3-糾弾①
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「全く身に覚えがないとでも?」
ヴィルが秀麗な眉を顰め、私を睨みつける。
「ええ。
責められ婚約破棄される程の事は何も。
…逆なら然りですけど?」
「何?」
私はちらりと、ヴィルの斜め後ろに立つマリアンナ男爵令嬢に視線を送った。
彼女は当然といった態度でヴィルの側に立ち、冷めた表情で馬鹿にした様に此方を見ていた。
腹立たしい事この上ない。
そもそも、何故彼女はこの社交界に出席しているのだろうか。
男性はともかく、女性は結婚や出産をしてからしか参加を許されないのが絶対ルール。
今日は私達の卒業祝い、そして皇太子の婚約者という特別な立場から出席を許されているのだ。
他には、今私の側にいる親友のリリアーネだけ。
彼女もまだ婚約の状態ではあるのだが、私一人では心細いであろうと王妃から配慮を戴いた結果である。
こういった背景をヴィルが全く考えていないのは今の状況から見ても、明らかであった。
そしてそれはマリアンナと同様、彼の側に立つ3人の御学友も同じ。
まあ、今更どうでもいい。
例えどんなにヴィルの取り巻きがボンクラだろうと、もう関係ない。
この国に未来は無いのだから。
そうと分かれば、まず自分が直面している問題を解決しなくては。
仮にも次世代の王。
勘違いと決めつけで殺されてはかなわない。
これが終わったら、内乱でも起きる前にさっさと失礼しよう。
「マリアンナ様のお召し物、とっても素敵ですわね。
流行とは少し違うけれど、スカートが短くて動きやすそう。
皆様もそう思いませんこと?」
私は話し終えると周囲を見回し、同調を求めた。
今夜のマリアンナの服装は、青く艶やかに光を反射する礼装の様なドレス。
一般的なパーティードレスより短い裾からは、履き慣れていないのか、踵の低い革靴が覗いていた。
笑えるほど豪華なその生地は、最近海を経由して運ばれた”絹”で出来た物だろう。
噂でしか聞いた事がなかったが、まさか彼女のドレスになっていたとは!
王族を差し置くとは良いご身分である。
彼女の家は男爵家。貧乏で有名だ。誰が買い与えたのかなど、聞かなくても分かるというもの。
極め付けは腕や指、耳に付いている銀細工。
付けているだけで魔力を増幅、または抑制させる術式が彫り込まれたソレは学院でも数名しか付けることを許されていない代物。
どれだけ贔屓されてるのかしら。
彼女に支払われた国の支出を思うとクラクラする。
…私には、今まで服飾品の類は一度も贈ってくれた事が無かったわね。
「何が言いたい?」
「分かりませんか?
マリアンナ様のマナーがなっていないと言いたいのです!
仮にも学院を卒業したなら、最低限の礼節は守るべきでしょう!?
それなのに人の婚約者と馴れ馴れしくするなんて!
反感を買って当たり前ではありませんか!」