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2-学生生活

補足:公爵>侯爵>伯爵>子爵>男爵


事の発端は私達が学院に入学してすぐに起こった。


我が国で最も名高い国立学校、ウェストンギルニア学院。


この国の上流階級である、公爵,侯爵,伯爵,あるいは新興富裕層といった貴族と金持ちが通うこの学院は、政治科,経営科,魔術科,婦人科の四科で構成されている。


政治科には主に自らの家督を継ぐ貴族の長男が。

経営科には新興富裕層の子息が。

そして魔術科には、王家に護衛や軍人として仕える為貴族の次男三男が。

といった調子である。


言うまでもなく、ヴィルフレムは政治科に入学。

同い年の私も王の妻としてしっかりと役目を果たせるように、貴族の令嬢が礼儀作法を学ぶ婦人科に入学した。


様々なコネクションを得られるこの学院に入学出来たということは、将来を約束されたも同然。


斯様な特性上、入学に当たって身分や学力は勿論、プラスアルファとして莫大な学費が求められる。


貴族の子であっても、入学出来るのはごく僅か。


詰まる所この学院は、全てを約束された者たちが集う場所なのである。



そんな我が校の魔術科に特例として、元平民・現男爵令嬢のマリアンナ・ヴァーレーが私と同じ新入生として入学を認められた。


この世界には、魔法という概念が存在する。

魔法は学べば大体の人が使える様になるが、非常に難解で会得するまでに最低でも6年を要する。

またその知識を貴族階級が独占しているため、平民は魔法の存在は認知、かつ魔力を保有しているが行使出来ない。


しかしながらごく偶に、感情のリミッターが外れた人に何らかの形で魔法が発現する事がある。

これは危険を感じた時等、身を守ろうと本能的に起こる現象だと言われている。


個体によって、魔力量は異なる。


未然に事故が起こらない様、一定の年齢に達すると、住んでいる村や町にある教会で魔力測定を受ける事が義務付けられている。


通常では、魔力量が多いと判断された数人程度の少年達が冬に王都に呼ばれ学院の講師から1週間の講習を受ける。


そこでは感情的にならないためのアレコレを叩き込まれ、もし"事故"が起きてしまうと周囲の人にどのような影響を与えてしまうかを、実際の例を参考にシュミレーションするのだとか。

それさえ終われば、後は普通に生活出来る。


しかし、彼女は特別だった。


彼女の保有する魔力量は人並み外れており、完璧に制御する術を身につける必要があると魔法省に判断されたのだ。


学費は国の全額負担、男爵位も与えられるという異例の高待遇となった。




まぁ、まだそこまでは良かったのだ。


ふぅん、そうなの。

元平民で入学なんて大変そうね。

しかも男ばかりの魔術科だなんて。

卒業までもつのかしら。

…ってぐらいの感想。


計算外だったのは、彼女の容姿が人並みはずれており、誰もが認める美少女であったこと。


彼女の透き通る様な肌の色と、薔薇色に染まる頬は妖精の様な儚さと神秘的な雰囲気を際立たせていた。


そんな彼女の容姿に拍車をかけているのが、ハニーブロンドの髪と海の様な蒼い瞳。


正に男子の"ミス・ドリーム"であった彼女。

入学初日から注目の的であった。


また、容姿と対照的に誰にも物怖じしない勝気な性格が相俟って、リリアーネ(私の親友)曰く、恋人とはいかないまでも一度は夜を共にしてみたいーーー。


と、皆に思わせ、"夢のレディ"という立ち位置をモノにしたんだとか。


沢山の男子生徒から、アプローチ攻撃が始まったのは至極自然な流れであった。


それを、

「御免なさいね。私にとって、貴方は大切な学友。それだけよ。」

とアッサリ断り続けた彼女が、最終的に行動を共にする様になったのは、王太子ヴィルフレム。


私にとって考えられる最悪の事態、と表現する他なかった。




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