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神託の転移者  作者: 百矢 一彦
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チーム


ユーゴとユイナは、ダンジョンに入る時に使った、ダンジョンウォールの外の魔法陣に戻ると、随分と時間が経ってしまったがバースを追う事にした。

三階層まで潜ると、虫達がおとなしく深層に戻っていったと、早くも引き返してくる討伐隊とすれ違い、四階層で改めてバース達に付き添われたカイとの再会を果たした。

ユイナは、ほんの数時間ぶり二度目の再会だが、心底ホッとしたのか、涙を流して兄の無事を喜んだ。

下手な小芝居をする必要もなく、無事帰還を果たすことが出来た。



 その夜、ユーゴは、バーバラの店でバース達から質問攻めにあっていた。

珍しく、コイルとハンスも連れ立って、さあ話せとばかりに息巻いてやってきていたのだ。


 「さあ聞かせろ、お前はいったい何処でどうやって何をしてたのかな?」

有無をも言わせぬ勢いで聞いてくる三人に、ユーゴが何処まで話したもんかなあ、と考えながらあやふやに答えていると、

「いいかユーゴ、今度の件で、ギルドから十階層より下は、5人以上のチームかファミリーじゃないと立ち入り禁止の触れがでた、俺たちはいつも三人で動いている、お前を入れても4人だ、どういう事か判るな」とバースがゴーグル越しに凄む、

「きっちり説明してくれよ、お前にはその義務があるよな、あの龍人の嬢ちゃんについてもな」とコイルが続く。

ハンスは無言でユーゴを見ていた。

「いいか、俺にはあの龍人の兄貴の方が普通の状態じゃねえのは判ってるんだぞ」バースが確信に触れて来る。


 それでも口ごもるユーゴを見て、

「ユーゴ、お前も入れてチームを正式に結成しよう」と無口のはずのハンスが突然言い出した、

「秘密を話したくない気持ちは判る、だが、チームを組めば、俺たちはチームにマイナスになる情報や手の内を外には漏らさない」と至って無表情にハンスは続けた。

「それはいい、まだ一人足らねえが、俺がギルドにごり押ししてやる、なんならみゆき嬢を入れてもいいぞ」とバースが続いたが、これにはバーバラから待ったがかかった。

ああ、みゆきちゃんの事もバースは気がついてるのか、こりゃ、逆に隠してるのは不味いかもな、でも、何処まで話したもんか、とユーゴが考えていると、バーバラが

「この三人ならいいんじゃないの、一人で隠してるより気も楽になって、動きやすくなるわよ」と言って来た。


結局、洗いざらい話す事となった、

流石に三人とも驚きを隠せない様子だったが、ユーゴはその分、気が楽になったのを感じた。



「チームの名前は、ダンジョン蝙蝠、なんてのはどうだ」

「いや、それなら、あいつら変な音波をだすから、痺れ蝙蝠、だ、」

「どうしても蝙蝠から離れないのか?」

「当たり前だ、このチームの売りだからな」

と、チーム名で四人が盛り上がっていると、


(初めまして、私の名はメルマ、マスターユーゴにお仕えする妖魔にて、蝙蝠達を率いるリーダーです)

突然の奇怪な丸い蝙蝠羽の登場に、一同は口をあんぐり開けて沈黙する。



なにやってんだ、おまえ。

ユーゴがメルマに心の中で問い詰める。

(蝙蝠を売りにするなら、当機の存在は不可欠、ここにいる人たちはマスターの秘密を共有済み)

だからって、何の前触れもなく出て来るなんて、なんて説明すれ・・・

そこまで、メルマに言ったとき、


「ユーーゴちゃーーん、なんなのかしら、こ、れ、は、・・私、聞いてないんだけどお」

と、バーバラの不穏な声が聞こえてきた。

「あ、いや、これはですねえ、突然どっかの世界から現れてですね」

と、しどろもどろで説明する。


ふうん、と、あごに手をやり、メルマを見ていたバースの

「チーム名は、蝙蝠の羽、でどうだ」と言う声に、

「あ、それいいね、うん、それいい」と必死に乗っかり、バーバラから逃れるユーゴだった。



そんな夜が過ぎて、ユーゴが部屋に戻ると、

ピンポーンと呼び鈴のような音がしたと思うと、神ゲブスが姿を現した、


「こんばんはユーゴさん、白竜さんの所の子供の救出ご苦労様でした」と労をねぎらって来た。

「ああ、今回は成り行きでそうなっただけだけどね」とユーゴが答えると、

「白龍さんとは親しいんですよ、きっと喜んでいると思いますよ」神ゲブスが言う、

ふーん、白竜というのは、神に近い存在なんだな、その巫女というのも特別な存在なのかもしれないな、とユーゴが考えていると、


「一つだけ忠告しておきます、ユーゴさん、時間を止めるという事がどういう事かわかっていますか?」

え、そっちの話で来たのか?

「時間を止めるという事は、あなたの周りだけが止まる訳では無いんですよ、この世界全部の時間が止まるんです、わかりますか?」

あれ、なんか怒ってます?・・でも、あれは不可抗力っていうか、

「二回目は意識的でしたね」

「あれ、そうだったかな、アハハ・・ハ・・」

なんでも、星を一つ消滅させるよりも凄い魔力を使うとかで、自身の体だけでは無く、他にも色々影響があるから二度と使うなとくぎを刺して、神ゲブスは去った。

まあ、たしかに滅茶苦茶な魔法だよな、とユーゴも納得していた。



その三日後、ユーゴにギルドからの呼び出しがかかった。




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