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神託の転移者  作者: 百矢 一彦
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大宴会


 奴隷救出作戦は、想像以上に簡単だった、

奴隷を所有している貴族や富豪達は、ほとんどが最寄りの教会の儀式に参加していた、そこで聖者イアンの教えを聞いた彼らは、その場で許しを請うお祈りを捧げていたのだ。

留守を守る見張り役たちも、屋敷の前に現れた聖者イアンに驚き、呆然としていた。


そんな中、蝙蝠の羽と未来の花団のメンバーは、打合せ通り自分の担当の奴隷達を手際よく救出していった。

ユーゴの指示は、天罰の証として、監禁していた部屋を怪我人が出ない程度に破壊しろ、だった、

だが、到底その程度では気が収まらない女性陣は、男性陣とも打ち合わせて、屋敷の前に立て看板を立てた、固定魔法で簡単には取り外せないようにしたその看板には、


ここの主は変態です、奴隷相手に夜な夜なとても口に出せないようなことをしていました。

人として最低です、ああ恥ずかしい。よって天罰を与えます。

by神様の使い


と書いてあった、

後に、それを見つけた主達は、自分達では取り外せないその看板を、教会の魔力の強い司祭に外してくれるよう頼んだが、天罰を恐れた司祭は、誰も取ろうとはしなかった。

仕方なく人目に付かないように、看板の周りを板で囲んだが、返ってそれが噂を呼び、板の囲みがある屋敷の主人は変態というレッテルが張られてしまう、そして悲惨な末路をたどったのだった。



救出作戦が終わり、聖者イアンの立体映像が消えた頃、

一人の少年が虫鳥網を持って、蜂型ロボットにそっと近寄っていた、

蜂型ロボットには危険察知機能が付いている、そう簡単に捕まることは無い、

だが、その銀髪の少年は、いとも簡単に捕まえた。

そして、蜂型ロボットを手に取り、目をキラキラさせて見ながら、

「これは面白い、今度会える日が楽しみだなあ」と呟いていた。



救出された奴隷たちは、50人を超えていた、イアンの移動魔法陣でインターキとイスタンに用意された施設に移動し、各宗教の聖職者や、コイルが集めた獣人の婦人達によって、手厚い保護を受けていた。

そこには、バーバラの姿もあった、一人一人精神状態をチェックし、必要な処置をしていく、

バーバラは、彼女達を支援する組織を立ち上げるつもりでいた、バーバラ一人では手に負えそうに無かったからだ。


作戦を終えたメンバーが、次々ユーゴの亜空間魔法訓練所に帰ってくる、

アイーダは黒龍と赤龍を見つけると、パタパタと駆け寄りその鎧の衣装を褒めた、

「すごーい、天界の騎士様ね、綺麗だしとても似合っているわ」

「ふむ、お主も白竜様から頂いたネックレスを上手く使いこなしているようだな、偉いぞ」

と和気あいあいと話している。

その傍らで、片膝を付いたユイナが、

「黒龍様、赤龍様、この度はご助力頂き恐縮にございます」とうやうやしく言っている、

「巫女よ、おまえもそう堅苦しくするな、この子の様に普通に話せばよい、我らは同志じゃ」

そう黒龍が言う、

「はは、恐れ入ります」と答えるユイナ、

「だから、それが堅苦しいというんだ」と言って赤龍が笑っている。


イアンも、黒龍と赤龍にお礼を言っていた、

「いや、立派な演説であった、気分がよかったぞ」と黒龍が褒める、

「これで、お主が居た頃に教会も戻るだろうよ」赤龍も満足げだ。


みゆきとみそのは、

「あれじゃお仕置きが足りないわよね」「そうだな、せめて裸にして張り付けぐらいにはしたかったな」と物足りなさそうに、話し合っていた。


男性陣の話題は、この後の酒飲みの話題に移っていた、

「久しぶりに夢魔法の館で、イアンさんも含めて一杯どうだ」とコイルが持ちかけるが

「今日は多分休みだぞ、バーバラさん助けた人たちの介護に行ってるはずだ」とユーゴが言う、

「そうだったな、じゃ、何処かいい所は無いか?」とバースが言う、

うーん、と皆でうなっていると、

「材料さえ持ってきていただければ、私達が料理致しますが」とオレンジが言って来た、

「なんと、人間の食べ物を料理できるのか?」とバースがビックリして聞き返す。

「はい、私達は人間の生活を補助するのが本来の役目でしたから」と今度はブルーが返事をした。


男達は、互いの顔を見合わせ、

「一度ぐらいは食べてみたいな、ゴーレムの料理」

「そうだな、じゃあ今日はそれで行くか」

「材料はくれない亭の厨房にあるだろう、そうだみゆき殿に聞けばわかるな」

とみゆきに声を掛ける。


みゆきは、話を聞くと、キランと目を輝かせ、振り返って他のメンバーに言った、

「今日はここで宴会よ、ブルーさんとオレンジさんが腕を振るってくれるって」

そして、それに一番反応したのが、黒龍と赤龍だった。


なんなのあの二人、いつ帰るつもりなんだ、ユーゴは心の中で呟いていた。


話が進むうち、ドイルとユイナの兄カイも呼ぼうという事になり、じゃあ、カークを呼ばないのは可哀そうと、カーク、ジャステス、ジェラールも呼んだ、

そして、介護が一段落した、バーバラにも声を掛け、くれない屋の従業員、夢魔法の館の踊り子達も交えての大宴会となったのだった。


宴会の参加メンバーには、ブルーとオレンジの事を知らない者達も多かったが、ユーゴはもうどうにでもなれと開き直っていた。


だが、酒の入ったバーバラに捕まると、その開き直りも通用しなかった、

超古代の科学文明の報告を怠ったユーゴは、朝方までバーバラの説教を聞かされる羽目となった。


このメンバーが、後に大変な事になるとは、誰もまだ知らなかった



翌日、くれない亭と夢魔法の館は、二日連続の休業となった、

食材と酒が、全く無くなっていたからだった。




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