4-糾弾②
驚きすぎて、四度見しました。
「マナー?
そんなもの、私は求めていないぞ?」
「本気で、仰られているのですか、、、?」
シャーリーは一瞬、何を言われたのか全く理解できなかった。
礼儀作法は必要ない?
身分が低いとはいえ、彼女は貴族。
それも宮中への出入りを約束された身である。
もし王妃になったら彼女は社交界のホスト役だ。
これから一切宮殿では社交的を開かないつもりなのだろうか。
彼にそんな気は毛頭無いだろう。
在学中ですら一度たりとも参加を欠かした事が無いのだから。
「王太子殿下、少し宜しいでしょうか?」
今まで隣で沈黙を守っていたリリアーネが、意を決した様に拳を握り締め、許可を求めた。
「リリアーネ侯爵令嬢か。
まあいいだろう。申してみよ。」
「有難う御座います、殿下。
それでは失礼して。
…殿下は一体全体何をお考えなのです?
シャーリーは、学業だけでなく福祉活動にも熱心なんですよ!?
それに比べて貴方は!
学院にさえ毎日ちゃんといらしてなかったではありませんか!
私、平民の友人からお聞きしましたわ。
殿下が在学中の大半を、国内視察と称した外遊に明け暮れていた事実を!
殿下は村にいらしたかと思えば、村民の話を碌に聞きもせずサッサと教会に行き、お近くの役場にて豪華な接待を受けられていたとか。
何の為の視察なのですか!!
ただの旅行ではありませんか!
その視察にマリアンナ様を連れて行った、それが王族のなさる事ですか!!
婚約者がいらっしゃるのに男女の噂が立つのも当然ですわね!
殿下が最も礼儀知らずなのですから。
そんな方に、シャーリーと結婚して欲しくありません!!」
怒りに震えるリリアーネの声は、会場中に響き渡った。
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