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神託の転移者  作者: 百矢 一彦
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龍人の娘2


 「条件、ですか?」ユイナはちょっと不安げな表情をする。

いや、もう、どんな表情をしても綺麗だ、カワイイ、萌える、・・いやいやそうじゃない、

と、ユーゴは心の内が表情に出ないように気を付けながら、

「はい、一緒に行動してる間に使う私の魔法や魔道具に関して、絶対に口外しないと約束して頂きたい」

と、言った。


ユイナは、ユーゴの表情を見て、これほど真剣な表情で言うのだから、よほど知られたくない秘密なのだろうと、

「わかりました、白龍の巫女の名に懸けてお誓いします」と答えた。

「ユーゴは準備に二日程時間が欲しい」そう言ってその日はユイナと別れ帰路に着いた、見た事が無いような美少女との対談は、かなり疲れるものだった。


 自室に戻ったユーゴは、メルマに向けて、ダンジョンのマッピングを念のため十三階層まで二日で終わらせてくれ、危険な魔獣の有無と、探索者の遺品らしき物があった場合はマーキングしておくように、と指示した。メルマの指示を受けた蝙蝠達は、ユーゴが作っておいたダンジョンへの入り口を通って(わかったー)(りょうかい)と今までよりしっかりした口調で思念を送りながら出発していった。

後は、途中でワープ用の魔法陣を適当に作っていけば何とかなるだろう、そう思いながら食事の為に部屋を出た。


くれない屋に行くと、他の店員に混じって、昔から掛けてたので無いと落ち着かない、と伊達メガネをかけたみゆきが、チョコチョコと小股で小走りをしながらせっせと働いている。

ユーゴはいつもの端っこの席で、食事を注文して食べ終わり、何気に他の客の様子をみていると、

「どうしたんですか、なんかボーっとしちゃって。はい、これ試してみて下さい」と、みゆきに言われ、出されたのは、なんとこちらでは見た事が無かったコーヒーだった。

「これどうしたの?」とみゆきに聞くと、

「へへー、薬の材料買いに行ったら見つけたんですよ、どう見てもコーヒーっぽい豆を、魔法で焙煎してみました」と得意げに言う。

一口飲んでユーゴが「美味い」と言うと、「よかった」と言って嬉しそうに笑い、仕事に戻っていった。


 その姿を見たユーゴは、忘れかけていた妹を思い出した。

「兄さんは、誰にでも好かれようとするから疲れるのよ」そんな事言われたことがあったけな、別に好かれたい訳じゃなく、安易に敵を作りたく無かっただけなんだけどな、と苦笑いしながら、もう一口、ちょっと酸味の効いたユーゴの好みのコーヒーを口にするのだった。



 次の日、ギルドに出向き、ユイナの兄のチームが行方不明になった事件の聞き込みをした。事件の後は正体不明の魔物の目撃情報は無いという事だった。ただ、他にも行方不明者が出ていて、警戒を呼び掛けてるらしい、調査も何回か依頼したが異常は発見されていない、という事だった。


 夜、バーバラに行方不明者の探索に、十二階層まで潜ると報告すると、

「あの魔石の事もある、充分に気を付けるのよ」とめずらしく念押しされてしまった。

ちょっと嫌な雰囲気の中、ユイナとの探索の日を迎えたのだった。



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