改心新心
僕の扱いって機械に似てるよね。
だってほら、いつもは放置されてるけどたまに必要になったら呼ばれてさ。
パシリだったり、暴力だったり、責任転嫁だったり、靴隠されてピエロとして踊らされたり。
みんな僕を殺したいんだろうけど、いつかは使えるからと思ってになるから殺さない。
僕が屋上から突き落とされても周りのみんなは自殺だろうと言って、大人もそれを信じると思うな。
まったく、僕には人形と違って心があるってのにさ。
『だから僕は心を消した』なんてそんなこと、この世にあるわけ無いのにそれを望んで。
まったく僕はどうかしてるよ。
僕がこんな扱いを受けるようになってどのくらいだろうか。
中学の2年生あたりか。
それから虐められて、やっとは入れた高校では同じ学校の人の中でも不良の人と同じとこだった。僕の扱いって機械に似てるよね。
だってほら、いつもは放置されてるけどたまに必要になったら呼ばれてさ。
パシリだったり、暴力だったり、責任転換だったり、靴隠されてピエロとして踊らされたり。
みんな僕を殺したいんだろうけど、いつかは使えるからと思ってになるから殺さない。
僕が屋上から突き落とされても周りのみんなは自殺だろうと言って、大人もそれを信じると思うな。
まったく、僕には人形と違って心があるってのにさ。
『だから僕は心を消した』なんてそんなこと、この世にあるわけ無いのにそれを望んで。
まったく僕はどうかしてるよ。
あんな状況じゃあ勉強もろくに出来ないってことは分かってはいた。
でもこの程度の偏差値の学校にしか入学し出来ないとわかったときにはさすがに絶望したな。
結局僕は高校でも同じ目に合ったよ。
今度は一年生から。
中学から知ってる不良の奴らから虐められて。
それを周りの奴が見て、笑って。
一年の夏休みが始まる頃には中学のころと同じ状況。
ただ一つ変わったことは僕を虐める人が増えた事だけ。
今年はストレスがたまりすぎたから今年の夏休みはちょっと旅をしてみようかな。
準備は夏休みが初まってから始めた。
それまでは宿題を貰った片っ端からやっていった。
当然それは大変な事だったけど虐められる要因を絶つためだからしかたがなかった。
親には旅に出ると言った。
僕の親は放置主義だったから二つ返事で了解した。
きっと食費が浮く事がうれしいのだろう。
旅の間の食費は僕持ちだった。
準備は始めて3日目で終わった。
少なくとも、携帯とお金は必要。
寝泊りは野宿する気満々だ。
僕はこれで何か変わるといいなと思いながら家を出た。
今日はひたすら移動の日だった。
時刻は1時。
都会の空気から逃げるべく僕は電車に乗り込んだ。
こんな空気を吸うから、簡単に人を傷つける事のできる人間が出来上がるんだと思わなくも無いが、僕は虐められる側だから傷つける事は出来ないとしても、僕のことを虐めも傍観もしない、つまり僕に興味を示さない人もいるからそれは無いと思う。
だいたい、ここは街と言われるところとは離れている。もちろん市内にも街はあるが車がひしめき合っている様子は無い。
『人は傷つけあいながら生きていくものです』というなら僕は誰を傷つけているんだろう。
あんなにも僕に興味を示さない親にか。
僕を虐める奴らは僕に傷つけられたから、傷つけ返すのか。
僕は皆に何をしたんだろう。
悲壮感に浸っていると少量の涙が目の下を濡らした。
ガタンゴトン、ガタンゴトン、ガタンゴトン、ガタンゴトン、ガタンゴトン、ガタンゴトン、ガタンゴトン、ガタンゴトン、ガタンゴトン、ガタンゴトン、ガタンゴトン、ガタンゴトン、ガタンゴトン。
電車を乗り換えながら13の駅を過ぎた頃僕のいる県の街。
つまりは県庁所在地に着いた。
当然駅で止まるのだから乗り物を経由せず、今度はなれないながらも新幹線に乗るための切符を買って新幹線に乗り込む。
ところで駅では驚いた事が多かった。駅には沢山の人がいて、店が並んでいる。
コンビニもあって、レストランもあってと、それは信じがたい光景だった。
見て決して人が多い時間とは思えないがそれでも僕からしたら多い方だと思える。
そんな驚愕も冷めてきたころには新幹線内で買った弁当を食べて初めていた。
4時間ぐらい、見た目的には変わらないもの様々な都道府県をまたいでようやく新幹線をおり、バスに乗って、降りて、数十分歩いて目的の場所に着いた。
そのころにはもう夜だった。
そこは自然しかない場所だった。
信号も、横断歩道も、電信柱も、マンホールもそんなどんな場所にもあってもよさそうな物すらなかった。
つまりは整備されていない山だ。
きっと太陽の光も木によってほとんど遮断されるのだろう。
予定どおり今日はここで野宿だ。
のびをしてあくびが出る。
かなり早いが明日は早起きをするつもりだったから今日はもう寝ようと思った。
夢を見た気がした。
たしか、一人の少女がいた。
少女と行っても僕と同じ高校生ぐらいだったが。
いいや違う。
中学生ぐらいの少年もいた、成人した男女も。
とにかく十数人の人がいた気がした。
しかし、次第に去って行き、あの少女と少年が最後に何か話したようでそれから少年の方が去っていった。
「こんにちは」
少女が話しかけてきた。
背丈は平均より低いと思う。
長い髪は結ばれていくことなく首の付けの伸した辺りまで伸びている。
どこかの学校制服を着ていた。
ああ、分かったここに来る途中に見た、たぶん高校生が来ていたものだ。
ほんの少し悲しそうな顔をしている。
そんな少女の首にはなにやらアザがあった。
「こんにちは」
僕は返事をする。
「あなたは何故ここに来たの。自然観察だったらもっといい所があるわ」
「誰だかわからないけど、理由は分かってるんじゃないの。何だかあなたは僕の先輩になりそうだよ」
「私はそうして欲しくないから出てきたのよ。さっきいた人たちはみんな差別されてきた人たちだったの。私はこうなった事を後悔してるわ。何故あのとき頑張れなかったのかって今でも悔やんでる。だからこうやってたまに来る人に会いに来るの。同じ思いをして欲しくは無いわ」
「いい人だね。その逆に同じ目にあわせようとする奴らもいそうな物なのに。ああ、君のような人がいないとは言わないけどさ、過半数は悪者だと思う」
「ありがとう。でもね、こんな性格がみんなにはウザい、ウザいって言われてたの」
「世の中そうなもんだよね。正義は狙われる。僕の場合は正義でもなんでもない、ただの的だけど」
沈黙ができる。
そう言えばここはどこだろう。
暗くてよく見えない。
でも、僕の寝付いた森なのか。
そして、僕はまた話だした。
「僕の扱いって機械に似てるよね」
「そうかしら。会ったばっかりだからよく分からないわ」
「だってほら、いつもは放置されてるけどたまに必要になったら呼ばれてさ。
パシリだったり、暴力だったり、責任転嫁だったり、靴隠されてピエロとして踊らされたり。
みんな僕を殺したいんだろうけど、いつかは使えるからと思ってになるから殺さない。
僕が屋上から突き落とされても周りのみんなは自殺だろうと言って、大人もそれを信じると思うな。
まったく、僕には人形と違って心があるってのにさ。
『だから僕は心を消した』なんてそんなこと、この世にあるわけ無いのにそれを望んで。
まったく僕はどうかしてるよ」
「抵抗しないの」
「君が言うなよ。まあ、でも出来ないよね。一人対多数で勝てるとは思えないから普通に考えて抵抗は出来ない。大人に陰口しても結局相手の奴らを顰蹙させてしまうかもって言えないし」
「そうよね。私もそうだったから。でも、これだけは覚えて欲しいわ。私を含めて他の彼らもみんなあのとき踏ん張れずこうなったことを後悔しているわ」
少女は一拍置いて。
「私から言えることはもう何もないけど、私が言ったことだけはよく覚えておいてね」
「あ、ああ」
なんで僕は返事に詰まったんだろう。
「じゃあね」
そういって少女はどこかに去っていった。
僕は早朝。
ただしそれは時間帯の名ばかりであって実際は午前3時ぐらい。
そんな時間に僕は山の中で涙を流しながら立っていた。
「夢じゃなかった………、のか」
ああ、僕はなんてことを考えていたんだろう。
こんな所まで来たのは僕がまだ生きたいと思ったことの表れじゃないのか。
こんな山に入りこまなくても、学校の屋上で柵を越え下を覗けばそれで済んだじゃないか。
どうせ山でも学校でも止める者はいないのに。
家に帰ろうか。
家に帰ると親はなんとも面倒そうな顔をした。
それはそうだろう、夏休み中居なくなるはずの奴が二日で帰ってきたのだから仕方は無かろう。
でも、それは全部無視だ。
悲しむのに疲れたので喜びます。
憎むのに疲れたので愛します。
苦しむのに疲れたので、この世を楽しんでみようとます。
ただ、書いてみたくなったので書きました。