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神託の転移者  作者: 百矢 一彦
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ダンジョンの異常


 ユーゴとユイナは地上に戻ると、ギルドに正体不明の魔物の討伐の報告をした、その日はもう時間も遅い為、後日改めて詳しい報告を上げる事になった。

今日はゆっくり休んで明日に備えましょうと、次の日は少し時間を遅らせて探索に向かう事を約束して二人は別れた。

ユイナは、あのクラゲの魔物の跡をたどれば、兄の遺品が見つかるかも知れないと思いながら帰路に着いた。

ユーゴは、12階層にしては強すぎたあの魔物と、その魔物の魔石が以前バーバラに見せられた魔石に似ていた事、バーバラが人の手が加えてある、と言っていた事を気にしながら、明日潜ればなにかわかるだろう、そう思いながら帰路に着いた。


・・・・・・・・


 次の日、ユーゴはユイナと十三階層を探索しようと、いつもより遅い時間にダンジョンウォール入り口で落ち合った。

ウォールの中に入ると、今までに無い異様な雰囲気だ。

ダンジョン入り口では何人もの探索者が、ギルドの職員に点呼を取られていた。

皆、その顔には緊張を走らせている、武器や防御用の装備もいつもより物々しかった。


少し離れた場所で、ギルドの職員と話していたバースがこっちだと手を振っている、ユーゴとユイナが駆け寄ると、

「おまえら、昨日、十二階層で謎の化け物を倒したらしいな、他に変わった事は無かったか?」と聞いてきた。

「いや、別に変った様子は無かったが・・・、実は、その魔獣の魔石なんだが、以前バーバラさんに見せられた物と似ていた」と答えると、

「ああ、嫌な予感がするとか言ってた奴か・・・、当たっちまったって事か」


ただならぬ雰囲気に、ユーゴは

「いったい、何があったんだ?」と聞き返した。

「深層の虫たちが上の階に上ってきている、それも大量にな。今朝五階層の泊り組から連絡があった、すでに七階層あたりは、虫だらけだそうだ。あいつらは滅多な事では明るい階層まで上がってこない、何かあったとしか思えん」とバースが難しい顔で答える。

「それで、あんなに探索者が招集されたのか」ユーゴはダンジョン入り口前の探索者達を見ながら言った、

「ああ、一陣は大きなファミリーから選抜された上位レベルの連中だ、なんとか五階層で食い止める。俺たちは二陣だ、お前も一緒に来い」

バースの言葉にユーゴは少し考えて、

「俺たちを斥候として先に行かせてくれ、蝙蝠達で様子を見る、俺が昨日、何かを見落としたせいかもしれない」と言った。

すると、近くに居たギルドの職員、かなりの地位だと思われる男が、

「私はこの作戦の責任者だが、それを認める訳にはいかない、いくら蝙蝠がいるとはいえ危険すぎる」

と言った後、続けてバースが

「だとよ、それに責任を感じるのはお門違いだ、あんな虫どもの行動など誰も予想できねえよ」と言う。

ユーゴは、又少し考えて

「わかった、悪いが忘れ物を思い出した、後から追いかけるからバースは先に出ていてくれ」

そう言ってユイナを目で促してウォールの出口に向かった。

バースは、片眉を上げて、訝しげに見送った。


 ユーゴはユイナを連れ立ってダンジョンウォールを出ると、近くの建物の裏手に回り、

「ユイナさん、どうも嫌な感じがします、一度、十二階層に行ってみましょう、危険なようならすぐ引き返します」とユイナに言うと、周りに人がいないのを確かめて、魔法陣を張った。



 十二階層に着くと、ユーゴ達の周りは静寂に包まれていた、

魔獣、バースが言う所の虫達の気配が全く無かった、姿を現したメルマに、

「ここから上に向かって、異常がある場所を探しだしてくれ」と指示を出し、自らも上の階層に向かって歩き出した。


所々に、虫たちの魔石が転がるのを横目にしながら、ユーマたちが十一階層に入ると、

(十階層に大量の魔力を帯びた魔獣らしき生命体を発見)とメルマが報告してきた、

続けて、蝙蝠達から直接、

(なんかすごいのがいるー)(近づくのこわいよー)(なんかこうせんだしたー)と戸惑っている様子が伝わってくる。

(よし、近づき過ぎないように尾行してくれ)と指示を出して、ユーゴは足を速めた。


 



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