 視線を戻すとまだルーンは魔方陣に苦戦していた

 ルーンがその魔方陣を無視して振り抜こうと体重をかけた瞬間

 魔方陣が光と共に四散し、ルーンを吹き飛ばした

 ごろごろと転がり、起き上がったルーンが、もう一度攻撃するため刀にオレンジの光をまとわせる

 男もこれを好機と見たのか、鎌を緑に輝かせる

 二つの剣技(片方は(れん)()だが)が発動する寸前

 力強いが落ち着いた声が響き渡った

「双方剣を引け!!」

 その声に驚いて剣技を止める両者

 しかし、その声を聞いたルーンの顔からは険しさが消え、かわりにその瞳の中にとまどいと喜びが揺れている

 ??今度は何だ、まだ追加が来るのか?

 その直後、ルーンの斜め後ろの空間に波紋のような歪みが生じ、しばらく揺れた後、波紋の中心が黒い穴へと変わった

 その中から空間を渡り、見慣れない男が姿を現す

 全身に軽金属鎧をまとっているが兜は着けていない

 そのため見える頭には二本の鋭い角が生え、左目には斬撃を受けたような傷がある

 背中には龍のものによく似た翼が生え、右手には反対側に鎌のついた槍を持っている

 誰かは知らないがこのタイミングで現れ、かつ武器を持っているのなら…

 そう予測した俺は聞こうとルーンを見た

 ルーンもあきらかに驚いていたが、その瞳には隠そうともしない喜びがにじみ出ていた

 そしてじわじわと満面の笑みを浮かべると、若干うわずった声でこう言った

「お兄ちゃん!!どうしてここに!?」

 お兄ちゃんだとおおおおおおおおお!?

 俺は内心でそう叫んだ

 ルーンはそう言うとお兄ちゃんとよんだ男に向かおうとして

 また現れた水色の魔方陣に阻まれた

 ベチンってかんじで

 今度ははっきりと分かった

 今の魔方陣を作り出したのはお兄ちゃん(仮)だ

 それに、さっきルーンの剣技を防いだ魔方陣と今の魔方陣は魔力の波長が全く同じだ

 つまり……敵か

 俺がそう判断し、魔法を発動しようとした瞬間、お兄ちゃん(仮)が口を開いた

「もしこの俺が敵の変装だったらどうするつもりだったんだ?その状態で火炎魔法最上位攻撃を耐えきれる自信でもあるのか?」

 その言葉を聞いて俺は安心した

 なぜならお兄ちゃん(仮)の言葉は、「俺はおまえの兄だ」と言っているのと同じようなことだからだ

 だがその言葉を聞いて俺はこうも思った

 ああ、こいつ、俺の苦手なタイプだ、と

 それがルーンの兄、フェイン・レイ・ヴァルガとの出会いだった

 ああ、そうそう、その後知ったことなのだが、俺たちの行動(特にルーン)の行動は空間魔法を使ってヴァルガに監視されていたらしい

 そのことを聞いたルーンはすごく恥ずかしがっていたが

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