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Code:06  作者: 通りすがりのバッタ男
12/22

息子

「ぐぁあああああああああ。」

ドゴーーン!!

崩れ落ちる2人。

絶望的状況であった。

国連軍は逃げ惑う市民を尻目に慎吾とオルテガを攻撃して来た。

「我々国連軍はあくまでも敵対戦力の殲滅にあります。至急市民はご避難ください。

「小春・・・さ・・ん。

幸助・・・。」

急げ、急がなければ。

瓦礫の下の2人が・・・・。

慎吾は倒れた市民を助ける。

子どもを、老人を、警官を・・・・、

もう少しで小春と幸助の元にたどり着く・・・・・。

その時!!

「怪人め、市民から離れろ。」

ドゴーーン!

「ぐぁあああああああああ。やはり、あいつらは俺を狙っている・・・・。」

『六式お兄様・・・・。」

出血でフラフラになったオルテガが近づいてくる。

『お兄様は、失敗した・・・私・・・事、

あなたを・・・葬る・・・気・・です。』

お互い大砲の猛攻で体力が限界に来ていた。

《六式、聞こえますか。ただいまそちらに急行しています。》

ドットキャットだ。どうやら慎吾の危機を察知したようだ。

《すでに、良樹さんに連絡しました。あと3分ほどで自衛隊が合流するそうです。》

『お兄様、何があったのですか?』

「あと3分で自衛隊が来る。」

しかし砲撃は止まらない。

これをいいことに市民を皆殺しにする気なのか。

『私が、市民を狙う大砲を攻撃します。

あなたは私を追いかけて攻撃してください。』

オルテガが市民を狙う戦車を破壊する。

すると戦車の大砲が一斉にオルテガを狙う。

そうか、表向きはオルテガの殲滅だ。

だから、どうしても奴を打たなければならなくなる。

「まてぃ。」オルテガを攻撃。

再びオルテガが移動し戦車を攻撃。

追いかけて攻撃を繰り返す。

すると自衛隊がやって来た。

「貴様ら、何をしている。」

「くそッ、全軍引け。」

やっと救助が始まった。

ふと後ろを見た。オルテガが虫の息だった。

オルテガをおぶって慎吾は消えた。


#14:34 廃校保健室

血のにじむ包帯、痙攣するからだ。

オルテガは確実に死に向かっていた。

「お・・・兄様・・・・、いや・・・、慎吾さん・・・・。小春は・・・・。」

「無事病院に搬送されたよ。」

「そうか・・・・・、僕の・・・・役目は・・・・もう・・・終わり・・・・か。」

笑顔をうかべるオルテガ。

「諦めるな、今からなら戻れる。幸次郎に戻れる。」

「いや、彼女の・・・・あの笑顔を見て・・・・・わかった・・・・、

君が・・・・そばにいた方が・・・いい。」

慎吾は涙が溢れて来た。

最後の最後まで夫で有り続けようとする幸次郎に。

その数奇な運命に。

「君・・・・が、守って・・・あげ・・・て・・・・くれ・・・・。

頼んだよ・・・・・。」

オルテガ・・・・いや幸次郎は静かに目を閉じた。

「ぢぐしょおおおおおおおおおおお。」

慎吾は崩れ落ちた。

幸次郎はただ愛し、自らも愛して欲しかっただけだった。

彼はその愛すると言う役目を慎吾に託した。


悲しむのもつかの間小春から電話が来た。

「もしもし、どうしたんですか。」

「幸助が、幸助がぁあああああ、早く来てぇええええ。」

ただ事ではない。

その声が状況を物語っていた。


#14:51 中央病院

息を切らした慎吾が走ってくる。

「何があったんですか!!」

前田さんが洋平を連れて離れる。

「幸助が息しないのよ。」

「幸助が・・・・・。」

息を飲んだ。今は緊急治療室にいるらしい。

すると医師が出てきた。

「お母様、手の施しようが有りません。

最後にだいてあげてください。」

部屋に入る。今にも死にそうな幸助が横たわっている。

「慎吾さん・・・・・。」

小春が泣き崩れる。


慎吾は決断した。

「小春さん、いいですか。」

小春はただ頷いた。

「最後の手段を使います。でも、それをすればもう幸助は人間ではなくなります。

それでもいいですか?」

「幸助が生きててくれればいい。

お願いします・・・・・。」

慎吾は決心し、手首を切る。

滴り落ちる鮮血。この鮮血を弱ってゆく赤ん坊の小さな口に含ませる。

数秒後幸助は呼吸をし心拍も戻った。

「幸助・・・よかったぁ。」

小春も笑顔を取り戻し安心と安らぎの涙を流す。

それを見ると慎吾は緊急治療室を後にした。


#数分後 屋上

心地よい風が慎吾の肌を駆け抜ける。

幸助は助かった。けどもう人間ではない。

もう普通に生きられはしない。

あの時の自分と同じだった。

俺のせいだ

俺が悪いんだ

俺と会わなければ

俺が殺した

俺が狂わした


「慎吾さん。」「慎吾さん。」「シンゴぉ。」

「来るな!!」

慎吾は泣きながら叫んだ。

その時体はカマキリ怪人になった。

3人は驚いた。

3人は慎吾の六式としての姿しか見たことなかった。

「俺は化け物だ。あいつらと同じだ。

醜い身体と心を持った化け物だ。

幸助だっていずれこうなる。」

慎吾は頭を床に何度も叩きつける。

「俺は幸助を化け物にした。醜い姿に、悲しい運命に。」

すると後ろから小春が走ってくる。

小春は慎吾の腕に噛み付いた。

腕から滴り落ちる血、それを飲みだした。

「何してるんだ!!」

小春を引き離す。

「私ももう怪物になった。これで同じ。幸助と、あなたと。」

「なにがしたいんだ。」

「そばにいて欲しいの。ずっと支えて欲しいの。幸助が化け物になるんだったら、責任感じていなくなるくらいなら、そばにいて支えてあげてよ。」

小春はカマキリ怪人を抱きしめる。

「一緒にいて、支えて・・・・・。」

泣き出す小春。

カマキリの怪物は次第に人の姿に戻っていく。

「俺で、いいのか・・・こんな怪物で。」

小春が慎吾の口を奪う。

洋平の目を隠す前田さん。

「いいの。あなたじゃなきゃ嫌なの。」

慎吾は覚醒-ヘンシンした。

「君を、みんなを・・・・全力で守らせていただく。」

慎吾は帰る場所を今ここに見つけた。

掛け替えのない家族を・・・・・。

そして、決心した、

国連へ・・・・本拠地へ乗り込むことを・・・・・・。


つづく

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