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神託の転移者  作者: 百矢 一彦
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探索初日3


 「こ、これは・・・このような生き物は、谷では聞いた事もありません」

ユイナは、メルマのその奇怪な姿に目を丸くしていた。

ですよねー、俺も聞いた事がありませんでした、と、ユーゴが頭を掻いた。


メルマは、相変わらず抑揚の無い口調で、

(私の名はメルマ、マスターユーゴ様に仕える妖魔です)と言う。

この機械は、嘘まで付けるのか、とユーゴが呆れていると、

(当機の概念に嘘という物はありません、これは偽装)とユーゴにだけに分かるように言って来る。

何処が違うんだよ、というユーゴの突っ込みは無視して、

(マスターの遠い記憶にあるキャラクターは、金属ではありません)とさっきの突っ込みに答えてきた。

まったく、俺のどこにこんな偽装を考える思考があるってえんだ。

というユーゴをまたも無視して、

(私は、マスターとユイノ殿の視線を察知して、照明を当てる事が可能、探索には有意義です)と言う、

ユイナは、「それは有難い」と素直に喜んでいる。

その様子を見たユーゴは、メルマは無視を覚えた、とゲーム口調で呟いていた。


 十階層にも、念のため魔法陣を書いて、ユーマにとっても未知の領域十一階層に向かう。

ここまで来ると月明かり程度の明るさしかなく、潜む魔物も今までとは様子が違っていた。

大きな蜘蛛や、ムカデなど、見た目もグロテスクな物が増えてきた、蝙蝠達がいなければ前に進むのもかなり困難と思われた。

 その蝙蝠達は、(リーダーかっこよくなったねー)(イメチェンいいねえ)(あこがれるー)と、メルマの変わった姿に騒いでいる、(おまえら集中しろ)とユーゴが思念を送ると(はーい)(まかせてー)と配置に戻っていった。


 大型の蜘蛛の巣にてこずりながらも、12階層に到着、いよいよ探索の開始だ。

あらかじめ蝙蝠達に調べさせた、探索者の遺品らしきものや、落とし物は思ったより数が多く、それを一つずつ潰して行くしか方法はなさそうだ。

出てくる魔獣も、固い殻に囲まれた巨大ダンゴムシのような物や、逆に攻撃しても手応えの少ない巨大ナメクジみたな物もいて、撃退するのに時間がかかるようになってきた。


 五カ所目の探索者の遺品があった場所を確認したところで、この日は時間切れとなった。

「明日はこの場所に一階層から直行できますから、あせらず今日はここまでにしましょう」とユーゴが言うと、ユイナもうなずいて承諾した。

蝙蝠達がマントに戻ると、魔法陣を書いてその中に二人で入る、ユーゴが一階層の魔法陣を思い浮かべて魔力を送ると、無重力感を感じ、細かい光が上下に走ったかと思うとすでに一階層に書いた魔法陣の中にいた。

「本当にすごい魔法だ、確かにこのような魔法が人に知れれば大騒ぎとなりましょう、秘密は必ずまもります。・・・・・それで今日の分の代金なのですが」とちょっと心配そうにユイナが聞いてくる。

「ああ、それは今日取れた魔石を頂ければそれでいいです、十階層より深い階層の魔石は価値も高いですから」そういうとユイナは申し訳なさそうに、

「本当にそれでよいのですか、ユーゴ殿のお力は何人分に匹敵するやら」と言う、

「大丈夫です、それよりユイナさんの方こそ滞在費とか大丈夫ですか?」

「それは大丈夫です、谷で取れる鉱石を多少頂いてきてますから」

そんなやり取りをして、ダンジョンを後にした。


 夕刻の時間帯、ダンジョンウォールは賑わっていた、

ユーゴが魔石を換金すると、レベルが3に上がっていた。



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