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~実は異世界の処刑人の家系でした~  作者: 悲涙煌蘭
第一章 真受
15/34

15.蒼真の脱走劇~王都編~

暑いと全てのことにやる気が失せてきますね。熱中症には十分に気をつけてくださいね。

「終わったようね。」


 そう言い観客席から降り、台に近づく真那美。


(でもおかしいわね…みんなが警戒するほど蒼真が強くなかった様な……。それに疲れたのかしら。…でも息は荒くないしねぇ。)


 模擬戦が終わった。…たった十分程度で。龍が三対一に持ち込んだ意図が真那美にはわからなかった。そんな龍や煉華、雪那は地面に跪いたまま動かなかった。ズッーンという効果音でも付きそうなくらいの空気を纏って…。

 


 そんな静かな台に近づく集団があった。その集団の先頭には、夕陽の様に紅く綺麗なドレスを着た金髪の女性がいた。そしてその女性は台の一歩手前で一礼し、


「お初にお目にかかります実刑者の皆様方。私はこの国の第一王女のイヴナ=リュシュート=アファルシュです。先程ここの警備兵にあなた様方がここで模擬戦をしているとのことで、挨拶も兼ねてお伺いに来ました。本当は妹のエリスカも一緒がよろしかったのですが……あの~皆様、だ、大丈夫ですか?私の話は聞いてますか?」


 そんなイヴナの言葉に対して龍から出た言葉は…


「王女さん…わりぃが後にしてくれ。」


 殺気混じりの一言だった。その一言で別の台で試合をしていた者も、観客席にいた者もその身を震わせた。ある者は気絶までしかけていた。

 イヴナはほんの少し後ろに後退っただけだった。そこはやはり一国の王女だけあるなっと思い関心する真那美。だが、流石にこの空気のままにしておくのは他の人の命に関わると思い言葉を発しようとしたのだが…


「雪那、分身何体出せる?」

「ごめん龍、まだ一体が精一杯。」

「龍、あいつは?」

「仕込んだ種が四つに増えてやがる。しかも反応はそれぞれ王都の東西南北。バラバラだ。」

「私が北に行くわ。」

「だったら私は西と東を。」

「あぁ、だったら俺は―――」


っと謎の会話をし始めたので真那美も、


「ちょ、ちょっとストップ、ストップ。」


 龍の言葉を遮った。


「王女様に挨拶もせずに何処に何しに行こうとしてるの、三人とも?」

「「「この王都で問題児バカ(蒼真)狩り。」」」

「ちょ、ちょっと待って龍くん。蒼真はさっきの戦いで煉華ちゃんの一撃で肉体消えたけど、この台を停止させれば試合前の状態に戻るから、別に何処かへ行ったわけじゃ…。」

「だったら停止させてみればいい。」

 

 言われるがまま台を停止させる真那美。青白く光っていた台はその光を失った。そして先程まで汚れていた龍たちの服は元に戻ったのだが……、

 

 そこに蒼真の姿も、ソウマンジャーの姿も現れることはなかった。

 周りにいたものたちがざわつき始めた。「台の故障か」や、「起動してなかったんじゃ」とか「でも服の汚れは消えたぞ」等の声が聞こえるなか、煉華が口を開いた。


「私が最後に放ったあれはね、偽焼炎ぎしょうえんって言ってね、幻や分身、架空の存在を全て焼き尽くしてしまうものなの。只これは実在するものは燃えないの。つまり、」

「今のこの状況は、〝さっきの三人は全て偽物〟ってことを表しているんです。」


 煉華の言葉の続きを雪那が言った。その言葉に戸惑いながら真那美が…


「じゃあ本物の蒼真って…グリーンかピンクってこと!」

「かもしれないですし、後から出したと思われる他の二人の内のどちらか…。どちらにせよ―――」


 その瞬間とんでもない量の殺気が闘技場内を覆い尽くした。窓ガラスは割れ、イヴナの連れていた護衛兵の半分近くは倒れ、龍、煉華、雪那の三人の口が笑みとなり…


「「「即刻に蒼真アイツに処罰を与える」」」



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 時は現在より十分程さかのぼる。


 闘技場から緑とピンクの仮面をした二人組が出てきた。その異様な姿をした二人組を周りの者は少し気味悪がっていた。


 暫く走ったあと路地裏に入った二人組。そこで息を整えながら片方が口を開いた。


グリーン「作戦成功のようだな…。」

ピンク「流石に龍たちも〝戦闘好きな俺が模擬戦に参加してない〟ってこと考えもしないだろーな。」


 ソウマンジャーのソウマグリーンとソウマピンクだった。


グリーン「っで、どうするよ?」

ピンク「とりあえず…増やそうか。」

グリーン「そうだな。」


 そして二人は目をつぶり、詠唱を始めた。


「「『雲より出でし雫たち、そこに写りし我を具現化せよ―――雲現鏡うげんきょう』」」


 手を前に出し掌を上から下に返しながら紡がれた詠唱。その掌を下に向けた時、そこから一粒の雫が落ちた。落ちて地に触れた瞬間そこは光だし、光がやんだ時には金の仮面と銀の仮面をした二人組がいた。


「道を切り開く黄金の風の使い―――ソウマゴールド。」

「悪の光を遮る白銀の雲の使い―――ソウマシルバー。」


 これがソウマンジャーの正体。『雲』の真心力マシンリョク雲現鏡うげんきょう。本来分身等の技は難しい部類の物なのだか、そこは流石蒼真っというところだろう…本日七体目の分身である。


グリーン「わかっているだろうが、今回の目的は王都の調査、及び、煉華たちからどれ程の時間逃げれるかだ。現在、ブルーがやられた。もうすぐアイツらが来るから、みんな使命を全うしろ。」

イエロー&ゴールド&シルバー「「「おう。」」」

グリーン「決して王城に近づかないように。それじゃあ……散。」


 そして、それぞれが指定の場所へ向かった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 現在


(龍、こちら煉華。北の大通りで金の仮面をつけた怪しい奴を見つけたわ。)

(こちら雪那、西の大通りでソウマピンクを、東の大通りで銀の仮面をした怪しい奴を見つけました。)

(こっちもソウマグリーンを見つけた。とりあえずさっきの姫様のこともあるから王城の方まで誘導したいんだが…あいつどんどん王城から離れてんだけど、なんか知らね?。)


 目の前にいるソウマグリーンがなにやらメモを取りながら徐々に王城から離れていく。このとき、龍は自分の目を疑った。

 まだ日本にいたとき『城に住んでみたい』と言ったことのある蒼真が城から離れていってる。龍の考えでは真っ先に城に向かって『この城俺にくれ。』とか言って王城に攻め込むっと思っていたからだ。

 

―――いつもの蒼真と違う―――

 

(……まさか!) 


 龍の頭の中に一つの答えが浮上した。そしてそれを実行にうつした。


「『我が思に沿いし種よ、芽吹き、我が意に答えろ―――植物装衣ラミューズ銃装ノウ』」  

 その瞬間、龍の服の袖から蔓が伸びはじめ、龍の腕に巻き付き始めた。そして人差し指に絡み付いた蔓の先には穴が開いていた。まるで銃口の様な穴が…。そして、その穴をソウマグリーンの頭の方に向け……


放てギルティ


―――ッヒュン


 刹那、穴からは空気を切り裂く様な甲高い音と共に、高速で何かが飛ばされた。飛ばされたそれはソウマグリーンの仮面を貫いていた。


(やれやれ、試しに作った植物銃だが、できはいいな。やっぱ『ジューネイ』をベースにして正解だったな。)


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

《ジューネイ》

ジャングル等に生えやすい肉植樹。実はなるがその中に種子はなく、蔓の中に種子がある。蔓の中は空気が圧縮されており、その実に寄ってくる動物に種子を飛ばして植え付ける。 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


(…っと、それよりあいつは?)


 ヘッドショットをくらったソウマグリーンがいた場所には仮面とメモが落ちていた。仮面には額の部分に穴が空いており、そこから罅ができていた。龍は先程まで何かを書き込まれていたそのメモを拾い念話を繋いだ。


(全員よく聞け。そこにいる奴等は全部偽物だ。今すぐ始末してくれ。それが終わったら王城の方まで来てくれ。あいつは多分…いや、十中八九そこに、若しくは近辺にいるはずだ。)

((了解。))


~~同時刻~~


 王城前の王立公園の噴水の近くにあるベンチでは…


「ふむふむ…。西大通にパン屋は二軒、東は三軒か~。ケーキ屋は王都に一軒しかないのか。……ってレストラン多っ。」


 蒼真が一人でそんなことを言っていた。


 『雲』の真心力マシンリョク雲現鏡うげんきょうには一部の感覚を共有することができ、さらに、分身との念話も楽に出来るっという効果がある。それにより、蒼真は今、この王都の何処に何があるかを分身の視覚をとおして確認していた。……自らのこれからを考えたときのために。


「北の方もいいな…って、切れた。もしかして、偽物だってばれ…っ、たな。……こりゃあ。グリーンだけじゃねぇ。ピンクにさっき作ったばっかしのゴールドとシルバーもやられやがった。」


 全ての分身を壊された蒼真。組んでいた足を戻し、ベンチから立ち上がり腕を組む。それから「うぅ~ん」っと唸りながら考えること三十秒。


「よし、逃げるか。」


っと言って、その場から立ち去ろうとしたときだった。


「は、話してください。誰ですか貴方たちは――っきゃー。」

「へっ、おとなしくしろ姫様よ。」

「そうすりゃあ痛い目にあわないであんす。」

「でもお頭、ちょっとぐらい…」

「バカ野郎。こいつは大事な商品だ。おまえたちが手出しすんなよ。おいボイ、人避けの魔学体まがくたいは発動させてるか?」

「もちろんであんす。」


っという声が聞こえてきた。その方を見ると、三人の男が一人の女の子を無理やり連れて行こうとしていた。その近くでは青い物体が発光していた。どうやらそれが人避けの魔学体まがくたいのようだが、蒼真には効いてないらしい。

 

 そして、男達は女の子の手と足を縛りはじめた。


「は、放して。」

「動くんじゃねー。」


 女の子は抵抗するが抑えつけられてしまった。


「……しょうがねーや。おい。」


 蒼真は声を怒気混じりで発した。

次はちょっとずらして8月7日以内には更新しますのでよろしくお願いします。また、誤字脱字とうありましたら教えていただけら幸いです。

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