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英勇者の天敵  作者: バル33
第三章:欺瞞の王国

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その7


「なななんで……素直に……」


 混乱するあまり吃音がぶり返してきた。

 おでこに手のひらをつけて冷静に子供たちの態度を考察するが……やはり意味不明だ。

 勇者を殺す怪物なのに不満も漏らさず順調に教会から出ていく仕度をしている。

 俺と同じで狂っているのかとさえ思う。


「サクライが思っている以上に子供たちは感謝しているよ。 気に病むことはない」

「他所からやってきて居場所を追い出す輩にか?。 平凡な暮らしを望んでいたんじゃないのか?」

「いずれは廃墟になる教会に未練はないだろう。 遅かれ早かれ子供たちは覚悟していたことだから、サクライの言葉を受けても平然だったんよ」

「……サーレ」


 本当にそれが子供たちの意思なのだろうかと未だに疑ってしまう。

 個人の都合でなんの保証もなく出て行けと言われたら激昂するはずだ。

 それも小さな子にも被害があるのに文句もつかない大人。

 君たちに貢献していたのは資金を集めることと、家事の手伝い、それぽっちなのに……。

 俺には理解しかねるよ。


「王城に突撃するってことは国ぐるみの裏を掴んだよね?」

「いや、掴んではいないが魔女から情報提供を受けた。 これは城内の見取り図で地下室に秘密があるらしい。 詳細は行かないとわからん」

「魔女……マルダさんのことね。 長いこと王国とは密接の関係がある人だから極秘資料も持っていたのか」


 一般の冒険者も王城を守護する兵士も持っていないであろう見取り図を、魔女が所持していた理由が判明した。

 王国とつるんでいたってわけか……なら、身内を売る真似をしたのはなぜだろう?

 サーレが執筆した手紙を読み俺の正体を知った。 勇者殺しに味方の情報を漏らせば王国はタダではすまない。

 魔女にとっては利益はなくデメリットしかないはずだ。 なのに敵を援護する行為……なにが目的だ。


「勇者を捻りつぶせる者が現れたからマルダさんも動いたんだね。 私の時には見取り図くれなかったよ」

「王国が大打撃を与える代物をなぜ渡したのか不明なんだが」

「そうかサクライは王国がマルダさんに対して卑劣な行為を知らないのだったね。 じつの子を人質に取られて脅されているのさ」

「……は?」


 子供を盾に脅している事実に怒りの熱がふつふつを沸いてきた。

 ゲスめ。


「負傷した者を無料で治させたり、キメラを森に解き放つよう命令したり、ポーションを作らせたりとやりたい放題だよ」

「あの時のキメラはそうゆうことか」


 森林でさまよう奴隷のリーダーである狼男の発言に納得がいく。

 キメラは魔女が生み出した怪物と、こんな場所に出るわけがない。

 なるほどな、王国が一枚かんでいたのか。 ますますゲス度が評価が上昇する。

 表は綺麗でも裏は淀んでいる国だとあらためて再認識した。


「王国が腐ってるのはわかったけど、四勇の動向の結果はどうだった?」

「相変わらず魔物を狩りまくったり、反対派の貴族を撲滅したりと王の言いなりだったよ。 それよりたびたび人が失踪する事件が気になる」

「どの程度のスパンで失踪するんだ?」

「一月に二十人ほど。 足を休めに来た旅人も含まれているよ」

「……王国の仕業か」

「いや、まだ断定できない。 魔物に喰われた可能性も否めないけど、町中(・ ・)で消えているから謎なんだよ。 王国は人の居場所を管理しているのに、失踪した者のがどこに行ったのかわからないと答える点が怪しいね」

「妙だけど、王城を攻め落とせば解決するだろうから、今は向かう準備しようか」

「そうだね」


 爽やかな微笑みで返しサーレは自室に消えていった。

 勇者しかり、魔女しかり、王国にいいように利用され操り人形にされている真相を知り元いた世界と変わらないなと述べる。

 権力者に搾取され、奴隷のように扱われ、異常だとも気づかない。

 一見正しいように思えるものも実は悪だとさえ思考が回らない。

 四勇も国のために貢献して人の役に立っていると思い込んでいるだろう。

 洗脳されているとも知らずに哀れなやつらだと心の内で呟いた。


 サーレが仕度する間に俺も出かける準備をする。 

 といっても、服装を整えるで数分で終わる。 装備やらアイテムなどは不要だからしかたない。

 身体強化があれば苦労することがないからだ。

 まだまだ仕度にかかりそうなのでキュレイピアの野郎を呼びおこしにいく。


 しぶしぶロリっ子の部屋に向かうサクライであった。

  

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