素直な子
紫穂は道をギッと睨みながら、近くのコンビニまで歩いていた。
(くっそお!綾子のやつ、いつのまに男とあんなことまで!)
紫穂の鋭い眼光は、異様な雰囲気を作り出していた。紫穂は感情を抑えることを知らないのである。
(えっ!?なんかあの女の子こっち睨んでるんですけど!?)
(ひっ!?怖いよーっ!?)
紫穂は、若いサラリーマンにドン引きされ、中学生に怖がられていても全く気にしなかった。というか気づいていない、鈍感である。
「男って何だよ!」
心の声が漏れる紫穂であるが、周りの人に避けられていることに気づかない……。
コンビニに着くと、真っ先に雑誌コーナーへ向かい、某週間漫画雑誌を読み始めた。
(おっ!今週の海賊パラダイス熱いな!面白い!……)
紫穂は、不意にガラスに映る自分を見た…。
そこには黒髪短髪でナチュラルメイクの私がいた。
ニコっとしてみると、ガラスの向こうの私は可愛く微笑んだ。
(うーん…。かわいい方だと思うんだけどなぁ…)
そう思った次の瞬間ガラスの向こうの私ではなくて、見知らぬ男が微笑んでいた。
(へっ?………も、もしかして…あの人にニコってしちゃたの?)
それがわかった瞬間恥ずかしさでいっぱいになり、顔が赤く染まった。
(うわあー!?恥ずいよー!?やばい!!)
恥ずかしさを変な動きで表現していることに気づかない紫穂であった。