最終強化
その巨大なカマキリは苦しんでいた。
異形な姿となっても人間の心は失っていない。
「博士ぇええええええ!。」
博士は戦っている。人間に戻ろうと、最後まで人間としていようと。
巨大な鎌が振り下ろされた。ギリギリのところでよける。動きを読まれているのか、それとも疲れが見え始めたのか、歩いはその両方か、
一発当たれば致命傷の攻撃が慎吾の体をかする。
否、かすっただけでも致命傷だった。その振り回した風圧で吹き飛ばされる。
強い、デタラメな強さだ。
こいつはもはやコピーの領域を超えた。
奴がオリジナルになりつつある。
1時間をきった。ここで負ければ人類に明日はない。
負けられない、慎吾は立ち上がる。
鎌を振り上げた、今だ。
腹の下に潜り込んだ。一本、足を切った。
バランスを崩す巨大なカマキリ。
その隙を狙って鎌を攻撃した。
片方、やっと片方の鎌を切り落とした。
しかしその行為が逆鱗に触れた。
鎌が信じられない速さで慎吾に切りかかった。
上手くそれを交わした。しかし風圧が刃のようになり慎吾の右腕を切った。
「なに、カマイタチか。」
だが、カマイタチの向かった方向に・・・・洋平が。
洋平を抱きかかえて逃げる慎吾、だがカマイタチはそんな慎吾の背中を傷つける。
「シンゴ!!パパやめてよ。」
すると、カマキリの動きが止まる。
『よ・・・・よう・・・へい。』
「そうだ、洋平だ。あんたが今殺そうとしたこの子は息子の・・・・あんた自身の息子の洋平だ。」
するとカマキリは苦しみ出した。
「博士ぇええええええ。いま、・・・・・今楽にしてやるううううう。」
カマキリの・・・博士の脊髄を貫いた。
『ぎえええええええええええ。』
博士は悲鳴をあげて倒れる。そして人間の姿に戻った。
「博士っ!!」「パパぁー。」
駆け寄る二人。
「洋平・・・・・、久々だな・・・。」
「博士、急いでください。ドットキャットに乗れば、病院に間に合います。」
博士はバイクを見て、笑顔になる。
「Code:04.5'、いい名をもらったな・・・・・・。」
《ドクター・・・・、死んでしまいますよ。》
「脊髄をやられたし・・・・・この血の量だ・・・・・もはや助かるまい。」
博士は洋平の頭を撫でた。
「いいか洋平・・・、パパはもうじき死ぬ・・・・・・、ごめんな、約束守れなくて。」
博士は涙を流し出す。
「嫌だよ、パパ・・・。約束破ってもいいから、キャンプに行かなくてもいいから、一緒に帰ろうよ。」
「博士、そうです。気を確かに。」
すると博士は慎吾の腕をつかむ。
「慎吾くん、最後の手段だ。私はこうなることがわかっていた。げほっ・・・奴の・・・・・Code:06の・・・・・細胞は、洋平の血液で破壊される。だが、君の体はその血液で最後の進化を遂げる・・・・・・。」
「なんですって、本当ですか、博士。」
すると博士は洋平のひざに傷をつけた。
慎吾はその血液を指につけ恐る恐る口に含んだ。
すると傷が完治し出した。だが、変わらない。
ほとんど姿は変わっていなかった。
「最後の・・・・進化は・・・・君が本当に・・・ピンチの時に・・・でるはずだ。」
「博士、しっかり、気を確かに持って。」
博士は薄れゆく意識の中最後の言葉を振り絞る。
「私の・・・・約束を・・・・君に託しても・・・・・・良いか。」
「わかりました。必ず、・・・・必ず洋平をキャンプに連れて行きます。」
「あり・・・・が・・・・t・・・・。」
「パパぁああああああああ。」
「うぉあああああああああああああああああああああああああ!!」
博士は息絶えた。
洋平は亡骸で泣き叫び慎吾は怒りの雄叫びを上げた。
「ゼロロクウウウウウウウ、貴様だけは生かしておかん。かならず殺してやるからなぁあああああああ。」
慎吾はスカイツリー内へ入る。
「シンゴ。」
「来るな。」
すると洋平の前にドットキャットがくる。
「ドットキャット、洋平を頼んだぞ。」
スカイツリーのエレベーターのボタンを押す。
行き先は最上階展望室。
果たして勝つのは、
地球の運命は、
Code:06の本当の目的とは・・・・・、
つづく