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神託の転移者  作者: 百矢 一彦
19/88

魔族の影


・・・・・・

ユーゴが目を覚ますと、目の前にユイナの顔があった、頭は膝の上、

「よかった、気が付かれましたか」心から安堵するようなユイナの声に、驚いて転げるようにユーゴが起き上がると、そこは浅い洞穴の中だった。

入り口は、周りの岩と同じように見えるように、メルマが目から立体映像を出していた。

(マスターの身体の正常化を確認、2時間18分13秒の強制睡眠から覚醒しました)

メルマが、まだはっきりしないユーゴの頭に言って来る、洞穴の外では(あるじ、めざめたー)(よかった、あるじー)と蝙蝠達が喜ぶ様子が判る。


いったい俺はどうなったんだ?、とメルマに問うと、

(想定外の魔法仕様に、マスターの脳内処理が間に合わなかった模様、あの魔法の使用は使用後の作用に警戒が必要と判断します)

つまり、時間停止魔法は使った後、行動不能になる恐れがある、という事か?と頭の中で聞くと、

(肯定)とメルマはユーゴだけに答えた。

「私が不甲斐ないばかりに、ユーゴ殿にとんだ負担を掛けてしまった、兄の仇と、冷静さを失っていました、申し訳ありません」とユイナが謝ってくる。

「いや、そんなことは無いです、ちょっと慣れない魔法を使っちゃっただけですから」と言いながら、ユーゴはこれからは気をつけようと思っていた。

「メルマ殿は眠ってるだけだと言うのですが、私は心配で、このまま目覚めなかったらどうしようかと・・・」

いえいえ、あなたのその顔が見れただけで充分です、ユーマはそう思っていた。


 (クラゲ型魔物の通った後が、一三階層に通じていることを確認しています)とメルマが報告してくる、

(ぼくがみつけたんだよー)と蝙蝠B4が自慢げに飛んでいる。

「あのクラゲは下から来たという事か、明日、改めて十三階層を調べてみましょう、何か出てくるかもしない」ユーゴの言葉にユイナもうなずいた。


・・・・・・


 十三階層の大きな部屋のようになった洞穴の中、天井近くに魔法で作られたライトボールがいくつか浮き、洞穴全体を照らしていた。入り口は、外からは判らないように岩の扉で塞がれていた。

 

 そこに居たのは、身なりのきちんとした、理知的な風貌の男性だった、ただし、その頭には角が二本生えていた。

後ろには、上半身が人間で下半身が魔物という得体の知れない生き物が何体か控えている、皆額に魔石が埋め込まれていた。

「私は新しい戦力が欲しくてね、人間と魔物を融合させたらどうなるか試してみたのだけれど、お前だけは

とうとう私の言う事を聞いてくれなかったね、残念だよ」

男がそう言った先には、鎖につながれた、やはり半獣で額に魔石の埋め込まれた男がいた。

うつろな、それでも反抗的な目で角の男を見返している。

「まったく、とうに龍の加護など無くなっているように見えたのだけどね、最後の所でお前を守っているようだ」それほど残念そうな表情はせずに角の男は続ける。

「せっかく龍人といういいサンプルが手に入ったと思ったんだがね、残念ながら時間切れだ」


 角の男は、今までの表情とは違い、不気味な笑みを見せて言った、

「クククク、せっかく苦労して魔物の体を与えたのだ、殺さずに少し私の役に立ってもらおう、・・言う事聞かせることは出来なくても、狂わすことは出来るのだよ」

鎖に繋がれた半獣の男は、困惑の表情を浮かべる。

「お前の力を試せる、良い相手もいるようだ。間違って倒してくれると助かるんだがね」

角の男は、無表情な顔に戻して、念じた。


「バーサーカー」


鎖繋がれた人間の上半身が一回り大きく膨れ上がる、そしてうつ向いていた目は赤黒く光始めた、

「ぐううあああああ」

大きな雄叫びと共に、繋がれてた鎖を引き引きちぎる。


 そこまで見届けた角のある男は、笑い顔を浮かべながら、「ほら、お前の槍だ」と言って半身半獣の男に槍を投げると、洞窟の扉を開け、自分は後ろの半獣の男たちを引き連れ、岩の壁の中に消えて行った。






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