2 勇者召喚
テンプレ回です!
腕を顔の前で交差させ、目を力強く閉じていた葉は、薄めで光が収まったのを確認するとゆっくりと目を開けていった。
目の前に現れたのは、先程までいた教室では無く巨大な広間だった。
(・・・・・は?どこだよ、ここ・・・)
周囲を確認すると、床には先程教室を光に包んだ魔法陣のようなものが描いてあった。後ろを振り返ると巨大なトビラが見えるのと、クラスメイトたちの姿があった。どうやら、この状況に、クラスメイトと担任の先生が巻き込まれていたようだ。
葉は、ハッと気づいたように渡辺さんの姿を探すと、女子グループの中でへたりと座り込んだまま唖然としている姿を発見した。その姿をみて怪我などがないことを確認するとホッと胸をなで下ろした。
こんな時に頼りになるのは担任の先生!と思い、雪先生をみると唖然としたまま床に座り込んでいる姿を見つけた。
(おいおい、担任の先生がそんなんでどうするんだよ・・・)
なんてことを考えていると、巨大なトビラがふいに大きな音を立てて開き始めた。
そこから入ってきたのは頭に王冠をのっけているおっさんと臣下が約4名ほど。
「ようこそおいでくださいました!勇者様!とその他」
その他って言うなよ。その他って。
「私はこの国の国王の地位に付いておりますヴェルス・アインベルと申します。以後、お見知りおきを。」
そう言ってヴェルス・アインベルと名乗った中年オヤジは微笑んだ。
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「とりあえず、ずっと立っているのもなんですから座れる場所に移動しましょうか。さぁ、こちらへどうぞ。」
そういって、ヴェルス国王に皆ぞろぞろとついていった。
廊下を歩いていると壁に風景画の絵画が飾ってあるのを見つけた。
(ほぉ・・・・油絵か・・・・うまいもんだなぁ・・・俺には絶対まねできん)
そう思いながら、絵画を眺めているとふいにヴェルス国王に声をかけられた。
「その絵がきにいったのかね?」
突然の質問に驚いたが、葉はすぐに感想を述べる。
「いえ、こんなすごい絵を描けるは人に少し興味をもっただけです。」
「そうか、いろんなことに興味を持つのは良いことだとは思うが。あまりはぐれてくれるなよ?この城はただでさえだだっ広いんだ、はぐれたら探すのが大変だからな。」
そうヴェルス国王は笑いながら言った。
(・・・・・・・・・・って今、城って言った?)
そう思いながら、クラスメイトたちの方を見るとかなり距離が離れてしまっていた。とりあえず追いつくか。
「ご忠告ありがとうございます。次からは周りにも気を配りながら歩きます」
「あぁ、では行くかの。」
「はい」
(やっべぇ・・・めっちゃ緊張した・・・)
葉は動揺しているのを隠すように冷静なフリをしていた。
(手汗はとめどなく溢れてるけどな。)
やがて、クラスメイトたちに追いつき、ある部屋に案内された。
その部屋は一番奥の真ん中に玉座のようなものを一つと、その玉座に向かうように向けられた机とイスがたくさん並んでいた。
「では、混乱しているだから、一から説明してやろう。席に着くが良い」
そう言ってヴェルス国王は一番奥の玉座のようなイスに座った。
「では、説明するぞ。・・・・・」
話が長かったので割愛。要点だけまとめるとこうなる。
・この世界はアルカナと呼ばれている。
・アルカナには4種族いる。人間族、エルフ族、獣人族、魔族の4種類だそうだ。
・アルカナにはダンジョンと呼ばれるものがいくつも存在している。
・アルカナには魔物とよばれるモンスターあり。
・異世界人はだいたいアルカナの人々に比べて10倍以上の力を持つ。
・この世界にはステータスというものがある。
だいたいはこんなものか。
そうかそうか・・・・エルフとか獣人がいるのか・・・・なにこれなんて天国だよ。
なんて考えをしているとチンピラ3人組の一人、池田 悠が机に足を乗っけた状態で質問する。
「んで?結局のところ、俺らはなんで喚ばれたわけ?」
「うむ、実はこの世界の唯一神であるマイヤ様というんじゃがな。そのマイヤ様から神託があったのじゃ。このままだと人間族は滅ぶと、それを回避するためにマイヤ様が異世界から召喚したのがそなた達じゃ。」
葉は、その”神託”とやらを疑いもせずに信じ込んでいるこの国王で国は大丈夫なのかと全く別のことを考えていると。突然、机を叩く音が響き、立ち上がる人が現れた。
うちのクラスの担任、雪ちゃんこと芳根 雪先生である。
「ふざけないでください!結局のところ、この子達が危険な目に遭うんじゃないんですか?そんなの許しませんにょ!」
・・・・・あ、噛んだ。
「許しませんよ!!!」
顔を真っ赤にしながら言い直した。
生徒たちから「雪ちゃんがんばれ~」などとヤジが飛んでくる。
「雪ちゃんって呼ばにゃいでください!とにかく私たちを元の世界に帰してくだしゃい!」
一回に2回も噛んでる。ほんと可愛い先生だな。
可愛らしく怒っている雪ちゃんこと芳根 雪先生は、現在23歳であり、担当教科は国語。親しみやすい性格から男女、両生徒に人気な先生だ。背丈は156センチと低身長で童顔、ポニーテールにアホ毛を生やしている。葉たちが入学するとともに学校に新たに入って来た教師だ。生徒のためにと一生懸命に頑張るが、大抵空回りして失敗しているらしい。(それが人気の一つであるらしい。なんでも守ってあげたくなるとかなんとか・・・)
そんな、雪ちゃんが顔を真っ赤にしているなか、ヴェルスの言葉で場が凍りつく。
「気持ちはわかるが、現状そなた達が帰還するのは不可能だ。」
「な、なんでだよ!召喚できたなら送還もできるはずだろ!」
ある生徒が抗議する。たしかに召喚も出来るなら送還もできないとおかしいよな。
「うむ・・・だが、さっきも言ったように召喚をしたのは神マイヤ様であって、我々ではない。元々この世界に異世界に干渉する魔法は存在しないからな。おそらくそなたらの使命が終わればマイヤ様が送還するなり、帰還する方法なりを教えてくれるのではないか?」
「そ、そんなぁ・・・・・」
女子生徒が数名立ち上がっていたが床にへたりと座り込んでしまう。
それにつられるように雪先生も脱力するようにイスに腰を落としてしまった。
しだいに、皆がパニックになり始める。
「帰れないって・・・・嘘だろ?どうすりゃいいんだよ!」
「いやだ・・・家にかえりたいよぉ・・・・」
「とりあえず寝たい・・・」
「どうしたらいいのよ・・・・・」
・・・・・・おい、一人関係ないとこと言ってないか?この状況で図太いやつだな。まぁ、頭の中でツッコミ入れてる俺も大概だけどね。
葉は頭を切り替え、これからどうなるのかをいくつか考えていた。
(やっぱり最悪なパターンは奴隷にされて、無理やり働かされることだよなぁ・・・)
いろいろ考えていたら、ふいに大きな声が聞こえた。
声を上げたのはクラスのリーダー的存在、天上院 暮人だ。
「ここで、ヴェルスさんに文句を言ってもしょうがないだろ。俺らを召喚したのは神マイヤ様とかいう者で彼じゃなかったんだ、どうしようもなかったのさ。
今すぐに帰るというのは無理だとしても、帰る方法がないというわけではないんだ。だから俺は・・・戦おうと思う。役目さえ終えてしまえば神が元の世界に戻してくれるんだ。そうですよね?」
「あ、あぁ、先程も言ったように、役目を終えることができれば帰れると思うぞ。」
「それに俺らにはこの世界の人たちより強いちからが使えるんだ!この力を使いこなせれば役目を終えるのなんてすぐに終わるさ!」
ギュッと握りこぶしを作り宣言をした天上院 暮人。
リーダー的存在というのはこうゆうときにはめちゃくちゃ効果が高いな。さっきまで絶望で目を濁らせていた皆が、次々と希望を見るかのように濁りが取れてる。・・・・まぁ女子たちはその限りじゃないだろうけどな。
「あぁ、そうだな。強い力を持ってるんだから、なんだってできるよな!」
「そうね、せっかく異世界に来たんだから、助けれる人の命はたすけたい!」
「二人共・・・・」
最初に賛同した二人はチンピラ三人組が一人、高橋 涼太と、天使こと渡辺 沙織である。
そうすると次々と賛同していくのは当然の流れである。
肝心の雪先生はと言うと、終始ポカーンと口を開けたまま唖然とまだ座り込んでいた。
皆の賛同が決定し、少しの休み時間をもらい皆で話し合っているとき、ふと部屋の隅をみるとチンピラ三人組がこそこそと話しているのを見つけた。三人が嫌な笑い方をした顔でこっちを見てきた。その瞬間、不吉な予感で背筋が凍りつくような感覚がした。
(・・・・おいおい、まさかとは思うがこっちにきてまでわざわざちょっかいをだしてくるわけじゃないよなぁ?・・・気のせいだといいんだが・・・)
小説かくの楽しいですけど、けっこう頭パンクしそうになりますね・・・
あ、天上院 暮人っていうのはてんじょういん くれとって読みます。