上位神の贈り物 1
それは、人では無く大地神ゲブスであった。
「お久しぶりです、ユーゴ」
「んん?ここは俺しか入れないはずなんだが」
「いやあ、私たちにとっては返って来やすい空間になってますよ、いごこちもいいし」
「ふうーん、だからって俺のプライバシーはどうなるんだ?」
「あ、今回は特別ですよ、でも、ああそうだ、お尋ねする時の為にチャイムを設置しましょう、うんうん」
「はあ?そんなもんしょっちゅう鳴らされたんじゃ、たまったもんじゃないぞ」
「特別な用事がある時しか来ませんよ、来なくても見られますし」
「はん、覗きが趣味か、・・あ、なんか言ってやろうと思った事があったような」
「西側の宗教についてですね?」
「ああ、そうだそうだ、ここには多くの神がいるんだろう?あの一神教というのはほっとくのか?」
「私達には、地上の子供達の事に直接関わらない、という不文律がありましてね。自主性を重んじてるんです。子供たちを支配する事を望んでいる訳ではありませんからね。時々、お告げや特定の個人に力を与えたりはするんですが、それも制限がありまして、それに、信仰は子供たちの自由という事になってますから」
「ふーん、一神教とされてる神様も、他の神様を否定する事を構わないと思ってる、という事か?」
「いえいえ、あの宗教は、子供たちが作り出した架空の神ですから、そんな神は存在しないんですよ」
「はあ?実際の神では無いのか、・・・・そんな偽物の神を信仰してた場合、死んだときの魂とかはどうなるんだ?」
「ああ、そこについては機密事項でして、いくらユーゴさんでも教えられません、ただ、信仰のあるなしで死後の境遇が変わる事はありませんよ、あくまで生前の行い次第です」
「なるほどねえ、それは俺としては受け入れ安いな」
「ええ、たとえ神に対して溜口で受け答えしても、ちょっとくらいしかいじめませんよ、多分」
「・・・・・・・・・・」
してやったりとちょっと嬉しそうな神ゲブスは、コホンと咳払いをすると、
「今日は、銀河上位神様からお預かりした、お届け物があります」と言って来た。
「お届け物?」ユーマが怪訝そうな顔をしていると、
「はい、ユーゴさんがいた世界とはまた別の世界の物でして、この世界に合わせてカスタマイズしてあるそうです」
「カ、カスタマイズ??」
「多分、ユーゴさんが自分の力を使いこなせて無いと見て、送られたんだと思いますよ」
「???・・・・・」
フィン、と小さな音がしたと思うと、ユーゴの前にソフトボールぐらいの大きさの金属製に見える球体が現れた、球体は円状に凹みがあり、その中にレンズの様な物が組み込まれている。
金属製の眼球のようにも見えた。
「なんですか、これは?」