表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

悪役令嬢&婚約破棄

ポテチ転生→コンビニ配置。婚約破棄された悪役令嬢が訪れる

作者: 赤ポスト
掲載日:2015/07/27

暑い夜です。

暑い、暑い。

私の部屋は暑かった。

社会人2年目のOLな私は、くたくたになって会社から帰ってき、家でぐーたらしていた。

じんわりと湧き出る汗。

我慢できず、クーラーの冷房を最強にする。

冷房の18度。これ以上は下がらない。


数分後。

だめだ。暑い。

私は扇風機の電源を入れる。

一番風圧の高い「強」にするが、まだ暑い。


どうすれば涼めるのか?

私はネットでググった。

そして答えを得た。


近所のドンキに行って、色々買ってくる。

ドンキは涼しかった。

そして、扇風機を改造する。

ネットで見つけた「最強の扇風機を作り方 ( ⊙‿⊙))」を参考にしながら。

DIY。

DIY。

Do It YourSelf。



1時間後。


完成。


異様な見た目の扇風機?になった。

もはや扇風機という名称は正しくないと思う。

羽はかわいくピンクに塗装した。

扇風機のモータの上にはクマのブーさん置いた。

和む。


私は、冷蔵庫からバナナを取り出し、皮をむく。

体力回復は果物に限る。

一口、二口食べた所で、バナナをその辺に置き、扇風機をスイッチを入れる。


ゴゴ‐っとブルドーザーの様な音を立てながら動きだす扇風機。

羽を改造したため、私の扇風機にフレームは無い。

既存の大きさに収まりきらなかった。

台風の様な強風が私を襲う。


これだ!これこそ本物!

私の求めていた風が、今ここにあった。

私は目をつぶり、心から涼んでいた。

頭の中では青い空の元、風がなびく草原で寝転がる私。

草が優しく揺れ、そよ風が心地よい。


が、ガチャガチャと異音が聞こえる。

ん?どうしたんだと思い目を開ける。

扇風機の羽が僅かに軌道を変えている。

ガチャガチャという音がさらに大きくなる。


胸の奥に冷たい液体が流れる。

これ?やばいんじゃないの?

そう思い、扇風機の電源を切ろうとした瞬間。


バゴンっという音と共に扇風機の羽が宙を舞った。


「はぁ!!!!!」


部屋の中を刃の様に駆け巡る扇風機の羽。

ピンクの刃が、壁や部屋に干していた服など、様々な物を切り刻んでいく。

そして、その刃が私を襲う。


「っとう!」


掛け声とともに刃を避ける。

ゲームセンターの音ゲーで鍛えたリズム感。

刃の動きを、リズムを心で唱えながら華麗によける。

が、刃は私の足を狙ってくる。

体が動かない。


しまった!音ゲーで鍛えたのは腕のみだった。

ダンレボはやっていなかった。

私は慌てて足を後ろに引く。

グチャっと変な音がして転ぶ私。

倒れながら私の目に映ったのは、食べかけのバナナを踏んだ私の足。




















「そんなバナナ・・・」




ゴツンと床にお尻をつく私。

そこに襲いかかる扇風機のピンクの刃。

ぐしゃっという音と共に、私の意識は消えた。







◇◆◇







気づくとポテトチップスになっていた。

冗談ではなく本当だ。

中世風味なコンビニの陳列棚に並んでいた。

ちなみに「コンソメ味」だ。

どこか現代と違うコンビニ。

初め、訪れるお客さんが皆中世の人の様なコスプレ?をしていることに驚いたが、どうやらこのコンビニ、本当に中世にあるようだった。

一体全体どうなっているのやら。


入口の自動ドアが開くたびに熱風が外から入ってくる。

この世界の季節も夏。

冷房がきいた店内との温度差で入口付近の空間が歪んでいるように見える。

しかし、この暑い時期に今いち売れ行きが悪いコンソメに転生とは。

運が悪い。


ポテトチップス7箇条

・売れない物に価値は無い

・湿気は禁物

・飛行機注意


他は忘れた。

この七箇条は隣に並んでいる「のり塩」君に教わった。

彼は今、ぐーすか寝ている。

一見分かりにくいが、少し袋がへこんでいる。

それが証拠だ。

ちょっとイケメンポテチな彼。

私の心はときめいていた。

四六時中イケメンポテチの横にいるのだ。

現代でイケメンとの遭遇率が低かったため、私はイケメン耐性は極端に低かった。


とにかく、私は売れなきゃならない。

必死にアピールだ。

だが、出来ることは少ない。

私は少し揺れてみた。

ガサガサっと店内にかすかに響く音。

だが、小さすぎて誰も気付かない。

陽気なBGMで私の音は打ち消される。


だめだ、人が近くにきてからやらないと。

ちょうど、小さな男の子が目の前を通る。

10歳といったところだろうか。

男の子が前を通りかかった時、私は揺れる。

ガサガサ。


「!」


こっちを見る男の子。

くりくりとした目で私を見つめる男の子。

私はすかさずもっと揺れる。

ガサガサ。


「ん?何これ?」


私に顔を近づける男の子。

さらに揺れる。

ガサガサ。


「うぉ!なんだ!なんだ!ネズミか!ネズミか入ってるのか!店員さ~ん」


その場で叫ぶ男の子。

まずい、このままでは廃棄処分される。


「何ですか?」っと女性店員が現れる。思いのほか美人な店員。


「このポテチ、揺れるんです」

「本当ですか?」

「はい、目の前で揺れました」


二人は私を見る。

じぃーっと私を見る。


「・・・・」


数秒経過。


「揺れませんよ」

「おかしいなぁ~」


私はダンマリを決めていた。

店内のBGMがよく聞こえる。

変な間に耐えられなくなったのか、男の子はもじもじしだす。

店員さんは私と男の子を見る。


「すみません。見間違えでした」っと店員さんに向かって頭を下げる男の子。

「いいですよ」と笑顔で去って行く店員。


その後ろ姿を憧れるように見る男の子。

そして男の子は、私に振り向き睨む。


「たく、糞ポテチが。美人店員のお姉さんに変に思われたじゃないか!」っと私をののしり、「こうしてやる~!」っと、私をシェイクしまくる男の子。


「うわぁぁぁ」と私は心の声を上げる。

目が回る。


一通り私をシェイクしまくると、満足したのか、去って行く男の子。

あのマセ餓鬼め。

今度あったら目に物みせてくれる。



『大変な目にあったみたいだな』


いつのまにか起きていたのか、「のり塩」君の声。


『うん、最近の子は何を考えているかよく分かんないよ』

『まぁ、焦りは禁物だ。時を待てばいい』

『そうだね』


私は今の出来事を反芻する。

しかし、えらい目にあった。次からは、お客さんを選ぼう。












私が「のり塩」君と雑談していると、


「おーほっほっほ」っと高笑いする声が聞こえる。

「レイナお嬢様、店内ではお静かに」と渋い声。

「セバス、そうなのですか?」

「はい。それがコンビニ内でのルールの様です」


派手なドレスを着、レイナお嬢様と呼ばれた金髪縦ロールの美女と、セバスと呼ばれるお爺さん執事っぽい二人組。

美女はセンス?で顔を仰いでいる。

どうも乙女ゲームの悪役令嬢っぽい。

冷房がきいている店内でも暑いのだろうか?

彼女は店内を見回す。


「それにしても、奇怪な場所ですね。庶民はこのような場所を利用しているのですか?」

「はい、聞くところによると、庶民に大人気と。最近、異国の者がこのような「コンビニ」という物を王国内に展開しているようです」

「そうですか。庶民。くぅううううう。思い出すだけで腹立たしい。あの田舎娘。私の婚約者をたぶらかし、あろうことか大勢の目の前で、私に彼との婚約破棄を突きつけるとは。きいいいいい」


センスを噛むレイナお嬢様。

セバスが彼女を隠すように前に立つ。


「お嬢様、センスを噛む癖は直した方が宜しいかと。それに、あのような田舎娘に凡俗王子。お嬢様の魅力は分かりますまい。良かったではないですか。元婚約者とはいえ、所詮第三王子です。まだ、未婚の第一王子と第二王子がおります故」


センスから口を離す彼女。

すました笑顔に戻っている。


「そうですね。凡俗に私の価値など分かりますでしょうか?いいえ、分かりません。ですが、受けた屈辱は必ず返します。分かっていますね、セバス」


センスを老執事に向けるレイナ。

噛んだ所が少しよれている。


「はは!首尾は滞りのなく」っと手を胸に置き、彼女に礼をする執事。


満足そうにセバスを見るレイナお嬢様。


「では、セバスのおすすめの物を買いましょうか?えっと、何でしたっけ?」

「ポテチです!」

「そうそう、ポテチという物。私、食べてみたかったのです。案内して下さる」

「はい、お嬢様」


老執事はレイナお嬢様を私の前まで案内する。

彼女は私達を見る。


「こちらがポテチにございます」


ドヤ顔で、私たちを紹介するセバス。

ちょっと得意げだ。

別にセバスが偉いわけじゃないのに。


「色々種類がありますのね。どれがおすすめですか?」

「そうですね。私は「うす塩」味にございます」


私は考えていた。

この二人組は見るからにお金持ちだ。

ここで取り入ればかなり売れるのではないかと。

それを他のポテチには譲れない。

本気を出す。

私は震えだす。

ブルブルする。僅かに響く振動音。


「な、なんざます!セバス、ポテチが揺れておりますわ」


レイナお嬢様が驚愕の表情で私を見る。

センスで顔を仰ぐのを忘れる程驚いている。

セバスは慌てず私を見る。


「ほ~う。これは私目も初めて見ます。しかし残念ながら「コンソメ味」です。暑い夏には不向きでですね」


このおじいさん。

穏やかな顔で適当なことを・・・。

私も思っていたことだけど。

私は秘技を使うことにした。

ブルブル震えながら隣のポテチに当たる。

その瞬間、私の袋が僅かに破れる。

そしてあふれ出るコンソメフレーバー。


秘儀「色香散漫」


「ん?この美味しそうな匂いはなんですの?」

「これは、コンソメですぞ!コンソメポテチの匂いですじゃ!」


二人は私を見る。

かかった。


「お嬢様。袋がやぶれているのかもしれません」


執事が私を手に取る。

そして、隅々まで私の体を見る。

ちょっと恥ずかしい。


「思った通り、ここ、やぶれております」


セバスは私を持ち、敗れた場所をレイナお嬢様に見せる。

彼女はそれを興味深そうに見る。

そんなに見ないで。

隣の「のり塩」君に見られちゃう。


「せっかくだから、食べてみましょう?」

「お嬢様、これはお金を払ってから食べるのですよ」

「固いことはいいのです。早くして下さい。私の口はポテチを求めています」


セバスは、こっそり店員を確認する。

店員からは死角になっているこの場所。

それが確認できたのか、セバスは私の破れ目を大きくする。

私の銀色の内部が露わになる。

きゃー、恥ずかしい。

私は心のなかで顔が真っ赤になるが、ポテチに変化はない。

私は必死に隠そうとブルブル震えるが、効果はないようだ。

そしてポテチを一枚とると、レイナお嬢様に差し出す。


「ささっ、お嬢様。お急ぎを」

「はい」


それを優雅に受け取り、ポテチを食べるお嬢様。

パチリとポテチが割れる音がする。


「美味いですわ」

「さようでしょう。では、私も」


そういってポテチをもう一枚取り、食べるセバス。

っと、その瞬間。


「匂う、匂うぞ!」


っと店内に響く声。

男性の声らしい凛々しい声。


「この匂い、こっちか!!!」


激しい足音と共に、レイナとセバスの元に現れる大柄の男。

二人は彼を見て。


「あ、あなたは様は・・・」

「王都の味王と呼ばれたデューク伯爵」


デューク伯爵は二人を見る。


「お、レイナ嬢ではないか。どうしたんですかな、このような店に。それにこの匂い」


レイナ嬢は、そわそわする。

口をもごもご動かす。


「それは・・・執事のセバスが来たいといったものですから。ほほほ」

「ほ~う。お優しいお嬢様ですね」

「はい。お嬢様はお優しゅうございます」

「それで、先程から匂うそれはなんでしょうか?」


デューク伯爵はセバスの持つ、ポテチ、つまり私を見る。

私モテモテ。


「これは、ポテチのコンソメ味でございます」

「ほほう。そのような珍味、初めて聞きましたぞ。私も宜しいですか?」


セバスはちらりと店員の方を確認し、

「もちろんでございます」とポテチを伯爵に差し出す。


ポテチを食べるデューク伯爵。

すると、彼は震えだす。


「―――う、う、美味い!―――」


店内に響き渡る、大きな叫び声を上げ、彼はセバスからポテチを奪い取る。

さらに、ポテチを私の切れ目から取り出す。


「美味い!美味い!美味い!、我慢できん。我慢などできるものか!」


盛大に私を破くデューク伯爵。

飛び散るポテチ。

私の一部。


「お、お客さん、何をやっているんですか?」


美人女性店員が私に駆け寄る。

だが、デューク伯差は止まらない。


「私はこのポテチというものを食す!誰にも止めさせん」


私はただ、見ていた。

私が食べられる光景を。

そう、私たちは外装という名の檻に閉じ込められていたのだ。







その日、ポテチは思い出した、人に食べられる恐怖と喜びを。







その傍若無人な食べっぷりを誰も止めることができない。

私は自分の死期を悟った


女性店員はオロオロし、悪役令嬢レイナ様は、センスで顔を仰いで微笑を浮かべている。「まったく、伯爵様はいつも通りですね」という顔だ。

セバスは、伯爵がこぼすポテチを上手くキャッチして食している。


そうして私の意識は消えていく。

私は公衆の面前で食べられている。

私の時間はあとわずか。

心の残りは残したくない。

私は「のり塩」君をみる。

ちょっと恥ずかしそうにチラチラ私を見ている「のり塩」君。

彼はむっつりなのかもしれない。

だが、今は彼の性に対する姿勢はどうでもいい。

僅かな時間だが、一緒にいたポテチ仲間。

それが大事だ。


『のり塩君』

『なんだ?』

『私、あなたのことが好きだったの』


その言葉を最後に、私の意識は消えた。






















死んだと思った私だが、すぐに他ポテチに転生していた。

すぐ後ろの「コンソメ味」だ。

どうやら食される度に、他のポテチに転生するようだ。

私はものすごく恥ずかしかった。

なぜなら、隣には・・・・


『おっ、帰ってきたんだな、またよろしく』

『・・・うん、のり塩君も』


そう、彼がいた。

イケメンポテチの「のり塩」君。

私は彼の顔を見ないようにしていた。

彼も私と視線を合わさない。

彼は、ちょっと上の方を見ながら呟く。

恥ずかしいのか、僅かに表面がてかっている。


「その、コンソメさぁ・・・さっき何か言ってたよね・・・その」






こうしてポテチの日々は続く。

うむ。

よく分からない作品になってしまった・・・・・


こんな気分です→(´・ω・) ,ノ゛゛゛゛゛ ... ( ゜Д゜)<そんなバナナ


多分、ラブコメです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ええええええええええええええ! コンソメさんとのり塩くんてばまんざらでもない感じでほのほの♡ って悪役令嬢はーーーーーー! ゼイゼイ 面白かったです。
[良い点] 頭がおかしくなりそうだ!!(褒め言葉) たまにはこんな話もいいですね。ちょっとコンビニでコンソメ味買ってきます [気になる点] 婚約破棄の内容が薄かったのがちと残念かな、と。 [一言] …
[一言] DIY=Do It Yourselfですよ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ