謎の男
まるで不思議な踊りをしてるがごとく紫穂は恥ずかしさを隠そうとしていた。
(うわー……んっ?)
その男はコンビニに入り、紫穂の方へ近づいてきた。
(えーっ……なになに?なんか来たんだけど!)
その男性は紫穂の前まで来ると一言……。
「…吸 わ せ ろ 女!!」
ものすごい顔は普通なのに、声に迫力があった。そして、普通の人間じゃない凄みのあるオーラがあった。
「……えっ……と……」
理解するのに3秒、5秒後には恐怖が喉まで出かかっていた。7秒後、叫び声をあげた。
「きゃあああああ!!?変態いいいい!!?」
もう周りの客はこの男から目が離せない。何事かとレジにいた店員もかけつけてきた。
「おいおい……観客が大勢集まってきやがったようだ!」
理解不能な言葉を口にする男性は、手を頭上に挙げ、パチンと音を鳴らした。
「はぁ!?何してんのあんた!!この変態男!!ってあれ……?」
あたりを見回すとそこは赤黒い照明の部屋だった。
そこには、巨大なベッドや鏡などがあり、まるで……。
「はっははは!!どうだ驚いたか!!これが私の幻術だ!お前は最初からコンビニなど行ってないのだ!」
すでに紫穂の脳内では処理しきれず、恐怖だけが紫穂を襲った。
「ははは!!もう恐怖で声も出ないか!!では、……吸 わ せ て も ら う ぞ!!」
紫穂は声を振り絞り叫んだ。
「あんた!何なのよ!!もう、いやっ……」
紫穂の目からは滝のように涙が溢れ出した。
「私はキルスターム。地球人寄生者だ!お前ら人間の生命エネルギーを吸い付くして生きているのだ!なぁに、殺しはしないよ……死ぬまで吸い付くしてやる!穴という穴からなぁ!!」
「いやっ!!こっちこないでっ!!」
男はジリジリと近ずくと、紫穂の白のトップスビリビリに破き、綺麗な肌色の胸を見つめた。
「なかなかいい肉つきではないか!!」
「いやっ……!!やめて……!」
その瞬間紫穂の付けていたブラがものすごい光に包まれた。
「ぐわぁ!?何だこの光は!!?」
光はボクシンググローブへと形を変えキルスタームの顔面へと飛び込み、キルスタームを壁まで吹き飛ばした。
「こ、今度は何なの?」
グローブは光をゆっくりと失い、紫穂の目の前にゆっくりと降りた。グローブは赤と黒のストライプで、こちらに拳を向けていた。
「おいっ!姉ちゃん!!大丈夫かっ!!」
グローブから声が確かに聞こえてきた。
「ぐすっ……うん//」
紫穂は謎のグローブの声にすがる様に、グローブを抱きしめた。