表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/7

6-糾弾④

大変お待たせ致しました。


会場に居た貴族達が騒めきだす。


「良き考えでは?

素晴らしい方ではないか・・・!


身銭を切って行うとは中々出来ることではない。


ましてや学校ともなると、莫大な予算が必要になる。


流石はリンデンシールド家といったところか!」


父親の腹心である伯爵を皮切りに、多くの貴族達が公爵家を褒めそやす。


「…それはロヴェル君が提案したのかね?」


ヴィルの一言で、周囲の賛美・尊敬の視線と対照的に私の背筋にゾッとした物が走った。


ロヴェルの名は、学院ではリリアーネしか知らない。

加えて本人の名前はロヴィ・メルヴァンであり、ロヴェルは親しい間柄である家族と私、リリアーネしか知らないし呼ばない愛称のはずだ。


絶句した私に、元からヴィルは答えを求めていないのか、ひとつ頷くと言葉を続ける。


「教育の偉大さ、与える影響をきちんと理解出来ていない様だ。


…私にはね、願いがある。


国民に、同胞に、幸せな人生を送って欲しい。

そしてその次の世代にも。

未来の我が子達にも。


君は優しいけど、それは欠点でもある。諸刃の剣だ。

其処に付け込まれたんだね。


だからこうして革命家に利用される。」


ガンガンと頭が痛む。


…革命家?


「争いの芽は摘み取らなければいけない。


例えそれが私の婚約者だとしても。」


あの、ロヴェルが?


会場の温度が急速に冷え切っていくのを感じた。

思わぬ展開に、皆がどうするべきか戸惑いを隠せないでいる。今や彼等はこの見世物の野次馬でしかなかった。


「そんなことッ、あり得ませんッッ!!


ロヴェルと話をさせてくださいませ!!!」


私は切羽詰まった大声で言った。

けれどそうして口では否定したものの、何処か納得していた。


サロンを開いている事は、秘密にすること。


学び舎を建てるのは、私が提案した事にすること。


様々な取り決め。


「勿論だとも。

監視付きではあるが、面白い話を聞けるだろう。」


私の両腕が王家の騎士達に掴まれるのを感じる。

しかしそれは、どこか現実味のない、あやふやな出来事に思えてならない。



視線をそらす事なく、真っ直ぐに合わせられる瞳。


目の前の彼は、一体誰だ。



違う。


変わったのは、彼ではない。


……………………私だ。


地面がグラグラ揺れている。

ちゃんと、立てているだろうか。


私は、彼のことをちゃんと見ていなかったのかしら?


無知で周囲をきちんと見れていなかったのは、自分であったらしい。




…ふふっ。


なんて、、愚かなのかしら。


よもや自らの手で、国を滅ぼしかねない反乱因子を大切に育てていたとは。


生きていることさえ、今は苦しい。


私の意識はそこで途絶えた。


稚拙な文章ですが、此処まで読んで頂きありがとうございます。

感謝の念に堪えません。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ