プロローグ
「···ここは?」寝起きのまだ心地いい感覚を、人々の叫び声とものが焼ける臭いがかき消す。
辺り一面が炎に包まれ、その奥には如何にも学者のような格好をした大人たちが
右往左往しながらひっしに何かを口走っている。
端から見てもわかる程のパニック状態。
「なんだ、夢か···。」
そう思って僕は自分の意識をまた夢の中に沈めようとする。
瞬間!
バリバリッ!正に電流が身体中を走り抜けるような感覚が僕の意識を叩き起こす。
「クハッ、ハハハハハッ!」
一瞬、誰か別の人が笑ったのかと思った。だが、笑っているのは紛れもなく自分自身だ。
なぜだか、掌に力を込めるたび身体中の神経の中を一気に氷水が駆け抜けるような感覚を感じる。
僕は知らないうちに笑っていた。
掌に力を込めるたびに、周りのものが破壊されているのに気付きながら。
「止めろ!」と奥の誰かが叫ぶが、止める気はない。
これまでに感じたことのない感覚を味わいながら僕は意識をまた夢の中に沈めていった。
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「俺たちは何てことをしてしまったんだ!」
この状況になって最初に出た言葉はそれだった。
俺はとある貴族の願いで雇われ、山奥の実験室で人体実験を行っていた。
その結果がこの惨事だ。被験体にサンプルを注入した結果、いきなり上下がひっくり返り、近くの
ガス灯が落ちてきて周りのものに次々に引火、被験体に発現した魔術の影響か、天井が床に、
床が天井になっている。
こんなことになるのなら断ればよかった···。だが後悔してももう遅い。対処法を考えていると、
「だからいったんですよ!こんなことやめた方がいいですって!」
「今さら言ってもしょうがないだろう!」
パニック状態に陥った部下はなお続ける。
「神獣の血なんて注入するべきじゃなかったんだ!」
···まったく否定できない。こいつのいっている事は全て事実だ。
神獣ギガンテス、重力を操る力を持った神獣だ。異世界から来た勇者によって以前倒された。
···このままではこちらも逃げられずに死んでしまいかねない。どうにかあの魔術を止めなければ、
ん、魔法?
「オイッ!あの魔法使いはどうしたッ!こんな時のために呼んであるんじゃあねえのか!」
俺は異常な重力でねじ曲げられ、俺達を閉じ込める壁の一部となってしまっている扉に必死にタックルしている部下に聞く。
「なんか自分はさきに逃げるって言って自分だけさきに逃げてってました!」
「あの野郎!」
ふと、被験体の方を見ると、向こうもこちらを見ていて、ニヤリと笑いこちらに手を向ける。
!まさか。
「止めろ!」
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その夜、小屋の座標にあったのは隕石でも落ちたのかと思うような広く浅いクレーターと、
その中心に倒れた少年だけだった。
こんな自信ない小説紹介でも、見てくれてありがとうございます。
できるだけ飽きさせないよう頑張ります。
よろしくお願いします。