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26 魔王軍VS勇者&冒険者

お待たせしました!

時間はあったのですが、ネタが思ったよりも思いつかずこんな時間に・・・

では、どうぞ。


 魔物の大群に囲まれた葉は無限を振り続けた。


「ったく。こいつらどんだけいるんだよ。数は5万って聞いてたけど、それ以上いるんじゃないか?」


 思わず、愚痴をこぼすと一緒に闘っている天上院が突っかかってくる。


「口を動かす前に手を動かせ!こっちには非戦闘員が3人もいるんだ!その分働け!」

「へいへい・・・。」


 天上院も確実に数は減らしているが、なかなか減る様子がない・・・。

 葉は一体を一撃で狩っているのだが、天上院は少し時間がかかるようだ。


 しょうがない・・・。


「【付与エンチャントウィンド】」

「む、これは・・・。」

「ただの付与魔法だ。たぶん、切れ味が増加すると思う。」

「お前・・・そんな魔法持ってたか?」

「この数日で覚えた。効果が切れたら教えろ。また使うから。」

「了解した。一匹も後ろに漏らすなよ?落ちこぼれ。」


 あれぇ?まだ落ちこぼれって言うの?今じゃ、確実に俺の方が強いんだけどなぁ・・・。

 

 心の中で思っていると、バハムートが話しかけてきた。


『そりゃ、そうだ。あんな化物じみたステータスをもっておるくせになにを苦戦しておる。』


 こんなステータス持ってるとしても、本気出すわけにはいかないだろ。後ろに人がいるんだ。もし本気なんて出したら、確実に巻き込んじまう。


『見たところ、あやつ等は精霊と契約はまだしておらぬようじゃしの。』


 げ、マジかよ。ってことは精霊の加護無しで戦ってんの?それはそれですげぇな。

 それにしても、決定打がないなぁ・・・まとめて倒せる方法は・・・こいつらの前ではあまりしたくないなぁ・・・。


『そんなこと言っておる場合か。それに、このまま戦っておったら数の暴力で潰される。魔法なり剣技なりを使って突破せい。』


 えー・・・まぁ、状況が状況だし。しょうがないか・・・。


 まとめて倒すには・・・雷?いや、氷か?いっそ火で汚物は消毒だァ!てきなノリでやるのもありか・・・。


「仁神!なんで剣でいや、刀か。刀で切ってるんだよ!魔法使え魔法!」

「なら、天上院が使えよ。」

「さっきから使ってるよ。身体強化って魔法をね。結構魔力持ってかれてるから辛い。」

「てか、俺の魔法。付与魔法しかないんだが、その場合は?」


 この短期間でいろいろ使ったら普通に怪しまれるので、一応隠しておく。


「剣でやっぱりやるしかないか・・・。あと俺の身体強化あと数分しか持たないから。あとよろしくな。」

「はぁ!?魔物引っ張ってきておいてそれはないだろ!?」

「落ちこぼれなんだから少しは敵倒してレベルでもあげたらどうだ?」


 すいません。既にレベル60です。

 にしても、あと数分で天上院が戦線離脱するのは痛いな・・・。何かいい手はないか・・・。

 あ、精霊器。何かこの短時間で作れる?


『『『『無理。』』』』


 ですよねぇ・・・。

 魔銃はまだ鳴神しか持ってないし・・・。


 武器は別にバレても問題ないか・・・?スキルがばれなければ別にいいか。

 ならば!


 【魔銃創造】!


「天上院!30秒だけ持ちこたえろ!」

「なにぃ!?」


 時間がない。今回は使いやすさを重点において構築しよう。

 属性は貫通力重視の風。カテゴリはサブマシンガン。ベースは・・・片手で持てるMP7にしよう。貫通力も高めて威力もあげるか。取り回ししやすいように反動も軽減させて・・・。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

名前:旋風つむじかぜ

武器カテゴリ:サブマシンガン

属性:風

特殊能力1:不壊 

特殊能力2:弾無限

特殊能力3:貫通力極大

特殊能力4:威力極大

特殊能力5:反動軽減

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~  


 これでよし。スタート!


 設定するためのウィンドウがひび割れ、砕け散るとその砕け散った破片が葉の手元に集まり形を形成していく。


「よし!もういいぞ!天上院!」

「やっとか!落ちこぼれのくせに!さっさとしろ!」

「あぁ、わかってるさ。全員!耳ふさいでろ!」


 手に持った新たな魔銃。片手で旋風の銃口を魔物に向け、引き金を引く。

 ドパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパンッ!


「なっ!?それは!?銃!?」

「そんなもの一体どうやって!?」


 天上院と雪ちゃんが何か言っている。渡辺さんと熊谷は耳に手を当てたまま口を開け呆然としていた。


 この光景、どっかで見たな・・・。それよりも・・・。


 葉は続けて引き金を引き続けた。

 ドパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパンッ!


「反動軽減してるとはいえ、腕痺れるなぁ・・・・。無反動とは流石にいかないか。まぁ、反動が無い銃なんて銃と認めないって親父は言うだろうけどな。」


 さて、こっち側はあらかた片付いたかな?あと、反対側か・・・。


「あれ?そっちのやつは?」

「えっと・・・逃げちゃいました。」


 そう言ったのは雪ちゃんだ。

 銃の音を聞いて逃げ出すとは・・・貧弱すぎないか?


「逃げたって・・・。まぁ、いいか。とりあえず、乗り切ったってことで。」

「んじゃ、仁神。成敗な。」

「いや、待てよ。なんでそうなったか理由を聞かせろ。」

「俺の沙織を泣かしたから。それだけ。」

「え?私、天上院君の物じゃないよ?」

「ぷっ・・・・くくくっ。」


 はいそこ。熊谷。笑ってやるんじゃないよ。流石にかわいそうだろ。

 天上院も唖然としちゃってるじゃないか。


「たしかに、天上院君とは幼馴染だけど・・・ただの友達だよ?」


 ・・・止め差した。

 天上院が氷と化したように固まってしまった。


 熊谷は腹を抑えて四つん這いになって笑いをこらえてる。

 笑いすぎだろ・・・。流石にかわいそうになってきた。


 葉は苦笑いしていると、後ろから走ってくる二つの足音が聞こえてきた。


「ヨウ、そっちは終わった?って、その人たちは?」

「あぁ、ライラにカルディナか。こっちはあらかた片付いたぞ。それと、こいつらは勇者たちだ。」

「「・・・・ムッ。」」


 ライラと渡辺さんは互いの姿を見るなり、バチバチとガンを飛ばし合っている。


「・・・なぁ、カルディナ。なんであいつら睨み合ってるんだ?」

「・・・自分で考えなさい。」

「ケチだなぁ・・・。まぁ、いいかとりあえず、みんな。ギルマスのところ行くぞ。」

「えっと、天上院君はどうしましょう?」


 雪ちゃんが固まったままの天上院を見てそういった。


「あー・・・周りに魔物もいなさそうだし、しばらく放置しておこう。」

「ハッ!?」

「・・・気がついてしまったか。」

「ほれ、天上院。ギルマスのところ行くぞ。」

「あ、あぁ。わかった。」

「ほら、そこの二人。いつまでも睨み合ってないで、ギルマスのところ行くぞ?」

「ん、わかった。」

「あ、うん。」

「・・・絶対に負けない。」

「こっちこそ。絶対に負けないよ?」


 何の話だ・・・?まぁ、いいか。


 葉が首をかしげているのを見て熊谷とカルディナはため息をついた。


「「はぁ・・・。ん?」」

「同じ苦労を共にしてる同士、仲良くしましょ。」


 カルディナが手を差し出すと、熊谷も頷き握手を交わす。


「えぇ。こっちこそよろしくお願い。私は熊谷 由衣。由衣でいいわよ。一応、勇者やってるわ。」

「私はカルディナ。エルフよ。」

「エルフ!?初めてみた!」


 あっちはあっちで仲良くなったみたいだな。


「さて、ギルマスはどこかな・・・。」


 そうつぶやいたとたん。遠くのほうで爆発が起きた。

 

 わかりやすいなぁ・・・。


「・・・あっちだな。さて、ギルマスのところ向かうぞ。」


 



 歩いて数分。


「ん?おぉ。ルーキー。どこ行ってたんだ?心配したぞ?それと、勇者様たちも」

「まぁ、ちょっとな。」

「仁神君、この方は?」

「ギルドマスター・・・かな?」

「ギルドマスターだ!なんで曖昧に表現すんだよ!?っていうか、お前勇者様達と知り合いなのか?」

「仁神君も勇者として呼び出された一人ですよ?」

「そうだったのか!?なんで言わなかった!」

「めんどくさいから。それに追放されたしな。言う必要もないかなって。」

「まって、追放?それ聞いてない。」


 真剣な声で渡辺さんが言った。


「え?聞いてない?」

「うん、自分で出て行ったって聞いた。」

「あながち間違いじゃないけどな・・・。まぁ、それはともかく。ギルマス、戦況は?」

「北門、東門、南門は既に戦闘が終了した。あとは西門だけだ。それもすぐに終わるそうだ。」

「そうか、なら撤収だな。」

「おう、みんなそろそろ帰り始めてるぞ。」

「怪我人は出たのか?」

「不思議とゼロだそうだぞ。」


 怪我人がゼロ・・・?5万以上の魔物を相手にして・・・?何かおかしい気がする・・・。気のせいだといいんだけど・・・。


「ん?ルーキー、どうした?難しい顔して。」

「・・・いや、何でもない。」

「そうか?ならギルドに戻るぞ。今日は宴会だからな!」

「うまいものは出るのか!?」

「お?当たり前だろ?宴会だぞ?宴会。酒にうまいものがなかったらそりゃ、宴会じゃねぇよ。」

「すぐ、帰るぞ。」

 

 美味しいものが出ると聞いて葉の目つきが変わる。


「・・・仁神君。美味しいものに目がないんだね・・・。ちょっと意外かも。」


 渡辺さんがポツリとつぶやいた言葉に葉はこう言った。 


「そりゃ、美味しいものは好きだぞ。」

「自分で料理とかしないの?」

「一応、それなりには出来るけどやっぱ自分で作って食べるより、誰かに作ってもらった方がうまく感じるからな。あまり自分じゃ作らない。」

「そうなんだ。なら、今度お弁当作ってくるから。食べてみてくれる?」

「ん?おう。いいぞ?美味しいものなら大歓迎だ。」


 渡辺さんと会話していると、ライラが頬を膨らませている。


「ん?どうした?ライラ。」

「私も料理する!」

「出来るのか?」

「これから覚える!」


 これからって・・・。


「そうか?なら今度教えてやるよ。」

「ほんと!?楽しみにしてる。」

「俺の料理の腕にあんまり期待するなよ?ごく一般家庭の料理くらいしかできないからな。」


 ライラの頭に手を置きながら言うと、ギルドマスターがこう口を開いてきた。


「なら、宴会のときルーキーも何か料理出すか?」

「お?いいのか?なら、俺の全てを持って鍋を振るってやるよ。」

「ヨウの料理、食べてみたい。」

「おう、楽しみにしてな。」


 みんなと雑談を交えながらギルドへと帰還した葉達。

 ギルドでは既に宴会の準備が始まっていた。


「おう!おまえら!宴会の準備は進んでるか!?」

「当たり前だろ!ギルマス!」

「宴会の準備は任せとけ!」

「料理なら俺に任せな!」

「宿のおっちゃん!?」


 料理は任せておけと言ったのは葉が宿泊している宿のおっちゃんだった。


「おう!坊主。帰ってきたな。うまいもん食わせてやるよ!」

「いや、おっちゃん。俺も一品作るから素材残しておいてくれ。」

「お、小僧。料理出来るのか。いいだろう。こっちに来て手伝いな。」

「あいよっ!」


 葉は服の袖をまくりながら厨房へと入っていく。


「坊主、素材はそこに置いてあるから好きなもん使いな。」

「了解。さて・・・素材は・・・。米に玉ねぎに海老とトマトに・・・あと、これはあさりか?これと・・・鶏肉が残ってるな・・。おっちゃん。調味料は?」

「おう、こっちだ。」

「えっと・・・これは塩胡椒で、白ワイン、この黄色いのは・・・ターメリック?この四角いのなに?」

「コンソメだな。」

「わかった。」


 これらの材料でできるものと言ったら・・・・あれしかないよな。


「よしっ!ならいっちょ作りますか!おっちゃん、でかいフライパン貸して。」

「これ使いな。」


 こ、これは!?


「いいもの使ってるじゃないか。おっちゃん。」

「だろ?これ使いやすいんだよな。」


 さて、最初にあさりを塩水で砂抜きしてと----------


 手際よく次々と作業をこなしていく葉。

 その姿をライラと渡辺さんが覗いていることに葉は気づいていない。


 


 時は進み、宴会の時間となった。

 ギルマスが高台の上り、メガホンでこう叫ぶ。


「酒は持ったかー!?」

「「「「おう!」」」」

「では、今回の防衛戦は勝利で終わった!それを祝して、宴会だァァァァァ!!!!カンパーイ!!」

「「「「カンパーーイ!!」」」」


 つぎつぎとジョッキとジョッキをぶつけ合い、酒をグビグビを飲んでいく冒険者達。


「さぁ、今回の料理は目の前の宿の料理長に来ていただいた!存分に食うといい!それと、このまえ新しく入ったルーキーも一品作ったそうだ!ルーキー!もってこい!」

「「「「おぉ!?」」」」

「あいよっ!さぁ、今回俺が作った料理はこれだ!名づけて!家庭風あさりと鶏肉のパエリアだ!たくさん作ったからいっぱい食えよ!」


 ドンッ!と大きな音を立て、フライパンを各テーブルに置いていく。


「味は俺が保証するぜ。」

「おぉ、これは料理長のお墨付きだそうだ!さぁ、どんどん飲んで食え!」

「「「「おうっ!」」」」


 そう言った途端、みんながパエリアを口に運ぶ。


「うめぇ!なんだこれ!?初めて食ったぞ!」

「本当だ!これ、パエリアだったか?めっちゃうまいぞ!」


 よかった。みんなの口に合ったみたいだ。

 勇者達も宴会に参加しているようで、クラスメイトたちもパエリアを口に運ぶ。


「う、うめぇ・・・。」

「仁神にこんな特技があったとは・・・。」

「普通に店で出せるレベルだぞこれ・・・。」

「んっ!本当、美味しい。なんか女として負けた気分だけど・・・。」

「雪ちゃんも食べてみ!すっごく、美味しいから!」

「ほ、本当ですか?なら・・・・・美味しい・・・。」


 あいつらも喜んで食べているみたいだ。よかった。


「はぁ、疲れた・・・。本気で料理したのなんて久しぶりだ。」

「ん、お疲れ。ヨウ。」

「お?ライラか。ちゃんと食ってるか?」

「パエリア、美味しかった。また今度作って。」

「素材があったらな。他にも旨い料理はあるからそっちも食わせてやるよ。」

「ヨウとの旅が楽しみ。」

「そうだな。旅の途中でライラに料理も教えないとな。」

「ヨウの舌をうならせる料理、作りたいから頑張る。」

「そのいきだ。」


 ライラの頭に手を乗せ、そう言った。


「仁神君、旅に出るの?」

「ん?あぁ。そうだぞ?」

「わ、私もついて行ってもいいかな?」

「・・・なんで?」

「ダメ?」

「いや、ダメってことは無いが、どこに行くかも決めてないんだぞ?」


 葉はそう聞き返したが、渡辺さんはジッとこっちを見つめているだけだった。

 その目は何を言ってもついて行くという目だった。

 流石に葉も折れるしかなくこう言った。


「はぁ、わかったよ。渡辺さん。だが、国王には伝えなくていいのか?」

「え?言わないよ?」

「いや、言わなきゃダメだろ。俺はともかく。」

「言ったら絶対連れ戻されると思うから。言わない。」


 あ、またこの目だ・・・。


「はぁ、何かあっても知らないからな・・・。」

「うん!」

「沙織が行くなら俺も!」

「天上院は邪魔だから来んな。それに、お前はこっちにいたほうがなにかと都合がいい。」

「なっ!?沙織は良くて俺はダメってなんでだよ!?」

「お前、職業勇者だろ?そんな奴が旅に出るって知ったら確実に国王がキレるだろうが。それは流石に面倒くさい。」

「くっ・・・。悔しいが正論だ・・・・。」

「それと、お前ら。精霊契約してないだろ?」


 俺がクラスメイト達にそう言うと、みんなは固まった。


「「「「精霊契約ってなに?」」」」

「え?知らないの?騎士団長あたりから聞いてないのか?」

「「「「全く。」」」」


 その事態に葉は頭を抱える。


「・・・ギルマス。」

「おう?なんだ?」

「こいつら、儀式の間に連れて行ってもいいか?」

「なんだ、勇者様達は精霊契約してねぇのか。わかった。勇者様方!宴会の途中だが、ちょっと付いてきていただきたい。」


 ギルマスに言われるがままクラスメイト達は儀式の間へと向かう。


 それにしても、騎士団の奴らはなんで精霊のことを教えなかったんだ・・・?

 ふーむ、わからん。


 儀式の間の門の前につきギルマスが口を開く。 


「さて、とりあえず、言葉は崩させてもらうぞ。これからやっていただくのは精霊契約という儀式なんでだが。」

「質問いいですか?」


 手を上げ、聞いたのは雪ちゃんこと芳根 雪先生だ。


「そもそも精霊契約とはなんでしょうか?」

「あぁ、そこからか。この世界では、10歳になると行うものなんだが、精霊っていうのはわかるな?」


 それに対してみんな、頷いた。


「よし、なら話は早い。その精霊と契約して力を貸してもらうんだ。精霊にはいろいろな種類がいるんだが、獣型、人型、妖精型など様々だ。強さは大きくランクで分かれているんだが、上からS、A、B、C、D、Eまである。昔はSSランクもいるって言われてたんだが、今じゃもう呼び出せない。」

『そりゃ、葉と契約しておるからの。それに、昔と比べて人の質が低くなったのも原因のひとつじゃの。』


 そうなのか。そりゃ、呼び出せる人もいなくなるわけだ。

 

「契約した精霊は、死ぬまで一緒にいることになるってことも覚えておいてくれ。んで、儀式に必要なのがこの水晶なんだが、この中にある魔法陣の真ん中でこいつに全魔力を流し込めばそれで精霊を呼び出せる。その中には契約に条件を出してくる精霊もいるから気をつけること。以上だ。何か質問はあるか?・・・・・・ないな。なら順番にこれを持って入って契約してくるといい。」

「説明ありがとうございます。」


 雪ちゃんがペコリと頭を下げると、クラスの大半も頭を下げる。中には会釈位で済ませてるやつもいたけど・・・。


「さて、皆さん。順番にとのことですが、ここは出席番号順で行きましょうか。では出席番号1番から。どんどん行ってみましょう♪」


 雪ちゃんノリノリだな。


「雪ちゃん。楽しそうだな。」

「私、昔から精霊っていうのに憧れてたんですよ~。って雪ちゃんって呼ばないでください!」

「「「「それは、無理。」」」」


 おぉう。クラス全員からの突っ込み。


「即答!?いかも一致団結してる!?教師としての威厳が・・・。」


 ・・・そんなものは元からないだろう。


「まぁ、いいじゃん。雪ちゃん。クラスのみんなに愛されてるってことで。」

「そうそう。じゃなかったら雪ちゃん、なんて呼ばないって。」

「うぅ・・・。そうゆうもんですか?仁神君?」

「え?ここで俺に振るの?・・・・まぁそうなんじゃないか?」

「仁神君まで・・・。でも、せめて先生は付けてください!」

「「「「なら、雪ちゃん先生で。」」」」

「はぅ・・・また即答・・・。あ、出てきましたね。では次いきますよー。出席番号2番。」


 その後も次々とクラスメイトが順番に儀式の間へと入っていった。

 葉は壁側にもたれかかってその様子を眺めていた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 

 

 順番が進み、主要メンバーの一人である、天上院 暮人の順番となった。


「次は俺の番か。」


 天上院は水晶を受け取り、門の扉を開く。


「・・・中はこうゆうふうになっているのか。さて、どんな精霊と出会えるかな。」


 真ん中の魔法陣の中に立ち、水晶へと魔力を流し始める。


「む・・・意外と・・・難しいな・・・。武器に流すのは簡単だったけど。・・・道具はそうはいかないみたいだな・・・。」


 苦戦している姿を葉は、一人観客席で眺めていた。


 ・・・何に苦戦しているんだ?武器と道具に魔力流すのは同じだろう。


『人によっては感覚も違うみたいですよ、マスター。』


 そうなの?俺は意外とすぐ出来たけどなぁ。


『それは、マスターがすごいステータスを持っているからですね。』


 そりゃ、ありがとう。

 お?水晶の輝きが増したな。流し方のコツを掴んだか?

 一体どんな精霊が出るか楽しみだな。


「ぐぅ・・・魔力が根こそぎ持ってかれてる・・・。結構辛いな・・・。だが、コツは掴んだ。あとは全魔力を流せば・・・・!!」


 手に持っている水晶の輝きが一気に増した。

 

「ぐっ・・・・【ステータスオープン】・・!」


 天上院はステータスを開き、自分のMP残量を確認した。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

天上院 暮人 15歳 種族:人間

レベル:5(20/300) 職業:勇者


HP:1000/1000 MP:0/800

力:250

魔力:200

体力:250

敏捷:200

物理耐性:250

魔法耐性:200   


固有スキル:気配察知・魔力探知

エクストラスキル:言語翻訳

武術スキル:剣術・槍術・短剣術

魔法スキル:全属性魔法・身体強化


加護:

称号:勇者・異世界人

契約精霊:

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「これで・・・いいはず。っあぶなっ!」


 手から輝いたままの水晶を落としそうになる。

 

 その瞬間、天上院が立っている魔法陣を囲むように並んでいる10個の魔法陣のひとつが輝き始めた。


 ・・・あの魔法陣はなんの属性だ?


『我と同じ、全属性の魔法陣のようじゃな。』


 まぁ、あいつも全属性魔法魔法持ってるしなぁ。そうなるか。

 さぁ、どうなる。


「・・・なんだ?」


 天上院が光りだした魔法陣に向かい、ゆっくりと歩き出した。


 あの真ん中から出たら・・・・どうなる?


『気絶しますね。』


 とリラが言った。


 って、それヤバくない?あそこで気絶したら契約失敗になるよな?


 葉は、自分の時にギルド職員が使っていたマイクを持ってこう言った。


「天上院、そこから出たら気絶するぞ。その真ん中のやつは魔力が切れても気絶しないようにできてる魔法陣だ。」

「ん?仁神?そこで何してるんだ?」

「俺か?俺は・・・見物だな。」

「・・・見世物じゃないぞ。」

「悪かったな。契約頑張れや。」

「あぁ。わかってる。助言にはとりあえず感謝しておこう。」


 素直じゃないなぁ・・・。まぁ、天上院らしいって言ったららしいけどさ。


 天上院は再び光っている魔法陣を見つめた。

 すると、魔法陣の真ん中から光の玉が現れた。


 何だあれ?


『あれが通常の精霊の出現の仕方ですね。』

『我らは普段、異次元におるからのぉ。あんなふうには出れん。』


 俺の時が特殊だっただけか・・・。


 光の玉が徐々に形を変えていく。

 光の玉から9本の尻尾?のようなものが生え、残りの部分で体を形成していく。


 その時点でふと葉はこうつぶやいた。


「・・・九尾?」


 そのつぶやきに対しバハムートはこう言った。


『葉、よくわかったの。全属性精霊、Sランクの九尾じゃ。』


 まじか。九尾も、いるのか。


『それにしても、あの小童。九尾を呼び出せるとはかなりのレベルなのでは?葉、ちょっと見てくれんか?』


 別にいいが、たぶんそこまででもないと思うけどなぁ・・・うん。レベル5。魔力量は800だ。


『800じゃと!?ふむ、常人にしてはかなりある方じゃの。』


 ・・・なら俺って?


『『『『『規格外。』』』』』


 あー・・・わかってたけどさぁ・・・。直で言われると結構、心痛いなこれ。

 まぁ、それはともかくだ。九尾っていうのは一体どんな条件を出してくるだろうな。


 バハムート達と喋っている内に光の玉が変形を終え、完全な九尾の姿となっていた。

 9本の尻尾の先には各属性の色をイメージした炎が灯っている。


『妾を呼び出したのはそなたか?』


 九尾からの問に、天上院は答える。


「あ、あぁ。あなたは・・・九尾か?」 

『その通りじゃ。契約しようと呼び出されたのは久しぶりじゃのう。』


 ・・・聞いてて思ったんだが。あの口調、バハムートに似てない?


『・・・気づいたか。なにせ、言葉を教えたの我だからの。』


 だからか。


 天上院が九尾に大きな声で口を開いた。


「あなたと契約をしたい。」

『良いぞ。じゃが、条件がある。』

「なんでしょう?」

『美味しいものを食べさせておくれ。』


 思わずずっこけた。


 美味しいものをねだる精霊って・・・。


『あやつは昔からああじゃからのぉ・・・。』


 つまりはなんだ・・・。美食家ってことか?美味しいものを好んで食べる奴みたいな・・・・・。


『それじゃの・・・。』 


 まじか・・・精霊にもいろんなやつがいたものだ・・・。


「美味しいもの・・・ですか?」

『そうじゃ。美味しいものは好きじゃから満足する物を持ってきてくれたら契約しよう。』

「美味しいもの・・・。あ、ちょっと待っててください。すぐ持ってきます。」


 何を持ってくる気だ?


『お主のパエリアではないか?』


 俺の使うの!?まぁ、別にいいけども。


『そこのお主。』


 九尾がこちらを向いて葉に話しかけてきた。 


「ん?俺?」

『そうじゃ。お主から、バハムート様の匂いがするのじゃ。どうゆうことじゃ?』

「バハムートなら俺と契約してる精霊だ。」

『バハムート様と契約!?すごいのじゃ、あの方と契約できる人が居るとは思ってなかったのじゃ。こっちに来てバハムート様と合わせておくれ。』


 出れるのか?


『体を少し縮ませれば出れる。行ってやってくれ。久しぶりに会いたい。』


 了解。


「わかった。今からそっちに行く。その間にあんたと契約したいあいつが帰ってくるかもしれないから少し待っていてくれ。」

『わかったのじゃ。』


 さて・・・。降りるか。



 儀式の前にいる渡辺さんはというと・・・


「あれ?仁神君、またどこか行っちゃった・・・。」

「沙織は相変わらず、仁神が好きだねぇ。」

「由衣ちゃん!契約はどうだった?」

「問題なかったよ。私は水属性が得意だから水属性の精霊だった。」

「そうなんだ!今度見せてね!私も契約したら見せるから!」

「いいよぉ。」


 その時、扉が開き、天上院が出てきたのかと思うと、階段のところに向かって走っていってしまった。


「ちょ、ちょっと!?天上院君!?」


 雪ちゃん先生があわてて呼び止めようとすると、天上院は振り返ってこういった。


「あ!先生!まだ契約終わってないんで、もうちょっと待っててもらってもいいですか!?」

「それは別にいいですが・・・。」

「んじゃ、お願いします!」


 そう言うと、天上院は階段を登っていってしまった。

 それとは入れ違いに今度は葉が見学席に繋がる通路から、歩いてくる。


「あれ?仁神君?どこに行ってたんですか?」

「ちょっと、天上院の契約を見学に。それより、ちょっと入るからどいてもらってもいいか?」

「え?でもまだ天上院君が終わってないので・・・。」

「知ってる。その呼び出した精霊にこっちに来てくれって言われたんだ。」

「あ、ならどうぞ。」


 雪ちゃん先生がそういうと、葉は扉を押して、開いた。


「あ、仁神君。」

「ん?あぁ、渡辺さんか。」

「私も一緒に行ってみてもいい?」

「・・・別にいいが、どうなるかわからないぞ?」

「それでも!」

「はぁ・・・なら、行こうか。」

「うん!」


 そう言って葉と渡辺さんは扉を潜って行った。

 その葉の姿を殺気を込めて見つめる人達がいたのに葉はまだ気づいていない。




 


 


 






 



 



  


 


  

はい、いかがだったでしょうか。展開が早すぎだと思う方もいらっしゃいますが、申し訳ないです。私にはこれが今が限界です・・・。

ネタも思ったより思いつかない上に展開の構築もとなると結構辛いのです・・・。

次回か、その次くらいには旅に出れるようにはしたいですね・・・。

ご要望などございましたらコメント、よろしくお願いいたします!

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