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08 結成! ペタン娘ウィッチーズ!!

2016/8/26 20:00 2/2

 腰に巻くベルトに、トンファーを差す小さいベルトが鎖で繋がれている剣帯改。早速装着してみる。

 腰の左右にぶら下がっている筒状の部分に、トンファーの持ち手部分が後ろになるように差し込む。

 手のひらで握りの端っこを押しながら横方向に九十度回転させつつ上に抜く。なんかガンマンみたいだな。


「うん、問題なし!」


 と思ってたのに、店主のオヤジは気に入らなかったようだ。繋げてる鎖が短かったとか言い出して、トンファー用の剣帯をひったくられた。鎖の輪っかが三つ分くらい長い物に交換。抜き刺ししてみると、なるほど……確かにこっちのほうがやりやすかった。さすがプロだな。

 見ているだけでどっちが俺に合った物なのか分かったらしく、オヤジと一緒にリラとユユも満足気に頷いていた。お姉ちゃんぶりたい年頃なのだろう。

 礼を言って店を後にする。

 

「時間、微妙に余った」

「そうだねー。どうしよっか?」

「じゃあさ、他のギルド見てみたいかも。ボクは行ったことないし」

「オヤツ」

「うん。みんな優しいよね」


 俺はただ興味があっただけなんだが、オヤツGETツアーになってしまった……。俺も子供の頃は似たようなことをやってたか。近所に住んでる親戚んち巡り。小遣いと菓子をもらいにさ。

 

 商人(マーチャント)ギルドのお姉さんはバターたっぷりの柔らかクッキーとハーブティを出してくれた。

 探検家(エクスプローラーズ)ギルドでは食べられる野草を教えてもらいつつ、スモモみたいな果物を食べさせてもらった。

 斥候(スカウト)ギルドのオッチャンはハチミツ漬けのハチの幼虫。俺は遠慮したが二人は美味しそうに食べてた。

 

「お腹いっぱい。狩人(ハンターズ)ギルド、明日行く。肉は今いらない」

「そうだね~。ロコちゃんは?」

「ボクはしょっぱいのが食べたいけど、晩御飯用にお腹は空けとく」


 こうしてオヤツGETツアーはユユの身も蓋もない言葉によって終焉を迎えた……。

 この世界は優しさにあふれてるなあ。明らかにオヤツ目当てってのが分かるだろうに付き合ってくれるんだからさ。子供の魔法士ってのもあるかな。打算もあるか。

 魔法が使えれば便利な部分って多いだろうしなあ。生成魔法だって釘とか矢尻とか、量産可能だもんな。そういえば木製のなんかとか作れるのだろうか? 今日は魔力が厳しいから明日にでも試そう。


「そうだ、明日狩りするのにさ、なんか必要な物ってある?」

「う~ん……お弁当と水袋はいるかなあ。それからナイフと毛皮入れる袋でしょ~、えーっと後はショベルはいるよ。埋める用の!」

「埋めるの? ボク、ゴブリンを森にそのまま捨てちゃった。しまったなあ」

「チョットなら平気。食べられて終り」

「あんな臭いヤツ……食べるのいるんだ……おえ~」


 ショベルかあ……持ってないけどまあ、作ればいいや。ということは……。

 

「袋の予備と念のために保存食は買っておこうかな」


 そしたらもう用事はないし、明日のために──


「英気を養うために、みんなでお風呂屋さんに行こう!」


 二人の了承を得て、ご飯の後に風呂屋で待ち合わせることに。二人と別れて袋と保存食を購入。解体用に革製の多目的手袋もついでに二セット買った。戦闘用じゃないのでこっちのは安かった。保存食六食分、革製多目的手袋二組、袋。それぞれ銅貨一枚。計、銅貨三枚の買い物を済ませて宿に向かう。

<所持金の更新>

 小銅貨二十六枚 銅貨四枚 銀貨一枚 金貨一枚


 二人はこの町出身だから宿代の心配がない。羨ましいぜ。旅に出る時、ついて来てくれるかなあ。などと考えながら肉丼&肉野菜炒めを食す。タイ米みたいなのだけど、米が普通にあったのは助かった。日本男児ゆえ、やはりパンより米の方が好みだ。

 

「ごちそうさまー。明日の朝ご飯なしで、弁当にしてもらってもいい?」

「どこか出掛けるの?」

「狩り! ゴーレム作ったら存在力減っちゃったんだ」

「ロコちゃんは計画という言葉を学びなさい……」

「うっ」


 説教を背に受けて、俺はマッハでエスケーィプッ。愛でるのだ! お風呂で女体を愛でるのだ! 説教は勘弁なのだー!

 

「ロコ、遅い」

「ユユちゃんも今来たばっかりでしょ~」

「ゴメンゴメン」


 愛でるのだ! お風呂で裸体を愛でるのだーっ! 早速、風呂屋に入る。

<所持金の更新>

 小銅貨二十三枚 銅貨四枚 銀貨一枚 金貨一枚


 服を脱いだ俺のプリティなお胸が僅かに揺れた。プリティロコ、見参っ!

 濃紫(こむらさき)のローブをスポっと脱いだユユの煌めく金髪が、さらりと流れて揺れないお胸を隠す。ラブリーユユ、光臨の瞬間である。

 視線を移すと金色で縁取られた純白のクロークを外し、(すみれ)色のキャミソールを脱いでいくリラが見える。

 キュートなお胸が僅かに揺れる。おさげを解くと、まるでエメラルドで紡がれた糸のような髪が、白い肌を飾る。キューティリラ、来駕(らいが)の瞬間である。

 

「んんんっ!?」


 おっぱいの先っちょ的な所をDKPNされて、思わず声が出た。何してんの!?


「ロコのおっぱい、ずるい」

「ずるくないよ!? ちょ、あっ、やめっ! 摘むなー! リラ、助けにゃはあっ」

「自業自得だよー? π拳とか言っていっつも変なコトしてるんだもん」


 π拳三の手 突端把捉指(とったんはそくし)、誕生の瞬間である。

 まさかユユがπ拳の奥義を生み出すとは思わなかったぜ。被害者は俺! ツインテを解こうと両手を頭に持っていった時を狙われてしまった。リラもわざわざ助けてくれたりはしない。自業自得らしい。ん?


「リラって尻尾があるんだね。初めて見た」

「ジッと見たら恥ずかしいよぉ~」

「私、触ったことある。エヘン」

「えっ? なにそれズルイ!」

「ちょ、ちょっとユユちゃん!?」


 お尻の割れ目のちょいと上。ピョコンと佇むリラのウサウサ尻尾がピンと立っている。警戒してるようだ。しかし──しかし、であるっ。地球にはいない獣人の尻尾、是非とも触らせていただきたい!


「ふわふわ」

「ホント!? リラ、リラ、ちょっとだけ! 先っちょだけでいいから!」

「ダ、ダ、ダメー! ちっちゃい時のことだよ~」

「フフン。ふわふわ、凄かった」

「じゃあオーちゃんとならさ、どっちがふわふわ?」

「ム……んんー~、リラの勝ち」

「そうなんだ……いいなあ」


 リラはいつの間にか脱衣所から逃げ出していた。しかしオーちゃんよりもふわふわかあ。いつか触らせてもーらおっと。

 オーちゃんっていうのは、ユユがテイムしている従魔の名前だ。外見は黒豹なんだけど、確かオペークパンサーとかいう魔獣。なんかさ、ちゃんと見ているはずなんだけど、見えてない感じがする不思議な豹なんだよね。もちろん触ることはできるので、いるっていうのは分かる。そんでふわふわのふかふかなんだ。

 羨ましい……嫉妬の炎が燃え盛っちゃうね。


 そんなこんなで、楽しく風呂屋でイチャついた。いや、子供の遊びだよ? プニプニの身体を洗いっこしたり、ツルツルの肌を突いたりくすぐったり。全くもって子供の遊びだ。つまりセーフ。

 

 湯船に浸かりながら明日のことを話し合う。接敵した時のフォーメーションとかね。ユユ以外前衛だったけど。ユユもオーちゃんが敵を押さえつけたら前衛になるんだけど。全員魔法士のはずなんだけど。倒す手段が接近戦ばっかなんですけど。

 遠距離攻撃が石を投げるだけなんですけども……いかがいたしましょう?

 相談して俺が使っていないスリングをユユにあげることになった。


 ──そして翌朝。

 

 夜明けとともに狩人(ハンターズ)ギルド前に集合。

 

「おはよーん」

「おはよっ!」

「……よー」


 ユユ……起きろ! 半目で欠伸をしつつフラフラ揺れている。彼女の爆発している髪の毛をリラが手ぐしで直している。その足元に寝転がっているオーちゃんも欠伸する。


「目が覚めないならくすぐり地獄に案内しようか?」

「う~? ……ダメ……」

「ほら、これ。スリング。手を出してバンザーイ」


 言われるままにスリングを受け取り、バンザイする寝ぼけユユの脇に指を這わせて地獄の一丁目を案内した。


「ンひゃわあひゃひゃきゃきゃきゃいひゃー!?」

「お嬢様、お目覚めの時間です」

「んんーっ!!」

「くすぐれば目が覚めるって、お・ぼ・え・ちゃった~!」

「うぅ、リラ、ダメ……」


 毎度のことだったんだろうなあ。

 

「ユユも起きたみたいだし行こ?」

 

 颯爽とギルドに入る俺達。早朝なのに結構人がいるなあ。とか思ってたら狩人達からどよめきが上がる。なんだ? ホントに来た? どういうことだよ。


 ──世界樹()は理解する──


「ようこそ、狩人ギルドへ! 我々は君達、ペタン娘月影の魔女達(ウィッチーズ)を歓迎する!!」


 ──異世界よりもたらされた、その言霊を──


『わああああああああああああああああ!!』


 轟く歓声と拍手。そして頭に直接響く声。それは世界樹の声。

 なん……だとぉっ!?


『アクセス──個体名ロコ・T・ルリッタ』


 ──世界樹()は記録する──


「にゃあっ!?」

「きゃあっ!?」

「ひゃうっ!?」


 三者三様の声を上げて、俺達は縮こまる。いや、なんか脇とか胸とか股間とかが急にチリチリーってなったんだ。俺と同じように、ちっちゃく縮こまったリラとユユも、脇とかお胸とか股間とかが急にチリチリったんだな? 脇とかお胸とか股間とかが!

 

 そう、それは──未来永劫、解けることの無い世界樹()祝福(呪縛)──


 ペタン娘ウィッチーズ。爆誕の瞬間であった。

 ペタン娘の称号が付いた瞬間でもあった。

 やめれっ!?

<所持品>

 財布x4 水袋x2 袋x2 ウェストポーチ 油 タオル×2 バスタオル×2

火打石と打ち金 ロープ15m フック付きロープ5m ピッケル ピトン×4

 保存食x6 革製多目的手袋x2 手鏡 応急セット

 レコーダーと紐付き革製カードケース

 厚手のシャツ シャツ×2 チューブトップの肌着×2 かぼちゃパンツ×2

 ▼破損している物

  血染めのシャツ 血染めのチューブトップの肌着 大人パンツ×2

<装備品>

 鉄のトンファーx2 解体用ナイフ ローブ 革のグローブ 剣帯

 シャツ チューブトップの肌着 かぼちゃパンツ ブーツ

<所持金>

 小銅貨x23 銅貨x4 銀貨x1 金貨x1

--------------------------------------------------------------------------

購入:保存食x6 革製多目的手袋x2 袋x1

--------------------------------------------------------------------------

名 前:ロコ・T・ルリッタ

性 別:女

年 齢:12才

種 族:H・巌の民(ドワーフ)

所 属:魔法士(マジシャンズ)ギルド

    月影の魔女達(ウィッチーズ)

存在力:1

技 能:生成魔法[AA]

 毒耐性

種族特性

 暗視 筋力強化

言 語:母国語 共通語

称 号:ペタン娘魔女(ウィッチ)(NEW)

---------------------------------------

名 前:リラ・ポル

性 別:女

年 齢:13才

種 族:兎の民(ラヴィッシュ)

所 属:魔法士(マジシャンズ)ギルド

    月影の魔女達(ウィッチーズ)

存在力:10

技 能:交霊魔法

 ラヴィッシュ・アーツ

 聴嗅覚情報強化 気配察知

種族特性

 脚力強化 鋭敏聴覚 鋭敏嗅覚

言 語:母国語 共通語

称 号:ペタン娘魔女(ウィッチ)(NEW)

---------------------------------------

名 前:ユユ・ヒッティネン

性 別:女

年 齢:12才

種 族:月の民(ルナリア)

所 属:魔法士(マジシャンズ)ギルド

    月影の魔女達(ウィッチーズ)

存在力:5

技 能:使役魔法[魔獣]

種族特性

 夜目 闇属性

言 語:母国語 共通語 

称 号:ペタン娘魔女(ウィッチ)(NEW)

---------------------------------------

 次回ペタン娘魔女AA(ウィッチダブルエー)第九話「「キュンの角度」」にセーットアーップ!

次話は12:00です。

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