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神託の転移者  作者: 百矢 一彦
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蝙蝠軍団お持ち帰り

 女勇者ことみゆきは、しばらく元ユーゴの部屋に住むことになり、こちらの世界に慣れるまでくれない屋の手伝いをする事になった。ドイルはまるで孫娘のように可愛がり、稀代の魔導士の威厳など欠片も見られない、転移者への興味もあってか、色々教え込んでる様子だった。

 バーバラもユーゴへの態度とは違い、あれやこれや世話を焼いている、ユーゴはちょっと疎外感を感じる程だった。

 みゆき本人は、将来、診療所か薬局を開きたいと、治癒魔法と薬の精製を熱心に勉強していた。ちょっと心配なのは、奴隷制度を無くさなくては、と息巻いている事だった。なにかやらかさなければいいのだが。

 くれない屋は、みゆきが考案した事になってる新メニューが評判となり大繁盛だった、みゆきがこっちの世界の香辛料で作ったカレーは中々の物で、ユーゴも裏メニューとなってるカツカレーを食べたときは涙が出そうなほど感激して、ああ、みゆきを助け出して本当に良かったと思っていた。


そうやって、普通に生活している間、神様に送られて来たメルマは静かなものだった。

ドイルやバーバラもまったく気付く様子はなく、ユーゴ自身も近くにいるはずであるメルマの存在を忘れてしまう事があるほどだった。

 ただ、街に出て本をみつけると、(情報収集の為スキャンを希望します)と言って、片っ端からスキャンしていった、もっと情報が欲しいというので、ギルドにある図書室に連れて行くと、部屋ごとスキャンしたようだったが、その様子はユーマにも判らなかった。聞いてみると、スキャンすると文字情報の記録自体は一瞬で出来るそうで、後から内容を精査して整理するという事だった。


 そんなメルマの態度が変わったのは、メルマの希望でダンジョンの蝙蝠達に会った時だった。

(使役獣蝙蝠八匹との思念同調を完了、使役獣に対する指揮権限を希望します)と言う、

ん、メルマが蝙蝠達を指揮したいという事か?

(使役獣蝙蝠の潜在能力の可能性を探知、当機が指揮する事で効率的に能力を発揮できます)

蝙蝠達は、メルマの事を認識できるらしく、メルマがいるであろう空間の周りを飛びながら、

(なんかいる~)(まあるいのいる~)(てきじゃないねえ~)と騒いでいた。

うーん、今でもかなり有難い存在なんだが、能力が上がるというならやってもらってもいいかな、

許可する、と頭の中で伝える。

(マスターから、蝙蝠達への指揮系統の確認を希望します)と言うので

(蝙蝠達、今日からこの丸いのが君たちのリーダーだ、メルマという、言う事聞くように)と思念を送る。

(え~、だいじょうぶかな~)(リーダーなんでまるいの~)(リーダーのことばむずかしい)と蝙蝠達は少し混乱しているようだ。すると、メルマは姿を現し、

(私はメルマ、マスターと思考を共有する存在、私の指揮下に入る事でマスターへの貢献度は向上する)

と言って、目玉部分を光らせ、(超音波による敵攻撃波の捻出方法共有化)(風魔法式による補助操作で飛翔速度上昇方法共有化)(自己制御による隠密化向上方法共有化)と唱えた。

すると、蝙蝠達は、

(なにこれ、すごい~)(うわあ、はやくこうげきはうちたい~)(リーダーかっこいい~)とあっという間にメルマに心酔した様子だった。


メルマは、さらに(蝙蝠達の訓練の実施を提案推薦、その為に連れ帰る事を希望します)とユーマに言って来た。

連れて帰るったってなあ、蝙蝠連れてたら目立っちゃうし、飼っておく場所もないし、と思っていると、(時空魔法による、蝙蝠達の居住空間作成を推薦、マントの内側が最適と思われます)さらに(居住空間イメージの構築、・・マスターと共有します)と矢継ぎ早に言って来る。

すると、ユーゴの頭の中に、いかにも蝙蝠がいそうな洞窟が思い浮かぶ。

あらま、これをマントの内側に作れと言う事ね、んじゃ、とユーゴはマントの片側を持って広げると送られてきたイメージを浮かべ、マントに魔力を送った。


 メルマが指示すると、次々と蝙蝠達がマントの中に入っていく、全部入り終わると、なんとなく背中の方で喜んでるのが伝わって来た。ユーゴは、これってなんかドラキュラみたいだな、と頭を掻いた。


 これなら色々便利そうだな、ダンジョン以外での散策にも使えそうだし、

それにしても、こいつ、俺の心の奥の意識してない願望も読み取っているのかな、と、ユーゴは姿を消したメルマが居た空間を見つめていた。


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