表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神託の転移者  作者: 百矢 一彦
70/88

未来の花団


 次の日、女性陣4人が揃ってユーゴの所にやって来た。

ユーゴは、平常心を心掛け、なるべく自然にふるまうべく、笑顔を浮かべた、

だが、笑顔を浮かべる時点で、普通とは違っている事にユーゴは気が付かなかった。


「ユーゴ殿、今日は報告があって参った」と至って冷静に、そう言って来たのはみそのだった。

ユイナとアイーダは、少し不機嫌そうにみそのの後ろに立っている、

みゆきは、なぜか一人少し離れた所で、ニコニコ笑っていた。


「はひ、なんでございましょう」ユーゴは思わず敬語で答える。

「私達は昨日、西の国のある教会から、奴隷として監禁されていた獣人の女性4人を救い出す事に成功しました」と言って来る。

「あ、ああ、それは大変だったでしょう、ご苦労様でした」と答えるユーゴ、

「今回の作戦は、敵に漏れていた可能性があり、もう少しで皆さんを危険に晒すところでした、まずはその点をお詫びしたい」そういって頭を下げるみその、しかし、とても謝ってるようには感じられなかった。

「そ、そうだったの?、これからは慎重に、気を付けましょうね」と答える。


「少し不審点があったので、ご報告します、まず私達4人が倒した相手は全部で14人でした、しかし、後から確認したところ、17人の男が倒れていました」とみそのは表情を変えずに言う、

後ろのユイナとアイーダが身を乗り出すのが判った、

「え、ああ、そうなの?なにがあったんでしょうねえ」とユーゴが答えると、

「ふん、惚けてないで本当の事いいなさい、それだけじゃないのよ、この子がB2と遊んでいたわ、どいう事?」そう言って来たアイーダは、後ろに隠していたB8を胸の前で抱き抱えた。

「この子達、嘘が下手なの、知ってた?」


B8、おまえ、何してくれちゃってるんだよ、ユーゴは頭に手をやり、この期に及んで言い訳を考えていた、

「いいですかユーゴさん、私達はあなたの秘密は守ります、どうか正直にお話しください」そう言って来たのはユイナだった、

「私達は、貴方の正体については、おおよそ検討が付いています、ですから多少隠し事があっても仕方無いと思っています、しかし、どうやって私達を監視ししていたのか、それだけはお話ししていただきたい」

みそのは、さっきより語気が荒くなっている。


ユーゴが絶句して困っていると、みゆきが前に出てきた、

「ユーゴさん、実は私達、一人で奴隷の方達を救おうとしていた方にお会いしまして、その方のお話をお聞きしたら、私達と同じ転移者だったんですよ、もっとも転移して来たのは400年前だそうですが、その人は上位神の存在も知ってらっしゃったの」

みゆきは、もう諦めろという顔でユーゴを見た。


え、転移者?ユーゴはビックリしてみゆきを見返す、

「その人は、今どこにいるの」そう言って立ち上がるユーゴ、

「ちょっと待って、その前に、私達をどう監視してたか説明しなさい」とアイーダがユーゴの前に立ちふさがった、


「ああ、それは・・」と頬を掻きながら、これは全部説明するしか無いかなあ、と思っていると、

(この状況は、全て説明する他、打開策がありません)とメルマが言って来た。

あ、やっぱりそう思う? じゃ、説明頼むよ、とユーゴはメルマに頭の中で言う、

(・・・・これは、本人が説明した方が誠意が伝わると予想)

何言ってるの、誠意って、ここはそういう事じゃ無く正確さが大切だろ、俺だと色々感情も入っちゃうし、

(当機の事も、説明していいのですか)

ああ、もうこうなったらすべて話せ、それで偵察ロボットの件は地図上に配置カ所を見せて、決して個人を監視している訳では無いことを、よーーく説明してくれ。

(了承)ようやく、メルマが了承すると、場所を亜空間の魔法訓練所に移し、テーブルと椅子を用意して、

「じゃ、メルマから説明させるから、よく聞いてやってくれ」と言ってユーゴはせっせとお茶の用意をした。


メルマから話を聞いてる女性陣は、想像以上の突拍子もない内容に、目を丸くしたり、口を押えたりして聴き入っていた、

それまで、平静に聞いていたみゆきは、超古代科学の話になると、誰よりも興奮しているのが判った、

化学の発達で人類が滅亡したと聞いても、他の三人は理解できなかったが、みゆきは「それはあり得るわね」と呟き、それを管理しているロボット達が居ると聞いて、

「アンドロイド、アンドロイドがいるのですか」そう言って立ち上がってユーゴを見た。

他の三人はキョトンとしている、


ユーゴは、みゆきの姿を見て、頭に手をやり、もうこうなったら仕方ないと、機械達のいる部屋と魔法訓練所の間に通路を作った。

そして、メルマに呼び出されたブルーとオレンジが現れる、

みそのはさっと距離を取り小太刀を構える、

ユイナも腰の件に手をやり、油断なく構えた、

アイーダは、ほけーっとアンドロイドを見ていた、

そしてみゆきは、胸の前で手を組み、アイドルかなにかに会ったような様子で、アンドロイドに駆け寄っていた、

アンドロイドの方は、すでに女性達の事は承知してる様子で、

「ユーゴさんにお世話になった、バーチャル世界管理システムのアンドロイド、ブルーとオレンジです」と自己紹介してきた。


メルマが間に入って、色々説明している。

メルマに任せて本当に良かったとユーゴは思っていた。


納得したのかしないのか、よく判らなかったが、4人が落ち着いてきた所で、

「じゃ、次は俺の番だ、転移者に会わせてくれ」とユーゴ言うと、

「まだよ、最後にユーゴ、あなたの部屋を見せてちょうだい、そこに監視なんたらがあるんでしょ」

とアイーダが言って来た、

「監視システムな」とユーゴは言いながら、あそこは俺の最後の聖域だぞ、見せたく無いなあと思っていた。

(こうなったら、自室は新たに作るしかありません、あの部屋は解放してください)

と、質問攻めにあって四苦八苦してたメルマが言って来る。


フー、仕方ないか、とため息をついた後、ユーゴは自室を解放した。

しばらく世話になったベットを消し、ソファーとテーブルを出す、

みそのはその様子を見て、「時空魔法とは、ほんとうに凄い」と感心していた。

ユーゴがみそのに、「ところで、この事を、どうお国に知らせるつもりですか?」とそっと聞いた、

するとみそのは、「知らせません、どうせ信用してもらえませんから」ときっぱり言い切った。


アイーダは、メルマにモニター見せて、とせがみ、次々写しだされる西側の様子を見入っていた。

オー、フェー、ここ知ってる、と声を上げ感嘆したかと思うと、突然振り返り、ユーゴに向かってこう宣言した。


「ここをこれから、私達の作戦室にするわ、ユーゴは別に自分の部屋を作って頂戴、私達は蝙蝠の羽から独立し、チーム未来の花団を結成します」

アイーダは腰に手を当てたお得意のポーズでニカッと笑った、

他の三人もうなずいたり笑ったりしている。

「そうね、メンバーは私達の他に、そこにいるアンドなんとかの二人も入って頂戴」

そう言われた、ブルーとオレンジは「アンドロイドです」と返し、体をチカチカさせながら嬉しそうにしているように見えた。


ユーゴはうな垂れ、何も言わずに首を横に振っていた。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ