7修行ファイル1 蒼真は風の彼方で…
本当に誤字脱字が多くてすいません。
しばらくの間修行ファイルが続きます。
とりあえず各々の家に帰ることになったのだが…
「お、親父、もうす、少し、ゆ、ゆっくりして、くれ。速すぎだ。」
「んん?なんか言ったか?風が強すぎて聞こえんからもうちょっと大きめで喋ってくれねーか。」
「だ、だから、速すぎなんだよ~。」
現在親父の背中に乗って遊覧飛行中…。す、すげー速いんだけど…。いや、速すぎるんだよ。
親父の一族は、先祖代々『風の真心力』を使いこなし、その力で刑を執行してきたらしいのだが…
今その力を全力で親子の戯れ事に活用している親父なのであった。
親父曰く、
「お前は俺の息子なんだから当然俺と同じことだってできるし、俺以上のこともできる。そのためにもまずは…慣れろ。」
…………無茶言うなよ
親父との遊覧飛行で約一時間たった頃、ようやく家に着いた。
家の場所はこの国『アファルシュ』の最東端にある標高12408mの山『ナウシャル』(これでもこの世界の第6位)の約7777m地点にあった。家はほぼ雲で隠れており、近くに来るまで僕も気づけなかったが…
「「ただいま~」」
「あら、お帰りなさい。」
家に入ると僕より本の少し背の高い女性がいた。髪は灰色のロングヘアーで何だかクルハさんに似ている…流石姉妹ってところか。
(この人が僕の母親…。)
とても綺麗な人だと内心で思った僕がいた。
「それにしても大きくなったわね。あの時はまだ小っちゃくて可愛かったな~。」
「男が可愛いままだったら気持ち悪いだけだろ。」
「そんなことないわよ。」
食事をしてる時こんな会話が親父と母さんの間に生まれた。勿論僕はこの会話中は黙って食事に専念することにしようと思ったのだが…。
「ねぇ、あの時っていつぐらいのこと?」
「そうね……あなたが五歳。あなたを向こうの世界に転送するときくらいのことかな…。」
「その後も大変だったんだぞ、お前だけな。」
「え?何が大変だったの親父?」
「お前だけ転送に失敗してだな…。」
「…………っえ?」
どうやらメーレシェと地球はある程度の連絡手段があるらしく、僕たちを育ててくれた人たちと状況報告的なことをしていたらしいのだが……。
十年前、僕たちを向こうに送るさいに僕だけ失敗したらしく、五年間もの間行方不明でいたらしい。
残念ながらその時の記憶は僕にはない。
最初に育ての親とあった時のことはギリギリ覚えているのだが、その前の記憶が一切ない。
(まぁ、べつにいいんだけど)
晩飯も食べ終え、僕は母さんの手伝いをしている時に突然親父こんなことを言い出した。
「ところでだが蒼真、明日から修行すっから今日は早く寝ろよ。」
「は~……ん?修行って何?」
この質問に対し親父は僕の顔を見てため息を一つついた。
「お前、話聞いてたか?」
「なんの?」
「なんのって、お義父さんから聞いただろ。俺らの御先祖様が代々『真心力』っつ力を持っていて、その力を行使してこの世界の処刑人してるってことだよ。」
「あ~、そんなことも言ってたよーな…。」
「蒼真、お父さんの話ちゃんと聞いてたの?」
「寝てた。」
「「………………」」
この沈黙は約五分ほど続いた。
「とりあえずだな、明日から修行するから…もう寝ろ。」
「は~い。」
~~翌朝~~
何故か起きて早々山登りさせられている僕。現在この山の10000m地点で休憩をしている。酸素薄すぎだろここ。ちなみにこの世界の成層圏の高さは地上から約500kmであり、世界一の山の高さが381kmらしい。
…………ほんとどうなってんだこの世界。
十分間の休憩後、親父が立ち上がり、
「今から修行を始める。とりあえず俺がいいと言うまで目を閉じてろ。」
言われた通りに目を閉じた僕。
次の瞬間、急激に風が強くなった。耳元で風がビュウビュウと鳴り響き、なんか変な紙が飛んできたし…。
「もういいぞ。ただ、目を開けても下は見るなよ。後悔すんのはお前だぞ。」
何それ?見ろっていうフリですか?下向いたくらいで後悔する人間がこの世にいるわけ…。
ぱっ、と目を開き下を見た
地面が丁度僕の両足の大きさしかない…。てか、なんか下に雲が広がってるんですけど…。
足が震え始めた。
(落ち着け、僕。とりあえず深呼吸だ。)
深呼吸をしようと前を向いた。だがそれが余計に僕の身を、心を傷つけた。
目の前に広がる雲の大海。そしてそこから本の少し出て来はじめている太陽。そして…宙に立つ親父。
「お前大丈夫か?」
「今現在の僕の顔が正常に見えますか?」
「なら大丈夫か。それでは修行の内容を発表するからよく聞いとけよ。それと忘れる…ほどでもねーからいいや。とりあえず聞いとけ。」
もう帰らして(泣き)
「今から五時間の間そこに立っとけ。目を閉じてな。時間がきたら降りしてやるから…それまで耐えろよ。」
「立ってるだけ?」
「あぁ、お前の真心力は『風』もあるからな。ここで風を感じてたらあっという間に使える。」
「そんなもんなの?」
「そんなもんだ。じゃあ頑張れよ。」
そお言い残し目の前から文字通り消えた親父。
……ほんとどうなってんだ。
とりあえず言われた通りにやってみた。
目を閉じて、リラックスした状態で風を感じた。耳、鼻、口、体、全てを使って風をこの身に感じさせた。
何時間たったかわからない。でも、今がこの世界に来て一番幸せな気分だ。なんだか風が僕の体の一部であり、この体も風の一部なんじゃないかと思い始めた…その時だった。
目を閉じてるはずの僕の目の前に黒髪の少年が立っていた。何故かその少年から危険は感じず、むしろ安心感が僕の心にあった。
そして少年は
『修行は順調のようだね。もうすぐで僕は君に恩を返せる。』
その一言とともに僕の目の前から姿を消した。