その名は六式
大通りにでた、コピーは2匹、フォーメーションで撹乱しているようだ。
ネズミ型のコピーが飛びかかる。ハンドルをきって体当たり。
体勢を崩したネズミを一匹が支える。ネズミは近くにあったバイクの部品を食う。ネズミはバイクになった。そしてもう一匹が乗る。そして慎吾の前方にとまった。
エンジンを唸らせてにやけるコピー。
《ユーザー。やる気のようだが。》
慎吾はその2倍エンジンを唸らせた。
「上等。」
2体の昆虫人間は同時にバイクを走らせる。
時速40、50、60と上がっていく。
並行に並んだ両者はお互い手を武器に変え斬り合う。
まるで中世のヨーロッパの騎馬戦そのものだった。
慎吾は一瞬の隙をつきコピーの腕を切りとばす。腕はすぐ再生し元に戻った。
「そう出なきゃつまらねえ。」
今度はバイク上に立ち2体は格闘戦を始めた。全く同スピードで走る2台のバイクの上を相手の攻撃をよけ、交わし移動する2体。
慎吾がコピーのバイクに乗った時だった。バイクは一瞬、時にして1秒ブレーキをかけた。
体勢を崩す慎吾、そこに蹴りを入れたコピー。なんとか転落を防いで体勢を立て直しその反動でコピーを蹴り落とす。
その瞬間落ちたコピーがバイクになりバイクだったネズミコピーが人型になった。
「しぶとい。」
その瞬間バイクのタックルで転落するもバイクの後方を持って生還。しかし、コピーはそこにとどめをさそうと迫る。
その時、ドットキャットはUターンしたその瞬間に慎吾は鎌をブーメランにしてコピーのバイク後輪を切断。2体の怪人は爆散した。
《ユーザー、大丈夫か?》
着地に失敗して寝転ぶ慎吾。
「平気じゃねえよ糞バイク。急にUターンすんな。」
《その憎まれ口なら平気ですね。それより都市内での爆発はまずかったですね。ひとまずショッピングモールに戻りましょう。》
2人はショッピングモールへ戻る。
#17:50 ショッピングモール
ショッピングモールには消防車と救急車、パトカーが来ていた。
「あのガキは無事か?」
洋平を探す慎吾、奥に行こうとして警官に止められる。
「お兄さん、止まって。あとは警察が・・・・・お前・・・・慎吾か?死んだんじゃ。」
「離せ、人違いだ。」
その場から逃げる慎吾。その時、空にいた。
「あいつ、Code:06。」
片手に洋平・・・・・。
追いかける慎吾。
#18:10 廃工場。
「洋平!!」叫ぶ慎吾。「ようへい、ようへい!!。」
『ようこそ兄弟。』
聞いたことのない声。ゆっくりと降りてきた奴。
『この少年は我々の破壊対象だ。兄弟、君はせっかく最強生物として宇宙に君臨できたものをこの少年との出会いで君は失いそうになった。』
「・・・・・・せ。」
『ん?なんだい?兄弟。』
「返せ。
洋平を返せぇえええええええええ。」
慎吾の体はみるみるカマキリ怪人になって行く。再び理性を忘れかけた時、洋平との出会いが脳裏をよぎった。
(復讐じゃない、この気持ちは、いや気持ちや感情などでは表せないこの光。
正義・・・・・・。)
「覚醒-ヘンシン」
カマキリの怪人だった慎吾の体は無駄のないコンパクトな形態になる。
暑い胸板、細身ながら筋肉質の腕。
そしてカマキリの化け物だった顔は正義と慈悲に満ち溢れた優しい顔立ちになった。
《ゆ、ユーザー・・・・、その姿は・・・・。》
そう、白バイ警官に憧れた幼き少年時代。
テレビの中で戦っていた英雄。
俺のその姿はまさにあの日憧れたヒーローそのものだった。
「記録しろ、ドットキャット・・・。」
《ユーザー!?》
「ユーザーじゃない。Code:06から生まれた一握りの奇跡。
俺の名は『六式』だぁあああああ。」
つづく